うろしま物語 (F×COMICS)
エロチック・ファンタジーとのことですが、エロかどうかよりも「かなり変」です。
元来不条理マンガをお得意にされていた福山さんですから多少のことでは驚きませんが、『17』といい『臥夢螺館』といい、これといい、福山さんこんな作風だったかなぁ。
こういう町があったらと夢想することは誰でも一度ぐらいあるでしょうが、若いうちならともかく年取ってからですと、それこそ「浦島太郎」のようにケムリしか出ないということになりかねません。アー、クワバラくわばら。
臥夢螺館 上 KCデラックス
最近、福山さんの漫画が徐々に浸透している気がしますが、その決定打となるか。内容は好奇心旺盛な(天使)にとりつかれた人々の奇行と、その周囲の人々に降りかかる悪夢のような出来事。結構グロテスクな表現があり、特に平凡なOLがカッターで手錠を切り落とそうとする所などは寒気がします。とことん残酷です。あくまで日常を基本としているので妙なリアリティーを持つSFホラーに仕上がっていると思います。
この漫画は以前CD-ROM付で1巻のみ発売されたのですが今回改めて2巻に分けて再発されています。CD-ROM版をお持ちの方は今回の上巻と内容が重複しているので注意して下さい。どのみちCD-ROM版はもう出ないと思うので、読みたい人は今回の2冊を購入するしかありませんが....。
Genius Party<ジーニアス・パーティ> [DVD]
STUDIO4℃が贈るオムニバスムービー。
2007年7月に劇場で公開された今作は、アニメーターとして有名どころを集結させ「制約は、ゼロ」のもとでそれぞれの個性を生かした映像を見せる短編作品である。
知っているのは河森正治、湯浅政明、そして渡辺信一郎。
それ以外の人の作品では木村真二の『デスティック・フォー』は面白かった。どこか『ナイト・メア・ビフォー・クリスマス』を彷彿とさせる怖めのビジュアルだがキャラクターはそれに反して子供のような純粋さをもっていて、主人公の少年がカエルを助けるため、仲間を募って冒険するのが見ているとなんともほほえましい気分になる。
河森正治の『上海大竜』と湯浅政明の『夢みるキカイ』について、前者は疾走感のあるメカアクションにまず興奮し、後者では独特の色とチラリと垣間見える残酷な展開はやはり監督のカラーが出ていると感じた。
で、個人的に一番だったのは渡辺信一郎監督の『BABY BLUE』。
「カウボーイビバップ」などで見せたカッコいい演出に加えてこの「制約ゼロ」な環境でどんな作品を見せてくれるかと期待すれば、高校生の男女を題材にした純然たる青春ストーリー!内容は二人が学校をサボってどこか遠くへ行こうかと旅をする話なのだが、かれらの微妙なしぐさや途中での警官とのコメディチックなやりとりも含め、改めてこの作品が渡辺監督作品であるということを認識させられるほど情緒的だ。
10分ちょっとでどれだけ魅せてくれるか。
それぞれの作品をどう感じるかは人それぞれだが、一つでも楽しめれば見た価値はあったと思う。特典のコメンタリーでは河森監督が一番笑えた。