上井草アニメーターズ (1) (カドカワコミックスAエース)
この作家さんの作品を購入するのは2シリーズ目なのですが、わりと細かくボケと突込みがちょこちょこ入るので、何回読んでも、どこを読んでも、その都度「ププッ」と笑えます。
本業がアニメーターとのことで、絵は基本的に上手いです。高い画力に少し雑な仕上げをすることによって、この作家さん独自の温かみを出しているような気がします。
私はアニメの製作会社に制作進行として在籍していたことがあるのですが、業界の描写については、「本当にこういうのあるあるw」と、納得してしまう部分も多いです。
アニメ業界に憧れる人は読んでみても良いかと思いますし、純粋に興味があるという方にも雰囲気を味わうのには良いかと思います。
最後に蛇足ですが、アニメ業界は案外可愛い女の子が多いですよw まあ、もちろん変わった人も多いのですが・・・
フジテレビ開局50周年記念 「逢いたい時にあなたはいない・・・」DVD-BOX
主人の要望で購入しました。このドラマが放映された頃には主人とは知りあっていませんでした。主人は結婚前に遠距離恋愛をしていて別れたのち私と結婚したそうです。このドラマに近い展開だったそうで結末だけが違ったそうです(笑)冬ソナを連想させるようなじれったい恋物語で私も大好きになりました。携帯のないひと昔前のドラマですが、それゆえに今の恋愛ドラマにない新鮮な感じで見ることができました。ちなみに私は風間トオルさんのファンなので若い彼の姿が見れてよかったです(笑)
将棋・ひと目の手筋―初級の壁を突破する208問 (MYCOM将棋文庫SP)
はじめの方の問題は簡単なものも含まれているのですが、中盤以降は「初級者」にとっては解けない問題もたくさんあるのではないでしょうか? (私がそうでした)
サブタイトルにあるとおり「初級の壁を突破する〜」ものですので、ルールを覚えたばかりで読むと中盤以降はほぼ全問記憶することになってしまうと思います。入門書、簡単な詰め将棋書や基本定跡の解説本を終わらせてから読むと、わからない問題でも解説が素直に理解できると思います。
「初級者」がステップアップをする場合に、なんども繰り返し読み問題を解くことで価値がでる本だとおもいます。
永世竜王への軌跡
渡辺竜王自身 製作の段階から自分のブログで書いてましたが、そのとおりの
力作です。
形式は、谷川浩司実戦集と同じ形式で自戦記10局と棋譜解説31局となっています。
森内竜王、木村7段、佐藤棋聖、佐藤2冠、羽生名人というそうそうたるメンバーを
撃破してなしえた5連覇ですが、新聞や雑誌の解説ではわからない当時の考えや気持ちの動きが
細かく語られていてこの自戦記は、必見です。
なお自戦記も熱戦ぞろいで非常に楽しめます。
各シリーズのエピソードがまとめられていてなかなか面白い内容になっています。
中でも永世竜王になった第7局終了後は、なかなか寝付けず朝起きて、新聞で確認して
ようやく実感が沸いてきたとは、本音ですね。
従来のマイコミブックより一回り大きなサイズでこのボリューム 永久保存版ですね。
狂気について―渡辺一夫評論選 (岩波文庫)
フランス・ルネサンス研究やラブレーの翻訳で知られる仏文学者 渡辺一夫の随筆集。暴力・狂気(非理性)・不寛容を静かに峻拒し続けたユマニスト(人文主義者、ヒューマニスト)。僕だったら理性や合理主義に或る種の抑圧や頽落を見出して己の疎外の源泉としてしまうところであるが、渡辺は理性的であることの良質な部分を決して手放そうとはしなかった。彼は、宗教戦争が酸鼻を極めた16世紀フランスに於いて穏当な理性と健全な懐疑主義と寛容とを保持したラブレー、エラスムス、モンテーニュを評価する。
モンテーニュ『エセー』からの次のような引用は、現代日本に於ける排他的愛国心の跳梁を思うにつけ、実に印象的である。"私は一切の人間を同胞と考え、・・・民族的な関係をば、全世界的な一般的な関係の後に置く。・・・我々の獲得したこの純粋な友情は、共通な風土や血液によって結合された友愛に普通立ち勝っている。自然は、我々を自由に、また束縛せずに、この世に置いてくれた。しかるに我々はペルシヤの王たちのように、我々自身をある狭い地域に跼蹐せしめているのだ。このペルシヤ王たちはコアスペス河の水より他に水を飲まないという誓いを立てて、愚かにも他の一切の水を用いる権利を自ら抛棄し、従って彼らから見れば、他の世界はすべて涸渇しているわけであった。"
「文法学者も戦争を呪詛し得ることについて」
平和時の人間に物質主義的堕落を見て戦争を精神主義的に賛美しようとする議論に対して、モーパッサンを引きながら、戦争を起こして利益を得ようとすることこそが物質主義であるとする箇所は、極めて痛快であり、昨今の幼稚な反平和的言辞に対する鋭い批判である。物質主義が戦争を求め、不寛容が戦争を支持する。
「人間が機械になることは避けられないものであろうか?」
政治・経済・法律・社会・宗教・学問 etc. の諸制度が物象化して官僚制に堕するとき、人間は制度の手段として巨大機構の歯車と化してしまう。諸制度を常にヒューマナイズし続けることが必要だ。つまり、人間性の観点から批判し続けること。
「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか」
異物排除の欲望に覆われた社会は、次の文章を読んで寛容について再考すべきではないか。"秩序は守られねばならず、秩序を紊す人々に対しては、社会的な制裁を当然加えてしかるべきであろう。しかし、その制裁は、あくまでも人間的でなければならぬし、秩序の必要を納得させるような結果を持つ制裁でなければならない。更にまた、これは忘れられ易い重大なことだと思うが、既成秩序の維持に当る人々、現存秩序から安寧と福祉とを与えられている人々は、その秩序を紊す人々に制裁を加える権利を持つとともに、自らが恩恵を受けている秩序が果して永劫に正しいものか、動脈硬化に陥ることはないものかどうかということを深く考え、秩序を紊す人々の中には、既成秩序の欠陥を人一倍深く感じたり、その欠陥の犠牲になって苦しんでいる人々がいることを、十分に弁える義務を持つべきだろう。"
不寛容が溢れる現代に於いてこそ貴重な、懐の深い理性に包まれた評論集である。