人権派弁護士をはじめ、一般市民に対する大規模な身柄の拘束にみられるように、中国の習近平体制は、社会に対する弾圧姿勢をますます強めている。こうした中国に対してNOを突きつけたのが、台湾での「ひまわり運動」(2014年春)であり、香港での「雨傘運動」(2014年秋)であった。これらは中国の独裁政権との相似形をこれまで以上に強めつつある安倍政権の下で、沖縄米軍基地問題をめぐって展開されている市民運動とも連動している。だが、日本の一部の知識人たちは、こうした東アジアでの動きに背を向け、それら諸問題の根底にある中国の反民主的人権抑圧を容認する方向へと突き進んでいる。柄谷行人は、一方で「ひまわり運動」を評価しつつも、共産党政権の中国を「王朝」に見立て、「もし中国に自由民主主義的な体制ができるなら、少数民族が独立するだけでなく、漢族も地域的な諸勢力に分解してしまうでしょう」とし、その前近代的帝国のあり方を擁護している(『帝国の構造』青土社、2014年)。さらに丸川哲史も、台湾の学生運動での「反中・反共ナショナリズム」と新自由主義との結びつきを批判する(『社会運動』2014年11月)。だが、著者の見るところ、これらはたんにその都度、「語りえないもの」を神聖化し、かつて竹内好が批判した「アジア的なもの」を「実体化」しているにすぎない。議会制デモクラシーに代表される西欧近代起源の「普遍的価値」に対抗する「実体としてのアジア」を評価する柄谷らの姿勢は、欧米的「普遍的価値」に対して「社会主義的核心的価値」をいう現代中国の党=国家戦略を評価するのと、結局は同じことを意味してしまう。こうした事態の根底に横たわっているものこそ、近代日本から現代へと脈々と続いている「脱近代」への絶え間ない誘惑なのである。 日本と中国、「脱近代」の誘惑 ――アジア的なものを再考する 関連情報
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