イタリア・バロック・オーボエ協奏曲集
“のだめカンタービレ”にひっかけて言えば、シェレンベルガー・カンタービレと言ってもいいかも。甘美なオーボエの音色もさることながら、旋律を表情豊かに歌い上げていくシェレンベルガーのソロに魅了されます。
とりわけ、中間・緩徐楽章でのたっぷりとしたオーボエの歌が素晴らしい。マルチェッロのよく知られた「アダージョ」楽章をはじめ、惚れ惚れさせられますね。
共演しているイタリア合奏団の演奏も、流石というしかないもの。息のぴったり合った弦楽合奏であり、溌剌、伸びやかな演奏は、とても魅力的です。
十八世紀前半に活躍したアントニオ・ヴィヴァルディほか、彼と同時期に活躍したイタリアの作曲家の『オーボエ協奏曲』を収めた一枚。個人的には、ヴィヴァルディの生き生きとした楽曲(『ヘ長調 RV455』と『ニ長調 RV453』の二曲)が格別、気に入っています。
1987年8月4〜6日、イタリアのコンタリーニ宮での録音。
夜想曲~シェレンベルガー&ジュス/デュオ・リサイタル
バロックから現代曲、そして作曲家の出身地域も様々と非常にバリエーション豊かな音楽が楽しめるというだけでも本CDは大変に価値があると思うのだが、演奏が当代きってのオーボエ奏者であるシェレンベルガーということで非常に美しい音色に、完成度の高いアルバムに仕上がっている。ジュスはベルリン・フィルの常任のエキストラのハーピストだからシェレンベルガーとの息もぴったりで、お互いの長所を潰してしまうことなど一切なく実に伸びやかな音楽が楽しめる。
本CDに収められている曲はいずれも魅力的な曲で、さすがの選曲と思うのだが、特にニコラ=シャルル・ボクサのノクチュルヌが美しい。あまり馴染みのない作曲家であるが、本人もハーピストだっただけに実にハープが美しい。音楽自体もメロディアス(当時流移行していたファンダンゴの要素を取り入れている)で初めて聴いてもおそらくすんなりと耳になじんでしまうと思う。
静かな夜にひっそりと聴くのにもってこいのCDで、特に夏の暑い夜などにはちょっとした清涼感も味わえるはず。