世界の未確認生物ファイル (PHP文庫)
監修者の山口敏太郎さんはブログ「妖怪王」で知られる人物。
本書は、世界/日本のUMA約80種を紹介したもの。まずネッシー、ビッグフット、ツチノコなどの大物7種を詳細に取り上げ、それから水棲獣系、獣人系、奇獣系、怪人系と4タイプに分類して並べていく。
この手の本は無数にあるが、わりと良くできた一冊と思う。情報がきちんと整理され、またむやみに実在を主張するのではなく、捏造の事実、不在の可能性が高いことなどが記されており、信頼できる。
目撃地、地図、目撃年などもデータとして収められている。
やや情報量が少なく、写真や図もあまり使われていないのが不満か。
未確認動物UMAの謎 (ムー・スーパーミステリーブックス)
話題のUMAを最新の情報を交えて再構成した本で、カラーイラストや写真、図解などが半分以上を占め、とてもわかりやすく興味をそそる作りになっている。
しかし、明らかに捏造っぽかったり作り物にしか見えない写真なども多数混じっていて、どこまで本気なのか?と突っ込んでしまいそうになる。まぁ、こういう本は怪しい情報も含めた玉石混淆なデータの中でいろいろ未知の生物について思いを巡らすのが楽しいので、ある意味王道中の王道とも言える。昔あった「●●大百科」「●●大辞典」みたいなノリだと思えば正解であろう。
スカイフィッシュ、チュパカブラのような新参のUMAから、ネッシーやビッグフットのような古典的UMAまで幅広く網羅しているのはうれしい。
考察はかなり詳しいが学術的な価値は薄いように思う(笑)
ネッシーに学ぶ生態系
「『魚がたくさん棲めるようなきれいな湖にしよう』。水質浄化のキャンペーンでこのようなキャッチフレーズをよく耳にするが、これは生態的に考えると大きな間違いである」。
特に湖に関する生態系の説明と研究成果の紹介を通じて、生態系全般への理解を深めてくれる一冊である。
5章構成になっており、タイトルにあるネッシーについての考察は最初の章「ネッシーはいるのか」にある。ジュラシック・パークへの言及もあって、 この章はかなり面白い。湖の生態系という視点で重要なのは、リンと窒素の循環を中心に食物連鎖の仕組みをたどって湖の生態系を説明する第2章「アオコ退治 の落とし穴」。この最初の2つの章が理解できれば残りの3章「魚を勘違いしている人間たち」「人、不思議な生き物」「身勝手な生物たちがつくる生態系」は かなりすらすら読める。科学者らしく綿密な推論を重ねていて読みやすい。
諏訪湖の環境改善で透明度は上がったがワカサギは減った。一方、水草は増えたが昔のように水草を農地の肥料に使わなくなったので、増えた水草が新たに問題になっているという話は生態系と人間をめぐる話として印象的だった。映画「ダーウィンの悪夢」に取り上げられたビクトリア湖の悲 劇についての著者の推理も興味深かった。また、白鳥の餌付けや魚の放流についての生態系からの説明は新鮮だった。
後半の生態系と生体系の類似性の説明にはちょっと飛躍がある。また、太陽系と原子が類似していて重層構造にあるという説明も、量子力学の視点から見れば少々強引な理屈であるように思う。