ザ・ベスト・オブ・ボブ・ディラン
とかくボブディランといえば、その哲学的な歌詞で多くのファンがいるが、僕個人としてはむしろ朴訥としたメロディーが聴いていて心に残る。独特の声で語りかけるように歌うディランの言葉は、時には恋に疲れ、時には孤独感に耐えられない時、また、目標を見失って途方にくれた時、その時々に形を変えてメロディーと一緒に耳に直に飛び込んでくる。目の前に立ちはだかる障害の向こう側を、いつも照らしてくれるのはディランの歌なんだ。ディランのメロディーには歌詞以上に、普遍性がある。最初は歌詞カードを見ずに聴いてもらいたい。きっと、何か感じるものがあるはずだ。
はじまりの日
インドの本屋でも原書をみかけて買おうかどうか迷いましたが、
あえて邦訳版のほうを選択しました。というのは訳者がアメリカ人であり
日本語で絵本も出している詩人のアーサー・ビナードと知ったからです。
実を言うと、絵本の元になっているボブ・ディランの「FOREVER YOUNG」を
知らなくて、歌詞に何が書かれているかよりも、何を伝えようとしているかに
関心があったせいもあります。で、それは正解でした。
冒頭の見開き。とあるフォークシンガーが彼の歌を聴いた少年へ
ギターを手渡そうとしている。その絵に添えられた文がいい。
きみが 手をのばせば しあわせに どどきますように
(ちなみに原文は May God bless and keep you always,)
息子のことを想いながら作詞したというボブの心の中を
覗いてきたかのような、絵と文ではないでしょうか!
この気持ちの高揚はページをめくるにつれて高まっていく。
彼の息子へのメッセージは、未来あるすべての者へのメッセージとして
時空を超え、心を響かせてくれました。
巻末にはオリジナルの歌詞。そして絵を描くにあたって全てのアルバムを聴いた
というポール・ロジャースのトリビア的解説もあり、味わいに深みを加えています。
が、作品の背景を知らなくても、純粋に存在感ある絵本といえます。
ボブ・ディラン自伝
気になるところといえば、一人称が「わたし」なところぐらい。
詩のような言葉に、率直な内容。人生について考えさせられます。
「伝説」とされたこの人が、死んだり気がおかしくなったりすることなく生き残っていて、いつも客観性をもって自分や環境を見ているところは驚かされる。(情けない自分でいることの大切さのほうをいつも選んだ)
そして当たり前かもしれないけど本当に音楽を愛している人だとあらためて思った。ほかの人たちを褒めているところがたくさんあって、それも愛すべき感じ。
ルーツ・ロック・レゲエ [DVD]
ものスーーゴクだらだらだけれ二プロデュースしてるようだけど、あの独特のリズム感は後にも先にもリーペリーのすご腕が覗けるストーリであるよ。まさにジャマイカの独自性を見れた気がします。
ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム [DVD]
かつて若かりし頃、いわゆるディラン本を読んでは、その難解さに断念したものだ。しかし、この映画を観て、ボブ・ディランにまつわる謎は、すっきりさわやかすべて解かれた。なんてことはない、ディランは(類い稀なる音楽的才能を持った、ちょっぴり偏屈な)ふつうのひとだった。思えば、本人もインタビューで、ずっとそう言ってきたんだったっけ。
でも、ディラノロジストたちにしてみれば、ディランはちょっぴり謎めいたままでいてほしいのかな。その証拠(?)に、この直後に、『アイム・ノット・ゼア』という映画が、ボブ・ディランを再び謎の迷宮に連れ戻してしまった。私はどちらかというと、スコセッシ監督が暴いてくれた、ちょっと頑固な爺さんが好きだ。この作品の意義深さを思うと、『シャイン・ア・ライト』なんて霞んで見える。