少年ジャンプ勝利学 (勝利学シリーズ)
「少年ジャンプ」のマンガとの係わりを、体操の内村航平選手など
15名のトップアスリートと熱く語った一冊。
ソフトボールの上野選手は「スラムダンク」全冊を北京まで持って
行ったという。
「スラムダンク」によってバスケットボール人気が沸騰し、田臥雄太
を生んだ。
「テニプリ」がテニス人気をもたらし、「キャプテン翼」は今に繋がる
サッカー人気を残した。
どうして、マンガは読む人を熱くさせるのだろう。
本書で紹介されているアスリートとマンガとの係わり合いから分かるのは、
実にストレートな、頂点を目指す強い意志だ。
彼らがマンガに感じる共感はそこなのではないだろうか、と思った。
「少年ジャンプ」には、本書に出てくる「ONEPIECE」「NARUTO」
「トリコ」「スラムダンク」「こち亀」「BLEACH」「DRAGONBALL」
などなど、シリーズ1億冊を超える部数を発行しているオバケのようなタイトルを含む、
そうそうたるラインナップ以外にも、「テニプリ」「ひか碁」「るろうに剣心」
「キン肉マン」「Dr.スランプ」などベストセラーになり、記憶に残るマンガは
いくらでも思い出されてくる。
「少年ジャンプ」の標語は「友情・努力・勝利」ではあるが、本レヴューのタイトルに
した、キャプテン翼の「ボールはともだち」という言葉には、その標語にある苦しさを
吹き飛ばす、楽しさがあふれている。
特に「努力」は辛さ、苦しさと共にあることを意識させるが、「ボールはともだち」には
辛さや苦しさは微塵もない。
本書を読むと、昔の「巨人の星」や「明日のジョー」の時代からの変遷を、今更のように実感する。