イングマール・ベルイマン コレクション [DVD]
このBOXセットの中で最もベルイマンらしくないように見えて、最も興味深いのがこの映画です。とにかく1920年代のドイツベルリンを再現した映像に圧倒されます。重厚な色彩のスヴェン・ニクヴィストのカラー映像には鳥肌が立つくらいの・・・。何と言っていいのでしょうか。この映画の映像を観ていて思い出だしたのは、マイケル・チミノの「天国の門」のV・ジグモンドによる完璧な映像美です。リヴ・ウルマンいわく、「ディノ・デ・ラウレンティスにより強大な予算を与えられてベルイマンは舞い上がっていた。それまでのベルイマンが得意としていた人間を描くことよりも街路や建物の外観を描くことに夢中になっていた。それまでは15人程度のスタッフ、キャストで撮影していたのが100人規模の撮影になったのだからと。」でもこのお金をかけた豪華セット、美術はすこぶる魅力的。ベルイマンらしくないことで失敗作と見なされているようですが、ヒトラー台頭前の時代の空気を濃厚に感じさせるところに既にベルイマンの意図は成功しているのではないかと思います。これまで個人としての人格崩壊を描いてきたベルイマンですが、ここでは国家としての崩壊を拡大して描きたかったのではないでしょうか。蛇の卵とは、薄い膜を通して見える蛇(怪物)の姿を表しています。この映画はヒトラー蜂起の失敗で終わりますが、明らかに第二次大戦でのナチスドイツの怪物を作り出した土壌を描いています。二度と同じ過ちを繰り返してはいけないという強烈なメッセージとも思います。20年代のドイツ表現主義を再現したかったのではないかという映画研究者の発言(特典映像)がありますが、セント・アンナ病院の迷宮のような描き方を含め、何かフリッツ・ラングのドクトルMを思わせるところもあります。個人的にはこの作品を観るまではB級アクションスターという印象しかなかったデヴィッド・キャラダインがもの凄く魅力的で存在感を感じさせて素晴らしいです。
では、クルト・ワイルの三文オペラ ’アラバマソング’ を聴きながらこの映画の余韻を楽しみたいと思います。
処女の泉 [DVD]
イングマール・ワイズマンの傑作です この映画に描かれているのは男の残酷な性への欲求
それを残酷な形で見せました 映像が美しくその犯される少女もとても綺麗な子それだけに
恐怖感が迫ってくるんですね 神を信仰する男が復讐を果たした後娘の死んだ土から
水が沸くシーンの美しさそして神々しさ この映画は男の残酷さを描いたワイズマンの傑作です
30歳の保健体育(1) (IDコミックス REXコミックス)
30歳保健体育の井本りかこ先生バージョン
弁当はくれるは、メアドは自分から渡すわで
もうスキスキビームでまくりのヒロインって
別にクピドなんていなくても、どうにかなったんじゃないの?
って感じしますが・・・
グレゴリアン・チャント・ベスト
本CDは岡田暁生氏の『CD&DVD51で語る西洋音楽史』(新書館)において2番目に引用されたもの。単旋律の単調さは退屈といえば退屈ではあるが、曲想の厳粛さは教会のひんやりとした静謐さを感得させ、何かこう粛然とさせられるものがある。思えば、同書で最初に引用された『地中海のクリスマス』に収録された作品群と本CDの作品群との「落差」こそが、非西洋キリスト教世界から西洋キリスト教世界への「純化」の歴史的過程を如実に物語るのであろう。
「鳴り物や手拍子やしわがれた声といったノイズで溢れた「土着の」音楽に熱狂していた異教徒たちを、静けさに満ちたキリスト教の神の国へと帰依させる。そんな使命を、聖歌は担っていたのだ」(同書16頁)。
「中世の芸術に共通するのは、生きた感情と身体を欠く不思議な抽象性である。恐らくそれらは生身の人間が楽しみ味わうものではなく、魂が身体から遊離した後の彼岸世界の予感であり、「この世ならぬもの」の顕現の告知だったのだろう」(同)。
「当時の人々にとっての本来の音楽とは、この世界を調律している秩序のことだった」(同書17頁)。
なお、念のため同書16頁に示された「図1」だが、本文との対応関係が全く違っている。誤挿入であろう。