007/ロシアから愛をこめて (創元推理文庫)
ショーン・コネリー主演の映画『ロシアより愛をこめて』の原作であることは改めて言うまでもないが、原作というよりは原案としたほうが正しい。
この作品に関しては、映画のほうが遥かによくできているし、断トツに面白い。
映画の順番と異なり、この小説はシリーズ第5作だから、中だるみだったのかもしれない。ストーリーに魅力がないのが一番の欠点。ただし、登場人物の描写やアクションシーンはさすがフレミングならでは。映画と違って、かなりローテクで驚く。
本国では私が生まれた年(1957年)に発表されたので、当時の雰囲気を知ることができる。
007/ロシアより愛をこめて 特別編 [DVD]
007の魅力を確定した、シリーズ随一の傑作と言って良い。
第一作ドクターノオのヒットによって、予算を気にせず製作されたから、脚本からセットに至るまで、練りに練られた映画となっている。
それらの裏事情が、解説音声にたくさん詰まっている。
まずは、ボンドガール。前作のウルスラ・アンドレスが大評判になったので、それ以上の美女にこだわって、宣伝を兼ねた大々的なオーディションを実施した。
三人の最終候補から、ミスユニバース二位のイタリア人ダニエラ・ビアンキに決めたのは実はショーン・コネリーであった、とか。英語がダメで、吹き替えになってしまったことも、前作のボンドガール同様。
ネズミの大群の撮影秘話も実に面白い。野生ネズミは全て保健当局に没収されてしまうたァ?!??当初白ネズミにコーヒーパウダーをまぶして撮影しようとした。すると、互いに毛をなめ合ってしまってまだらのネズミになってしまって大失敗。紆余曲折合って、最終的にはスペインのネズミを使ったという。その紆余曲折ぶりをぜひ楽しんで頂きたい。
さらに、何と言っても、イスタンブール支局長の名優ペドロ・アルメンダリスのエピソードが秀逸。彼は末期ガンに冒され余命数ヶ月と宣言されながら、この役を降りなかったし、下ろさせなかった。先に彼のシーンを無事撮ってしのいだが、彼は映画の完成を見ていない。男の中の男と絶賛されていた。
そのような役者やスタッフのエネルギーが溢れる映画であること、音声解説でぜひ確認して頂きたい。
それらの熱意の賜、傑作でないはずがない。
007/ロシアより愛をこめて オリジナル・サウンドトラック
映画のほうは文句なく名作。007がシリーズになったのもこの作品が大ヒットしたからです。ショーン・コネリーが「サー」の称号を与えられるほどの名優になったのもこれがきっかけ。いろんな面でエポックメイキングの作品ですが、音楽もいいです。マット・モンローの主題歌はヒット(日本では大ヒット)したから当時の人は誰でも知っていますが、このサントラ盤はなかなかの作品です。オリエンタル風(イスタンブールで展開されたお話ですから)でスパイ物ですからハラハラドキドキの静から動へのドラマテックな展開等々、聞いておりますとその場面が目に浮かんできます。ジャケットもいいです(これはレコードの方が大きくなっていいですね)。多分ボンドガール人気投票をしたらトップになると噂されるダニエラ・ビアンキです。
007 ロシアより愛をこめて【字幕ワイド版】 [VHS]
先に『ドクター・ノオ』と『ゴールド・フィンガー』は観ていたが、友人に言わせると「やっぱり、『ロシアより愛をこめて』が一番」とのこと。
確かになかなか堅実な作りで、ボンドガールや悪役にも風格のようなものさえ感じられる。が、こちらがOO7シリーズに期待しているのは、荒唐無稽ともいえるストーリー展開や秘密兵器、そして派手な見せ場の数々。その点では本作はやや地味で、『ゴールド・フィンガー』に軍配は上がる。
但し、ボンドガールのダニエラ・ビアンキ(すごい美人)とロバート・ショーの殺し屋は絶品!スペクターのNo.3という女性悪役も、ちょっとコミカルでなかなかイイ味出している。