チャート式 数学C
検定教科書レベルの問題から入試標準レベルの問題まで、網羅的に収録されており、学校などで基本事項を学ぶのに平行して使用することで、使用者のレベルを受験レベルまで引き上げてくれる良書です。
類書の中でも抜群の網羅性を誇っているので「解法事典」としても有用です。
例えば、本書には教科書検定の制約から検定教科書では扱えないが、入試対策を考えると必要な内容(例:1次変換と図形)が基本事項から丁寧に解説され、系統立てて収録されているので、これらの内容をしっかりと学びたい人にとっても有用です。
また、新課程版「赤チャート」の特徴として、例題の「解答・解説」が個々の問題の解法については簡潔明瞭な「答案」で示しつつ、「指針」「LECTURE」という解説で「その問題の解法はなぜそう考えるのか」「別の問題にどのように適用すればよいのか」という「考え方」を丁寧に記述しているというのがあります。これは本来の意味での「応用力」を養ってくれると思います。
しかし人によっては、「解答の簡潔さ」を「解答が省略されている」と感じる人もいると思います。
ただ、それは断じて「省略」などではありません。良い「解答」というのは的確に、ポイントを絞って簡潔かつ明解に示されているものです。
こういったことから、赤チャートを使うことで模範的な「試験での解答の書き方」も学ぶことが出来ると思います。本書の使用者にはぜひこのようなことを意識して使ってもらいたいです。
赤の広場―ブレジネフ最後の賭け (1983年)
週刊文春1983年 海外3位
1982年1月22日 ソ連国家元首ブレジネフの義弟にしてKGB第一次官ツヴィクーンがピストル自殺を図った。検察庁特別重要事件捜査検事シャムラーエフは、ブレジネフの命を受け徹底捜査を開始するのだが、KGBの妨害工作のため難航してしまう。体制を強化し、捜査活動を継続するうち、ブレジネフ失脚の陰謀が明らかになってくる。 ・・・
ブレジネフからアンドローポフへの政権交代の過程で、実際におこったツヴィクーンの自殺事件をもとに、謀略小説として描いている。当時のブレジネフ・マフィアの摘発を背景としてるし、実在の人物が多数登場するんで、出版時タイムリーに読んでいれば相当面白かったんだろう。鉄のカーテンもすっかり過去の出来事。今や想像力を要する作品になってしまっている。登場人物がやたら多い上に、名前がまぎらわしく(同一人物の別名も混在するんで)、ひたすら読みにくい。最後まで読みすすめて、面白さは実感できるんで、努力の甲斐はあるんだけど。
シャムラーエフが捜査で訪れた西側で、ものの豊富さより、花屋に感慨を覚えるくだりは印象的。マーティン・クルーズ・スミス『ゴーリキー・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)』『ゴーリキー・パーク 下 (ハヤカワ文庫 NV ス 10-4)』よりはソ連の国内事情はリアルに読み取れると思う(スミスと違って、こちらは亡命作家なんで)。
この頃の週刊文春のベスト10を見ると、ソ連ものが流行っていたようにみえますなぁ。
Geisterガイスター(日本語版2012新版)
自分も相手も、悪いおばけと良いおばけが4匹ずつ、計8匹が持ちコマ。
相手にはどれが良いおばけでどれが悪いおばけかがわかりません。
毎ターンおばけを一匹ずつ上下左右のいずれかに1マス移動させ、
先に相手の良いおばけを全部とるか、自分の悪いおばけを全部とらせるか、
相手側の出口から良いおばけを脱出させれば勝利というゲームです。
ルール自体は単純で将棋のような戦術性はあまりありません。
このゲームは戦術というよりも心理戦。
相手が何処に良いおばけを置き、何処に悪いおばけを置いているかを
読みあうのが楽しいゲームです。
それゆえに、相手の事を良く知り、
なおかつ、プレイヤーが双方ともに心理を深く考えるタイプだといいのですが、
相手の心理を考えるのがあまり得意ではなく、
なんとなくでコマを動かしてしまうタイプだと、
このゲームはあまり楽しくないかもしれません。
単純なコマの取り合いになってしまい、
気づけば勝負が終わってしまっている事がままあるので・・・・
知り合いの間でも好き嫌いが結構分かれるゲームとなっております。
(そういうタイプの方でルールの簡単な駒取りゲームが楽しみたい方は、
「どうぶつしょうぎ」の方が楽しめるでしょう)
最後にセットなのですが、値段の関係もあるのでしょうが、
おばけのコマの出来があまりよろしくありません。
安っぽい材質で中が空洞になっている薄いコマで、なおかつ
私の買ったセットのコマはバリがついているコマが数個(カッターでそぎ落とした)
頭に汚れがあるコマが2個(相手のコマを読むゲームなのにこれは辛い!)
と、正直これなら値段を上げてもいいから、もっと作りをマシなものにしてくれと思いました。
面倒くさがりでないなら、良い悪いを判別するピンを抜き差し出来る仕様なので、
ゲーム毎に入れ替えれば汚れなどで判別出来なくなりますが・・・もう少しなんとかして欲しかったです。
ライヴ・イン・レッド・スクウェア [DVD]
ポールの映像で必ず出る批判が「コンサート以外の映像が多い」です。
それが、DVDの評価を下げる要因になりえるでしょうか??
そういう方はコンサートへ行けばいいのでは?まぁ3000円ではチケットの半分も買えませんが。
コンサートそのものをDVDに期待してもしょうがないでしょう、ポールが今提供できる
アウトプットをこのDVDにしてくれたわけです。
出し惜しみもないし、正当に評価して☆5個以外の評価ができない方は単にファンではない、
というだけです。
歴史的ライヴということが強調されているモスクワでのライヴ分は、正直ライヴを楽しむフィルムとは言いがたいです。やたらとインタビューが挟み込まれていて、リーフレットの注意書きにもあるようにドキュメンタリーになっていてライヴ部分は添え物的です。ポールのロシア訪問記として見るなら、ボーナス映像でも十分かもしれません。
むしろ2004年のサンクト・ペテルブルク公演の映像の方がストレートにライヴを映していて楽しめます。ライヴ・ビデオはこれでなくちゃ。
私は他のミュージシャンのライヴものを多く知っているわけではないので何とも言えませんが、少なくともポールのものを見ている限りでは、向こうの人たちはライヴはあくまで生で楽しめ、フィルムやビデオはライヴを素材にしたまったく別物だという考えで作っているようにしか思えませんね。それでも買い揃えてしまうのは、ファンの哀しい性のように思えてなりません。