城南大学の学生、小島(鶴田浩二)は、親友の太田(高橋貞二)とともに、木村(河村黎吉)家に下宿している。木村家の1人娘、君子(桂木洋子)は、誠実な小島に密かに思いを寄せていた。ある日、アルバイトで化粧品の販売をしている太田のつきあいで、小島は、新しく開店した化粧品店ワコーの未亡人マダム、村川(高杉早苗)と知り合う。2人とも絵に興味があったことから、急速に親密になり、小島は村川に恋愛感情を抱くようになるが…。松竹における脚本家の重鎮、池田忠雄による恋愛メロドラマ。年上の女性と純情な大学生の恋愛という文学でも多く扱われた主題と恋愛感情の機微が、松竹らしい庶民生活の目線から細やかに描かれている。岩間が監督し、鶴田浩二、高橋貞二、桂木洋子のトリオが出演している作品としては、『大学の虎』に次ぐ作品だ。『男の哀愁』が本作の題名ではあるが―また、クレジットのビリング(順序)では、鶴田の名前が一番だが―、本作の実質的主役は、未亡人を演じる高杉と言うべきだろう。そして、題名は『女の哀愁』と言ったほうが正確だろう。それぐらい、高杉の存在感が際立って素晴らしい。『隣りの八重ちゃん』や『母の恋文』の頃のような、輝くばかりの若さを売りにした少女としての美しさも彼女の持ち味だったが、戦後、映画に復帰してからの大人の女となった美しさは、また格別のものがある。劇中、鶴田扮する学生が、「ローランサンの絵のように純情でエレガント」と村川を評するが、確かに、清楚で品がありながら、大人の女性としてのほのかな色香を漂わせているのは、33歳になった高杉でなければ出せない味だ。少女スターから成熟した女優への理想的な脱皮と言えるだろう。戦後の高杉の大人の女性としての魅力が遺憾なく出された作品として、渋谷実監督の『朱唇いまだ消えず』(日本版『逢びき』とも言うべき秀作だ)とともに記憶されるのが本作だ。高杉は、人生の酸いも甘いも経験して独立心のある女性でありながら、パトロンと学生の2つの愛の間で揺れ、苦悩する女心を、セリフを控えめにして、微妙なニュアンスの表情と間で表現している。岩間監督は、松竹の監督としては、主としてプログラム・ピクチャーを担当して、決して一流として名が挙がる人物ではないものの、本作での高杉の扱い方などからは、メロドラマ、女性映画が得意な松竹の社風が、きちんと彼の身体にも染みついているのがうかがい知れて実に興味深いところだ。高杉に対応するうぶで純情な桂木扮する君子(いじらしくて愛らしい!)の扱い方も手慣れたもの。題名がミス・リードしてしまっているようなところがあるが、本作は、松竹らしい女性映画の隠れた佳作だ。本DVDは、すでに松竹クラシック作品数本のライセンス盤を発売しているコアラ・ブックス(=オフィスワイケー)のもの。「松竹新三羽烏傑作集」と冠して、鶴田浩二、高橋貞二、佐田啓二の主演作を各5作品、全15作品を初DVD化した、映画ファンには何とも嬉しいシリーズのうちの1枚だ。マスターには、松竹が、(主として)「衛星劇場」放映用にHDテレシネしたものを使用。松竹ホームビデオ(SHV)が自社で出すDVDに比べて、徹底的なレストアはされていないので、目立つキズなどがそのまま残ってしまっているが、全体としては諧調も良く(黒も深みがある)、ディテール表現もなかなかの画質。音声もノイズが少なく、セリフも実に明瞭。51年の作品ということを考えれば、十分な質と言えるだろう。言うまでもないことだが、本編のみの収録で、予告編や特典などは一切収録されていない(事務的なチャプター分けはされている)。何はともあれ、コストと手間の点から、自社でDVDを発売することを躊躇する映画会社が多くなっている中で、こういった正規ライセンス盤が、廉価で発売されることは大歓迎だ。 男の哀愁 松竹新三羽烏傑作集 SYK-135 [DVD] 関連情報
彼の 全盛期の作品 と思って買いました。既に VHS でしかないのが 残念!! 極悪坊主 飲む・打つ・買う [VHS] 関連情報
この表紙を見たらもう、たまらなく欲しくなってしまい。(といっても主題曲が暗い「カーね^ション」は朝からテンションが落ちるので苦手)やっぱり、ヒロインが根暗で愚痴と妄想だらけという珍妙奇天烈な「ちりとてちん」は、面白かった!育休産休中ぐらいしか毎日朝ドラは見られなかったけれど、シングルマザーとして奮闘「私の青空」。初めて一つのドラマのサントラ盤を購入したよ、あの音楽、毎朝聴くのは楽しみだった。現役漫画家のリアルな新婚時代?「ゲゲゲの女房」、「歴代の人気朝ドラの解説やヒロインインタビュー、楽しい。ひたすら懐かしさ一杯。特に、「ちりとてちん」「ゲゲゲの女房」は思い出深い。今では本気で見ようと思えば録画も出来るし、BSの再放送を入れると1日4回放送。朝ドラ朝ドラと言ってきたけれど「テレビ小説」だったんだねと、改めて納得。私としては「芋たこなんきん」も好きだった。大阪のいい味を出していた。関東と関西で競うように創られているドラマの裏、当時を振り返るインタビュー。朝ドラ入門とも、回顧篇ともいえる、貴重な一冊。 連続テレビ小説読本 (洋泉社MOOK) 関連情報
この作品は鑑賞を.してないので購入しました.これからじっくりと.拝見します。 多羅尾伴内 鬼面村の惨劇 [DVD] 関連情報
昔懐かしい渡の大ヒット作を今また見られて大満足しました。繰り返し見てしまいました。画像もまずまずです。 無頼 黒匕首(くろドス) [VHS] 関連情報