ふわふわの泉 (ハヤカワ文庫JA)
冒頭も中盤も全く独自の軽快な空想『化学』小説(?)なのに、どうして結局『南の島から女子高生(でもないけど)が宇宙へ行く』 話になるんだろう。
と、思いつつも引き込まれつつ読んでしまったのは、『星に行く船』『星虫』『星のパイロット』『ロケットガール』、近くは『僕らは虚空に夜を見る』と読んできた僕のツボを効果的に衝くからです。
というわけで、作者のファンの方にはもちろん、上記の小説のなかで、どれか一つでも好きな作品がある人にはお奨めできます。
作者のSFにしては珍しく、物理じゃなくて化学を題材にしていますが、化学的な仮説も少なく、結局は物理の問題になってしまうのが少し残念なところです。
髪の長いおとなしい女の子も登場します。いい娘ですよ。
ロケットガール 6 [DVD]
いよいよ最大のミッションは、思わぬ事に。
はらはらどきどきひたすら燃える展開の中にも、
宇宙開発の本質を博士のセリフでさりげなく表現するなど、
なかなか感心させられます。
今回だけではないですが、WOWOW放送時のものと比べると
かなりの部分で絵の修正が入っているようで、完成度は上がっています。
オマケとしてむっちり先生のかわいいポストカード付き。
また3分ほどのパイロット版も収録されていますが、
これがかなり違う絵なので興味深いと思います。
ロケットガール 1 限定版 [DVD]
女子高生が宇宙飛行士、でもしっかりSFしてます
野尻抱介著「ロケットガール」が原作
有人飛行を成功させる為、体重の軽い者つまり女子高生を宇宙飛行士に任命
女子高生が宇宙飛行士という一見いかにもライトノベル・アニメ的設定だ
しかし、その設定にも(ハード)SF的に合理的な理由がある
また、有人ロケット打ち上げの技術・スキンタイト宇宙服などなども非常に興味深い
沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)
薄い。しかも苦手なハードSF。
期待せずに読みましたが、素晴らしかった。
等身大の宇宙が描かれています。作者の熱い想いがストレートに胸に響きます。
ロマンとワンダー(驚異)がぎっしり詰まった本。
まだ早いですが、本年度ベスト1。
南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)
タイトルと表紙でかなり損をしている感があるが,本作は紛れもなく本格ハードSFである.しかも,ここ10年くらいを見渡しても,この分野で本作に匹敵する作品を挙げることはできない.
最近は2年ばかり「ハードSF」に値する作品に当たらず腐っていたが,一気に解消した.個人の感想だが,読後の爽快感は「創世記機械」「夏への扉」に匹敵する.
ハードSFの定義についてここでくり返す愚は犯さないが,科学技術のバックグランドをストーリーへと結びつける巧みなアイデアは野尻作品の面目躍如.これはA. C. クラークやJ. P. ホーガンの(初期の)作品群にも通底するものがある.また多くのハードSFと同様,本作も科学者,技術者達が主人公であるのが嬉しい.
一見して無関係なオムニバス形式の連作と思いつつ読んでいくと,それらが最後に壮大なストーリーへと昇華する.伏線の回収も見事な一冊.
是非,高校生までの若い人に読んでもらいたい.その後の人生を方向付ける一冊になるかもしれない.
難点を言えば,所謂「楽屋オチ」が,それを知らない人にどう取られるか,という点だが,長門有希もゾラックも知っている私に隙は無かった(笑).その意味では胸熱の一冊でもある.