天然コケッコー [DVD]
「天然コケッコー」は島根の農村の豊かな田園風景を取り込みながら、夏帆演ずるカントリーガール「そよ」と岡田将生演ずる東京ボーイ「広海」の初恋を、微細に変化を繰り返す若者の心情を丁寧に描き込んで紡いだ秀作である。そして、里香漂う豊かな自然の中で見せる、「そよ」の清冽さ、「広海」の朴訥さに多くの大人は、ノスタルジイのみでなく、ゼロ年代の若者に対する安堵(大げさに言えば、この国の将来への希望)を覚えたのではないだろうか。私は池袋の劇場で観たが、やたら大人が目立った。本作は、ゼロ年代の疲れ切り、自信を失った大人たちの心を鷲掴みにしてしまった、究極の癒しの映画だったと言えよう。
特に私が好きなシークエンスは、そよが広海と2人で東京に修学旅行に行けると聞いたときの喜びよう、けれど着いた先でそよは東京に対する適応障害で体調を崩してしまう。そういう、若者のごく単純な心や身体の起伏が丁寧に撮られている。そよの純粋さはとても愛おしい。また、体調が悪いにもかかわらず、広海が東京時代の悪友から土産だと渡されたコンクリート片(お土産がコンクリート片というのは明らかにハード中心の東京の都市生活に対するアイロニイが感じられる)をただの洒落だと捨ててしまったものを、そよは秘かにスポーツバッグに入れて、数キロの荷物を引きずりながら東京の名所をくたくたになりながら歩く。そよは、恋しい人を半ば冗談まじりにでも励ましてくれた友達の好意に自分なりに必死に応えようとする、そのひたむきさに思わず落涙した。
ところで、本作公開時は「恋空」ブームで、同じ純愛ものでも、恋空は女子高生、コケッコーは30台以上の男女と観客の層はかなり明確に別れたのではないか。
「恋空」はお手軽な純愛マニュアル的性格を売りにして主人公と同世代の女子から圧倒的支持を広げた。これに対し、コケッコーはべたと言えばべた、Boy meets girlの原則どおり、
周囲をヤキモキさせながら、そよと広海はゆっくりと心をつないでていく、そこには青春の持つ、不安、悩み、焦燥感、やるせなさが丹念に描かれている。
個人的に映画に優劣はつけられないと思う。ただ、「恋空」にはまった人には、是非コケッコーも観てほしいと痛切に思う。
最後に、本作は主要舞台となった島根県の全面支援を受けたと思われる。地方公共団体が、観光振興などのために、いわば地産映画を作ることが近年増えている。頭の硬いお役人が文化を考えるのはよいことだ。本作は、ゼロ年代の代表作であるとともに、地域主権型映画の代表作としても後世に語りつがれると思う(尾道市が大林監督の尾道三部作の名所をまわるウォーキングーコースを設けたのは有名だが、本作でも同様の試みをすれば、結構集客力があるような気がする)。
ゼロ年代は、日本映画界にとっても「空白」の10年になりかねなかった。それを救ってくれたのが、「天然コケッコー」だったのだ。
砂時計 スタンダード・エディション [DVD]
恋愛話の裏に重いテーマが潜んでいます。
ストーリーは、島根の農村に引っ越してきた中学生・杏は、母親が
人生に疲れて自殺してしまい孤独になるが、近所に住む大悟に
「ずっと一緒におっちゃる」と力強く宣言されて初恋を実らせるも、
その思いに疲れて別れたことを後悔している、というもの。
出会った幼馴染3人との初恋について、出会いから結婚までの道のり
を丁寧に描いた作品でしたね。特に、中学生から高校生にかけて、
笑ったり泣いたりするところが、本人たちも楽しそうに演じていて
良かったです。
杏も母親も思いつめて…というところがありましたが、その苦悩や
後悔にもっと共感できるような流れだとさらによかった。悩んでる、
でも母親は居ない、彼氏にも相談できない、どうしよう、とネガティブ
ループをもう少し。タイトルの「砂時計」のように、過去はいつか未来
になる(ひっくり返せばまた新たに時を刻む)というメッセージは分かり
やすいだけに、残念でした。
出演した夏帆は、「うた魂♪」でも拝見しました。喜怒哀楽の「喜」
「楽」の演技がとても良いですね。相変わらず「哀」の部分がサッパリ
しすぎてましたが、ひょっとしたら、現代っ子はそういうもんだという
ステレオタイプに填められて演技しているのかも。うーん。
また、成長した杏を演じた松下奈緒もきれいですね。こんなOLさん
が職場に居たら勇んで仕事に励むことでしょう(笑
映画に登場する世界最大の砂時計も実物を見たいな〜
CM NOW (シーエム・ナウ) 2012年 05月号 [雑誌]
今更言うまでもありませんが表紙の前田さんは先日、AKB のメンバーを卒業することを発表しました。
ファンや芸能界に大変な衝撃が走ったのはさておいて、今春もAKB の新作CMが相次いでいます。
前号で紹介できなかったCMを含めて特集は全14社26ページ展開、前田さんの卒業に気落ちしている方も
これで元気付けられることでしょう。WONDA 全90タイプのCMでは、誰がどんなセリフを発しているかが
判り、鑑賞への助けとなります。
新垣さんもNTT 東日本のCMに長年出演されているということで、今号では2005年から12年まで振り返る
コーナーが設けられています。息の長さが感じられると同時に、懐かしさも覚えるような企画でした。
新作は9名。とりわけカルピスの能年さんと東京ガスの未来さんは今後の活躍が期待される逸材です。
以下は内容紹介の補足となりますが、この季節ならではの「予備校イメージガール」や若手に着目した
「登竜門の今」など、今まで以上にトピックが豊富で読み応えのある号という印象を強く受けました。
「パンテーン」のCMに出演している6名を取り上げた別冊付録の小冊子も見逃せません。
ケータイ刑事 THE MOVIE2 オリジナル・サウンドトラック・アルバム
え?『雷』のオープニング曲収録されてないの!?
前の映画サントラは映画版の曲ではなく
銭形四姉妹シリーズで使った楽曲目当てで購入したんだが・・・。
・・・多分買わない。レンタルならともかく。
…ただ、『ケータイ刑事』のシングルは限定発売なんで
音源入手はほぼこちらに頼ることになりそうなんだよね…。