ニッポンのロック・ギタリスト達 Vol.1
5年ほど前、ギターワークショップのオムニバスが出ましたが、それと似たコンセプトでかつI-IVまで。凄い。ロックよりフュージョン系がメインですが、「BOWWOW」なんて名前は知ってたけど、初めて聴きました。よいではないですか。個人的には是方さんの大ファンなので、廃盤となっているデビューアルバムの音源がCD化されていて、嬉しいです。ついでに是方さんのLP,全部CD再発してくれないかなあ。LPでは全部持ってるけど。
ライナーに書いてある通り、日本のギタリストの皆さんは、充分世界で通用することが実感できるシリーズです。
ばらの坂道 上 (ジョージ秋山捨てがたき選集 第 7)
本書が再び世に出るとは、何て素晴らしいことでしょうか!世の中何が起こるかわからない。青林工藝社の皆様の勇気と英断にひたすら感謝です。下巻にホームコミックス未収録ページがあることを期待しています。
アシュラ (下) (幻冬舎文庫 (し-20-3))
アシュラ(下巻)はアシュラに人間の愚かさと、「それでも人間を愛せ」という高僧の教えに迷い始めるアシュラを描いていきますが…アシュラがしていくことは飢餓の中で人を殺していくこと…。
しかし、同年代の村の子供達がそんな残酷なアシュラに共感を抱き、ついには都までお供をしながら生き様、死に様を見ていこうとする姿が印象に残ります。
最後、アシュラはついに自分を焼き殺して食おうとしていた母親に復讐を成し遂げますが…
アシュラにも人間としての心があることが最後の数ページに掲載されております。
復刊まで実に4分の1世紀は待ちましたかね。しかし、素晴らしい作品です。極限状態の人間が置かれる飢餓、地獄絵…しかし心の奥底に捨てきれない「真実の愛」。名作、これ以上廃刊にしないで下さい。出版社の勇気に感謝。ジョージ秋山氏に深謝です。ありがとう。
アシュラ (上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))
中世の日本か、時代錯誤も甚だしい昔の世界を舞台にしていながら、ぞっとするようなリアリティのある話だった。
本当に人間は、食べ物が無くなると、こんな風に悲惨になるものなのだろうか?
飢えていない頃は家族愛や恋愛、友情などに結ばれていた人間たちが、飢えていくにつれ疑心暗鬼の目になり、他人のものを盗み、陥れようとする。
自分が最も信頼している人でさえ、敵へと変わっていく恐怖。
人間が人間であるための一番大切な部分が、飢えのために徐々に失われ、剥ぎ取られていくさまが、克明に描かれていく。
その中で、最初から人間の愛を与えられなかった主人公アシュラだけが、人間的感情に無知ゆえに、本能の赴くまま人肉を食らい、着の身着のまま生きている。
しかしやがてそのアシュラも、自分を気にかけてくれる法師や、父、若狭などの人間と出会い、
最後に自分にひどい仕打ちをした母との再会をすることで、ようやく人間的な感情の存在に気づいていく。
しかしそれは逆に、アシュラに自らの呪われた過去を思い出させ、「生まれてこなければよかった」という哀しい結論を彼に抱かせるのであった…。
全体を通して、救いようも無く暗い物語。
人間の愛情は、飢えの前にこんなにも脆く崩れ去ってしまうものなのだろうか?と真剣に考えてしまうことは必至です。名作だと思います。
歌謡曲番外地 東宝レコード映画・TV編~銭ゲバ大行進
歌謡曲番外地、映画・TV編であるが、『お尻の歌だもんね!』と同様濃厚な歌の世界が展開される。冒頭〜3曲目までは浜口庫之助作曲作品が並ぶ。唐十郎が歌う「銭ゲバ大行進」「銭ズラよ!」は映画『銭ゲバ』の主題歌。一方でパワー全開、方や心の底からこみ上げる怨念のような両極が火花を散らす歌の世界は絶妙のバランス。
鹿島とも子の歌う「愛ふたたび」「走れニコ」も素晴らしい歌唱で文句なし。特に途中からフランス語で歌われる後者はエレガント。大矢茂の隠れた名曲「アダムとイヴのように」は、加山雄三「君といつまでも」を彷彿とさせる。水原ゆう紀+トゥエルブ「ぼくらの名は青春」「思い出」はほんわかとした雰囲気のさわやかな青春歌。
それにしても映画『巨人軍物語 進め!栄光へ』の主題歌までも入っている。まさに歌の一大エンターテイメントのようである。ただどうせ本郷直樹を入れるなら、傑作ハードボイルド・アクションドラマ『白い牙』の主題歌も入れてほしかった。
とにかくどれもこれも、どこから聴いてもこの作品群の素晴らしさを充分堪能できる、そんな奇跡のようなアルバムである。