7つの黄金郷(エルドラド) (1) (中公文庫―コミック版)
うろ覚えですが、『三銃士』や『岩窟王』やアルセーヌ・ルパン(だったかしら)
そんな色々な面白さを詰め込んだ作品を書きたいと作者がどこかに
書かれていました。確かに影響をうけています。
舞台は16世紀末エリザベス女王の統べる英国。
スペインとの宗教戦争のまっただなか、王家の血を引く双子と
美貌の敵国人、そしてかっこいい同国人たちの恋の物語です。
伯爵や公爵や女王陛下や枢機卿などがでてきます。
ジプシーや泥棒や海賊や幻のインカの伝説なんていうのもでてきます。
こんなタカラヅカ真っ青のような豪華な設定の少女漫画が昔はあって
週刊誌で毎週読むことができたなんて、とても幸せなことでした。
確かに微妙に荒唐無稽だったり、歴史の考証ミスはありますが、
たとえば『三銃士』の荒唐無稽が決して作品のキズではないように
この作品の荒唐無稽さも、作者の執筆の勢いとして、光り輝くように
感じています。
また、この歴史考証はどうのこうのというのも少女漫画の読み方としては
つまらないものだと思いますので、西洋史に詳しい方も目くじらを
立てずにロマンの旅にでてほしいです。
読後に、登場人物の名前の由来を映画スター、歴史上の人物
小説の登場人物などに探したりするのも楽しいです。
もしかしたら、暇人向きでしょうか。
残念ながら未完ではありますが、1部から3部まであり、各部で完結した
ストーリーですので、十分楽しめます。
1部と2部だけ読むという読み方もあるかもしれません。
この作品の完結を願っていましたが、このような素敵な漫画に
子供のころに出会えただけでも、私は作者にとても感謝しています。
そして、とても才能のある漫画家であった山本鈴美香さんが少女漫画界から
早くに去ってしまわれたことを、いつまでも残念に思います。
エル・ドラド [DVD]
保安官とその仲間たちが悪い奴らから街を守る、というハワード・ホークス監督
お得意の西部劇。
主題歌最高。男の、男による、男のための歌という感じで、ここまで男くさいと
汗臭さというよりむしろすがすがしさを感じます。
"But you never turn back"という歌詞を「男は決して引き返さない」と訳している
のですが、この意訳最高ですね。聴くたびにゾクゾクします。
ストーリーは同じ監督の名作「リオ・ブラボー」の焼き直しという感じで、ジャイアン
がブタゴリラになったくらいの違いしか感じませんでしたが、ホークスの明るく
華やかな演出はやはり楽しいです。
ジョン・ウェインとロバート・ミッチャムの2大スターの共演ですが、この二人、
画面上での相性が非常にいいです。「アパッチ砦」でのウェインとヘンリー・フォンダ
の共演は、なんだか火花が散っている感じでしたが、この二人はしっくりかみあって
いる感じがしました。
一番気に入ったシーンは序盤のナイフと拳銃の決闘ですね。結局ナイフが勝って、
このナイフ使いミシシッピがウェインの仲間に加わり、ショットガンを持って暴れま
わることになるのですが、このシーン、静から動へと一瞬にして変わるこの緊張感の
演出はさすが娯楽映画の天才、ホークス監督だと思います。
「リオ・ブラボー」ほどの傑作ではありませんが、良くできた秀作という感じで、
おすすめできる男たちの友情と戦いを描いた痛快アクション映画です。
エルドラド
数あるELOのアルバムの中で最高だと思う。最大の特徴は前作までメンバーに任していたストリングスをプロのクラシックミュージシャンに任せたこと。これで一気に一流バンドのアルバムに仕上がった。ジェフもストリングスアレンジに一番神経を使ったと言っている。これが大成功している。いわゆるトータルアルバムだがまさにひとつの物語絵巻を見ているような心地よい気分に浸れる。聞き終わった後の満足感はELOのアルバムの中では最高だ。ところがこのアルバムは一般には評価はそれほど高くないというかスルーされている。とても残念です。トータルアルバムとしては良いが一曲づつばらして聞くと曲が弱いのかなあ。
それともトップテンに入ったシングル曲が無いからだろうか?このアルバムはもっと関心を持たれてもっと評価されてもいいと思う。聞き方としてはエルドラドファイナルが終わったら一旦CDを止めて余韻に浸りたい。それからエルドラドのインストナンバーを味わいたい。ラストのナンバーは蛇足ですね。これだったらボーイブルーか他の曲の別バージョンでも入れてくれたらいいのに
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役柄、ストーリー展開など限りなく『リオ・ブラボー』に似ている。
特に、ロバート・ミッチャムのアル中などは、あのディーン・マーチン
そっくりだし、若いんだが頼りになるミシシッピー役のジャームス・カーンも
コロラド役のリッキー・ネルソンみたいだ。そして、老いぼれえ保安官役まで
そっくりだ。ホークス監督のこだわりが伝わる作品だね。
それにしても、正義と忠誠心があれば、誰でも簡単に保安官になれてしまう
ところなどは実にアメリカらしい。
町のセットはアリゾナ州オールドツーソンにあるスタジオでの撮影だが、
かなり凝ったセッティングにリアルさがあった。あっぱれ。
ただ、ミシシッピーの迫力十分のショットガンだけは勘弁して欲しいね。
あれでは近くにいる奴みんな吹っ飛んでしまう。
7つの黄金郷〈5〉 (中公文庫―コミック版)
いよいよ第3部となりました。
個人的には、この3部はいろいろと苦手な部分が多いのですが
敵側スパイ総元締め、紅蜥蜴の正体と素顔が明らかになるため
やはり、読まずにすごすわけにはいかないでしょう。
(素顔は、第6巻で登場します。もちろん美形)
畏れ多くもローマ法王などもでてまいります。
2部に比べて、作者は不調だと思いますが、5巻部分は
少なくとも絵は綺麗です。
3部の冒頭のエピソード、クレメンテ公が紅蜥蜴に疑われ
オリビエが拷問される、というのには感心しません。
2部で刺青の公表役を受け持ち、また、スコットランドに同行して
双子の身を守ったという一連の出来事を無視しています。
クレメンテ公が紅蜥蜴なら、オリビエはとっくの昔に暗殺されていた
はずです。
この不自然な設定はひとえにクレメンテ公の過去を明かすために考えられたのでしょうが
その場面の公があまりにもせつなく美しいので、ひとまず設定の不自然さは
不問に付します。
しかし、6巻部分ではクレメンテ公は瀕死の重傷を負い、
お風呂にも入れなくなってしまうという
あまりにもロレンツォさまをないがしろにしたこの3部って
もう少し何とかならなかったんでしょうか。
公が意識不明で生死の境をさまよっている間に
ロレンツォファンの3/1は紅蜥蜴ファンに流れたものと推定されます。
(その点アーサーファンからの移動は少なかったと思われます。マリオットファンやドレークファンなどの渋い層も流れたか二股かけたものと推定します。)