モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]
かの有名なチェ・ゲバラの若かりし頃のロードムービーです。
最初の頃はかわいい女性に恋をしたり、ペテンをしてバイクを修理してもらったりと若気の至りを大いに発揮していたゲバラ。
ただその後の数々の出会いが彼を変えていきます。
自分と同じ喘息で息絶えようとする老婆、ハンセン病であるがゆえに川の向こうへと追いやられた老若男女・・・・・
私の中で一番印象に残ったのは、共産主義者であるという理由で逃亡生活を余儀なくされた夫婦との出会いです。
旅の目的を聞かれ「旅をするため」と答えたゲバラと「旅をせざるをえない」夫婦。彼にとってここが一つの旅のターニングポイントになったのではないでしょうか。若手俳優ガエル・ガルシア・ベルナルの複雑な思いのこもった瞳が強く印象に残っています。
教科書ではみることのできない素顔のゲバラがここにはいます。
チェ・ゲバラ信奉者だけでなく今の自分を変えてみたいという方、はたまた単に南米の文化に触れてみたいという方にもおススメの一本です。
モーターサイクル・ダイアリーズ コレクターズ・エディション [DVD]
「チェ 28歳の革命」の試写会を見た影響で、「モーターサイクル・ダイアリーズ」を見ました。この映画では、チェがキューバ革命を起こした「根本的な要因」を学ぶことができます。
弁護士一家に生まれ、医大に通うエリートであったエルネスト・ゲバラ。彼は『本だけで知っていた、南米諸国を見て回りたい』と、南米大陸横断の旅を決意します。書籍を読んでいないため詳細は分かりませんが、この時点でゲバラは「貧しい人々を救う」という意識を持ち得ていたのかも知れません。
バイクに、寝袋や食料を詰め込んだものの、ほぼ体一つで南米の旅へ。便利な生活に慣れている私は、「夏服と冬服はどうするんだ?」「風呂は?洗顔は?」「体調を崩したら?」などと心配をしてしまいました。
道中では、チリの寒い雪山やら、牛が歩く田舎道など、想像もつかない環境が現れます。何回もバイクで転倒しながら、それでも突き進む2人。詳しい描写は映画に譲りますが、この体験が、体一つでメキシコからキューバに乗り込み、ゲリラ戦を展開する発想を生み出したのかもしれません。
映画の前半では、旅の辛さや、2人の人間関係にスポットが当てられていました。そして、ペルーに入国する後半からは描写も急展開し、「貧しい人々への共感」がテーマとなっていきます。象徴的なのは、「地上げ屋に自らの土地を追い出され、共産主義だからと警察に追われ、やむなく銅山での危険な労働に飛び込む夫婦」との出会いです。やや、突然現れた感はありましたが、ゲバラの意識変化がひしひしと伝わった瞬間でした。その夫婦、正確には夫は、銅山での仕事を手にするのですが、その雇用者の態度があまりに横柄。彼にに対してゲバラは怒りをぶつけます。『喉が渇いているのだから、水くらいあげたらどうだ!』。そして彼は、自らの全財産(彼女から買い物を頼まれたお金、しかし彼女には別れを告げられたはず)である15ドルを手渡します。(後に判明)
その後の道中では、地上げ屋に土地を追い出された貧しい人々と「これでもか」というくらい遭遇します。彼らが共通して言うことは、『私達は団結している。少数だからこそ団結する。』キューバ革命への伏線として用意された発言でしょうか。他にも伏線はありました。マチュ・ピチュにて、『革命を起こしたい』・『銃がない革命は無理だ』と口にするのです。ペルーの貧しい、哀れな人々が、ゲバラに対して「体制打破への想い」と「武力闘争という現実的な選択肢」を与えたのでしょうか。共産主義への是非は別として、人々の為にここまで震え上がることの出来るゲバラを、本当に尊敬した瞬間でした。(私は今まで「自分の為に」「自分の成功を」とばかり考え、近視眼的に自分のメリットを追求して生きてきました。そんな私の人生には、「人々のために、誰かのために」という視点が欠落している。時代が違うとはいえ、どうしてここまで考えが及ぶのでしょうか。)
続いて、ペルー市街での知り合いの医師を経由して、ハンセン病の人々が療養する地域へと足を運びます。この頃のゲバラは既に、「貧しい人々を何とかして救いたい思想家」となっていました。ここも実際の描写を見て頂きたいのですが、「手袋をつけないシーン」や「アマゾン河を渡るシーン」に表れています。特に、誕生祝いの席での発言は、「革命家チェ・ゲバラ」そのものでした。
『意味なく分断されているが、南米大陸は一つの多民族国家だ。皆さんの代弁者ではないが、何か出来ることがあると思う。』(フレーズがうる覚えですが、趣旨はこういったものでした)
この時点で既に、「貧しい人(労働者階級)vs富める人(資本家階級)」、「貧しい国(南米諸国)vs富める国(欧米諸国)」という図式は描かれていたのでしょう。恐らくゲバラは【1】「富める人で、貧しい国」に生まれたからこそ、ゲバラ足りえたのだと思います。【2】「貧しい人で貧しい国」なら何も出来ません。【3】「富める人で富める国」なら問題意識を持たないでしょう。【4】「貧しい人で富める国」ならば、自分の成功を目指して突き進むのではないでしょうか。そう、それが「アメリカン・ドリーム」です。自分の生活はそれなりに豊かである。それは家庭環境もあるし、高い教育を受けたおかげで、自分も豊かな生活が送れそうである。しかし周りを見渡してみると、教育すら受けられず、生まれながらにして貧しい人生を決定付けられた人がいる。『人の役に立ちたい』と何度も口にするゲバラからしたら、不甲斐無くて仕方がないのでしょう。
自分の人生について、本気で考えさせられる映画でした。
チェ28歳の革命・チェ39歳別れの手紙も、是非鑑賞してください!
チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記
ラテンアメリカの革命家チェ・ゲバラが青年期1951年から52年にかけ、友人とともに故郷アルゼンチンを出発してチリ、ペルー、コロンビアを横断、超貧乏旅行をした記録である。この本を原作とした映画『モーターサイクルダイアリー』を見て、私は大いに感動した。有名革命家の前史というより、ある青年の素敵な破天荒の旅を記録してあり、社会に目覚める青年の一瞬が描かれており、今も昔も変わらないだろうラテンアメリカの素晴らしい自然が描かれてあったからである。私は早速この本を捜し求めて読んだ。
二人の医師の卵がほとんど無一文で旅をしたこと、それぞれの国で庶民の善意やしたたかな話術でもって口糊をしのいだこと、チリを通る辺りから次第と社会の底辺に向けて、ラテンアメリカの歴史についての感想が多くなったこと、彼の学問の専門であるハンセン病施設の訪問を実行していること、などは映画と同じ。細部はいろいろと違ってはいるが、あの映画に流れる精神は同じであった。それは同時にあの旅が本物であった証でもある。私は改めて「貧乏旅行」への意欲がふつふつと沸いてきた。
同時に私はこの本で初めてチェ・ゲバラという人物を知り興味を覚えた。映画にもあったが、彼はハンセン病施設で誕生日を祝ってもらったときこのような挨拶をしている。「はっきりしない見せかけの国籍によってアメリカ(ラテンアメリカ諸国)が分けられているのは、全くうわべだけのことだと、この旅のあとでは前よりももっとはっきりと、考えています。」彼の演説に大きな拍手が起こったと彼は日記に書いてある。ラテンアメリカの統一。彼はキューバ革命だけの革命家ではなかったのだ。
チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]
この映画、素晴らしい作品だと思います。
必要以上にチェ・ゲバラを英雄視しておらずドキュメントタッチで淡々と描いており現在の実際の映像を見ているようにも感じられます。
革命を成功させ時代の頂点へと向かう前編と定住や安定に飽きたらず自分の生きる道を進み裏切りや惨めな死を迎える後編。
映画の撮影方法も微妙に変化が付けてあるように見受けました。
後編は明らかに前編に比してトーンも画像も暗いです。
去年から今年は「20世紀少年」や「レッドクリフ」のような短期間の連続大作が多い期間でしたが本作が最も分かり難く評価しにくい映画だと感じました。
いい映画か?と問われたなら迷わず「いい映画です」と答えます。
好きな映画ですか?と問われると「わかりません」としか答えられません。
チェ・ゲバラという存在とその人生、その再現に心血を注ぎ演じきったベニチオ・デル・トロという優れた俳優。
心に訴えかけるいい作品です。
でもなぜか素直に好きな作品だとはいえません。
映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」オリジナル・サウンドトラック
映画のサントラは、実際に映画を観てる時に聞くのとは違うことがあるので当たり外れがあるんだけど、目をつぶると観たままの映画の光景が浮かんでくる。
イメージからくる南米の明るいラテンミュージックというより、あくまでも映画の為につくられた曲として、民族音楽を上手く使いながら構成されていると思います。
私は、もうサンタオラージャという人のギター演奏にメロメロです。
夜広大な南米の大地に想いをはせながら聞きたい一枚です。