沈黙 (新潮文庫)
この小説は「転んだ者」の話では決してないし、
この小説は「神の沈黙」が貫かれた話でもない。
これはキリストの体験を別の時代背景で書いたものである。
これにおいてロドリゴはキリストの体験を経験する。
ロドリゴはキリストと同じように渇き、裏切られ、窮地に立つ。
そして自らの貶めによるほかの者の生存か、自らを守り他者が死ぬと言う究極の二択に迫られる。
そしてロドリゴはキリストと同じく、自らの貶めによる他者の生存を選ぶ。
キリストはロドリゴに言う“私は踏まれるためにこの世に来た”それこそ沈黙が破られた瞬間ではないか?
またキリスト教とは本質的には弱き者の宗教で、何度も転んでしまう者を愛す宗教である。
聖書でペテロは三度“踏絵”を踏んでいる(実際はキリストとのかかわりの否定)
しかしキリストはペテロに対し世界を救う使命を与えた。
愛する [VHS]
わたしはレンタルビデオ店でビデオのパッケージを見るまで、映画「愛する」の存在を知らなかった。「全国でロングランヒット」と書かれてあったが、私は知らなかった。 あるキリスト教の教会の掲示板に、渡瀬恒彦主演の「親分はイエス様」という、凄い題名の映画のポスターが張ってあったのを見たことがある。「愛する」も「親分はイエス様」もキリスト教の信者向けに作られた映画であるのだろう。 そんな「愛する」をクリスチャンではない私が観て抱いた感想は、不覚にも涙を流してしまったくらいに、感動した。信仰を持たない私が感銘を受けた理由は何なのであるか、正直に申し上げれば、私にも判らない。 ハンセン氏病が主題である映画といえば、みなさんご存知の「砂の器」がある。「砂の器」は新劇の故加藤嘉、新国劇の緒方拳がクライマックスの場面で、泣き叫び、観客を涙に誘う仕組みになっていた。 「愛する」にも、主演の渡部篤郎、酒井美紀が号泣する場面はある。ただ単に私も涙に誘われて、涙しただけなのか。私はキリスト教の「愛」が今一つ良く判らないでいる日本人の一人である。 信者ではない。出演者の演技に感銘を受けたのでもない。熊井啓の映画のファンでもない。ストーリ自体にも、率直に申し上げれば、空々しさを感じてしまった程である。 多分死ぬまで判らないような予感がする。それでも良いと、私は考えている。
Silence
"If the God really exists...., why does he keep a silence?" the main character, who was sent to Japan as a missionary in the Edo era, asked again and again.
I sometimes feel same contradiction; In the world, there are so many innocent people who have to die for no reason, or have been in serious troubles.
The author said, the answer was "He is always with us".
Shusaku Endo is a late serious Catholic who is known as a Japanese great author.
"Silence" is his most famous and influential work and has been translated into many languages, even, at that time he was treated as a heretic, I heard.
After I read this novel, I recognized that the way of thinking for the religion of the Japanese Catholic, and the other Catholic is may be different, even both adhere the same strong faith. And, even in one nation, that happens, I think.
I am not a Catholic, or a Muslim, or a Buddhist, but, It is really interesting for me, and gave a good chance to think about what faith is, or should be.
海と毒薬 デラックス版 [DVD]
遠藤周作の小説出版が1958年。
熊井啓監督によるこの作品の発表が1986年。
実は脚本は1969年にはできあがっていたが、
スポンサーが見つからなかったとのこと。
それだけ社会に与える影響が大きい作品ということだ。
監督との対談で、奥田瑛二も最も影響された作品と語っている。
使用された手術器具などが終戦当時の医療現場を
忠実に再現するように配慮されており、
映像も白黒なので、我々にとって非常にリアルに感じられる。
人間とは何かを考えさせられた。
この映画が国際的に高い評価を得たのは、当然と思う。
マンボウ最後の家族旅行
いつもユーモアを失くさない北氏の最後の旅行の話、中でも娘さん達に拉致されるようにいく石川遼のゴルフの試合を芝生で寝たまま見過ごすとか、躁鬱病中の奥さんへの怒りの落書きとか、笑えるお話が沢山。さすがにお年を召してのエッセイだけに、静かになられた感あり、少し淋しいです。