言い忘れてさようなら
流石にイッセー尾形らしい組立で楽しませる。「ブログの女・・」は星新一が生きていたらこんな感じのものを書くかも知れないと言う印象もある。外国人労働者を身勝手に利用する日本社会への皮肉とも受け取れる。
「ブログの女・・」、「しもやけの唄・・」、「言い忘れて・・」などが特に面白い。現代の今昔物語とも言えそうで、種切れの有名SF作家のものより遙かに内容に富む。
イッセー尾形の人生コーチング
仕事のこととか、いくつかプライベートなことで落ち込むことがあったときに、引き込まれるように読んでしまいました。
書店を覗いても、頑張れ、頑張れよ!!と背中を押すような「自己啓発」の本が多くて、取り残された気分でした。でも、これは違っていました。イッセー尾形さんのこと、よく知らなかったし、演劇に興味があるわけでもなかったのですが。気持ちが楽になる、楽にする、意外なコツが紹介されていて。「自分はダメ」と落ち込んでいるのは、自分はまわりの他人とは違う「特別な存在」だと思いたがっているからで、でも現実には思うほどに、何ができるわけでもない。そういうジレンマを抱えた自分の欠点を穿り返すのではなく、欠点を含めて「自分」。というか、欠点にこそ「自分」があらわれているという発想に心がほぐされていきました。トレーニングの現場はキツそうだけど、一度参加してみたくなりました。
イッセー尾形 DVD-BOX1
今までDVDで出ていなかった年代の名演集。
見る人によって作品の当たり外れが大きく変わるのがこの人の特徴。
個人的なお気に入り作品は「引っ越し」「断食道場」「ホームレス」「結婚前夜」等々。「ウェスタン村」も好きなのですが、これは、歌ネタを集めたDVDの方が出来栄えが丁寧な感じがしました。今回のDVDに収められたのはちょっとバタバタした印象。でも今回のは、歌ネタ集にはない工夫がいくつもあったので痛し痒し。演じる度にちょっとずつ違うのもこの人の魅力ですからね。
何にせよファンの人も未経験者も楽しめるDVDだと思います。
イッセー尾形 The best of best collection ’89~’93 DVD BOX1
ちょうどバブルの絶頂期から崩壊期に収録された
このイッセー尾形のスケッチの数々は、当時の時代の
空気の記録としても貴重であり、また、時代を超えて、
「人間ってこうだよな」
と思わせる、「誰も描かなかった物語」としても、
独特であり、非常に興味深い映像になっています。
「地下鉄」の、満員電車の中の人間の心理や、
「スケベ教師」の、不祥事を起こし問題になっている、まさにその最中の緊迫感、
「移住作家」の、無頼を気取る作家の孤独、
「駐車場」の、アイデンティティーの崩壊、
「勧誘」「聞いてねぇな、お前」の、一見まっすぐで、実はゆがみきった主人公など、
物語のパターンにおさまらないドラマの数々は、
普段、通り過ぎてしまうけど、そこにはこんなドラマがある、
あるいは、あったらいいな、あったりして、という、
まさに想像力の究極を見せてくれます。
これよりさらに前の、「半分ハンガー」「車内暴力追放キャンペーン」「一億円」
なども、映像化を希望します。