テレビ朝日系月曜ドラマ・イン「イグアナの娘」オリジナル・サウンドトラック
主人公の気持に寄り添うような曲の数々、
ドラマの内容もさることながら、
その曲の個性にとても惹かれました。
参考までにドラマのほうは1996年にTV朝日で
菅野美穂主演で放送されました。
自分の顔がイグアナにしか見えないという衝撃的な少女の話なのですが、
原作が哲学的な萩尾望都ですので一筋縄ではいきません。
短編マンガを11回にデコレーションした脚本(ちゅらさんの岡田氏)も
とてもよかったですね。
何年か前にDVDも出たようなので
泣きたい気分の方は
鼻水&涙対策を整えてから見てみるといいかも・・・泣くよ。絶対!!!
イグアナの娘 1 The Daugther of IGUANA [DVD]
私が初めて菅野美穂さんを知るきっかけになったドラマです。
萩尾望都先生の同名漫画が原作ですが、内容はけっこう変えられています。
短編の話を連続物に書き換えたので、エピソードが増えているのです。
それだけに、リカの人物像や、母の心の描写が分かりやすいと思います。
菅野美穂さんの出世作と言ってもいいでしょう。
再放送して欲しいなと思っていたので、DVDになったのは良い機会だと思いました。
ドラマチック デイズ ベスト・オブ・TVドラマ
今までに放送されたテレビ番組の主題歌に使用された名曲を集めたコンピレーションアルバムです。この2枚組の全36曲は、ドラマの主題歌というくくりだけではなく、世界の人々に愛され続けてきた名曲の集大成といった趣でした。
エルヴィス・コステロが歌う「スマイル」を聴くと、キムタクとそれを追いかけるさんまの名シーンが印象的だった「空から降る一億の星」のエンディングを彷彿とします。
でもそのようなテレビ・ドラマを見ていた方だけでなく、私のような50代の音楽ファンにとっては、ここに収録されている曲のどれもがリアルタイムで愛してきた曲ばかりなのです。
マイケル・ジャクソンの「ベン」を聴くと、少年時代の愛らしい頃の彼を思い出しますし、スリー・ドッグ・ナイトの「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド」等は、よくぞ主題歌に取り上げたくれた、と拍手を送りたいような選曲です。
ダイアナ・ロス「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」、サラ・ヴォーン「ラヴァーズ・コンチェルト」、ママス&パパス「夢のカリフォルニア」、エルトン・ジョン「ユア・ソング」、アバ「ダンシング・クイーン」、サイモン&ガーファンクル「冬の散歩道」、ギルバート・オサリバン「アローン・アゲイン」、と書き上げますと、愛してもやまないオールディーズの名曲の数々ばかりが並びます。
幾多の思い出が本当に歌と共に走馬灯のように浮かんでは流れていきました。私の青春の歌です。そしてその思いはドラマを見ていた若い世代へと引き継がれていきます。
ただ、残念なのはミッシェル・ボルナレフの「シェリーに口づけ」の音源の状態が良くないことです。他のコンピ盤でも感じましたが、良い原盤はないのでしょうかね。
私のような洋楽ファンにとっては、リバイバル・ヒットを集めた究極のベスト盤というべきものといえるでしょう。
テレビ・ドラマを見られた方にとっては、思い出がまた蘇ることでしょうね。お買い得なのは間違いありません。オススメします。
イグアナの嫁
いまだに本屋さんでは平積みになっているロングセラー『ツレがうつになりまして。』に続く第2弾、とのことですが、いわゆる「その後」の物語ではなく、細川さんとご主人の“ツレ”さんのもとに、当時は15センチぐらいだったグリーンイグアナのイグ君―ペットショップにて、1000円ちょうどで購入。『おるちゅばんエビちゅ』のエビちゅよりも安かった!―がやって来てから、すっかり大きくなった彼のもとにお嫁さんが来るまでの、足かけ8年ほどの間に起こったこと、その日々を綴ったエッセイマンガです。
『ツレが』巻末の“ほのぼの番外編・うちのヘンな家族”が気に入っていたオレなので、今回は本当に楽しく読ませてもらいましたが、それだけではなく、少しだけですが「前向きな気持ち」を思い出すことができたり、幸せは日常の「あたりまえ」の中にこそあるんだな、とか、いろんなことに気づくことができて、オレはそれがとてもうれしかったです。
もちろん『ツレが』で描かれた、“ツレ”さんのうつに関することも出てくるわけですが、今回は―しっかりと語られはしますが―『ツレが』の時ほど生々しくはないので、うつをわずらっている方や、以前うつだった方が読まれても、症状が悪化したりぶり返したり、という心配は、それほどないと思います。よって、『ツレが』のことが気になるけど読むのが不安だという方は、この『イグアナの嫁』の方を先に読まれるのがよいかもしれません。内容的にもアングルが違うというか、いくつかの出来事のうちのひとつとして「こんなことがありました」という感じで描かれており、それほど『ツレが』の内容と重複している印象は受けませんでした。この辺は、細川さんの描き方のうまさによるところが大きいと思います。
なお、全体で200ページ以上あり、『ツレが』と比べると大増量。カバーの外側に巻いてある、大きなサイズの帯のデザインもかわいいです。
イグアナの娘 (小学館文庫)
親子というのは不思議なもので、ものすごく仲の良い姉妹のような母と娘もあれば、血がつながっているのかと思うくらい隔たりのある母と娘もある。姉妹の仲も同様である。もっとも姉妹の場合は、母親がどちらかを偏愛するところから、愛情争いあり地獄に落ち込んでしまう場合が多い。いずれにせよ、より多く愛されたいと願うところから軋轢は生じる。
母は何故、娘を愛せないのだろうか。良くも悪くも自分に似ているからである。似て欲しいところは似てなくて、似て欲しくないところが似るというのは、往々にしてよくあることだ。何も母親が単に未熟な親というわけではない。その生育暦の中で「やり残された課題」であったり、「隠れた願望」が、特に同性の我が子の上に、無意識のうちに投影されるからである。
自分がイグアナだと知っているからこそ、その部分は見たくない。イグアナではない場合は、見ずに済むので受け入れられる。そういう心理的な葛藤を、何年も解消できずに年老いていく母親も哀れであれば、母の死により解放され、やっと母親を受け入れることのできる娘の立場も複雑である。何なれば、精神的な痛手から、虐待の歴史が繰り返されるかもしれないのだが、主人公は聡明にも母の苦しみを思いやり、「辛かったでしょ、苦しかったでしょ」と、共感を示す事ができて、母より一回り大きく成長するのである。
ここで重要な役割を果たす「イグアナ姫」の夢の場面は、童話「人魚姫」にも通じる。その独特の雰囲気を、萩尾望都ならではの画力でさらりと描き、物語からグロテスクさを消し去り、ユーモラスな哀しみといじらしさを添えている。