夜の大捜査線 霧のストレンジャー [スタジオ・クラシック・シリシーズ] [DVD]
シドニー・ポワチエの最高傑作。アメリカ南部の人種差別地域で、黒人のエリート刑事が謎を解く。そういう逆境が非常にうまく表現されていて、事件の謎解きに一段とおもしろみを加えている。謎解きの刑事物なら、一度見ればもういい、となる所だがこの辺の良さのため、数年に一度は見たくなる作品です。DVD正規版を所有しても損はない。世界中の人が同じ意見だろうが、アカデミー主演男優賞は誰がどう見てもシドニー・ポワチエです。すばらしい映画です。
踊る大捜査線スペシャル (扶桑社文庫)
画面で見る踊る大捜査線とは、また違ったおもしろさが味わえると思いますよ。各キャラの心情も、丁寧に書かれててたのしいです。でも、少し話が違ってるとこなんかもあって、いやな人にはいやかも。私はそうでも無かったですけど。何か、得した気分になりましたよ。
夜の大捜査線 [DVD]
田舎警察のアバウトさと正反対の、
知的で冷静なバージルが魅力的だった。
サクサク進む推理小説のような面白さ、
レイ・チャールズの歌も良かったです。
黒人というだけで命を狙われるなんて、
その差別意識の根強さが、やりきれない。
署長とバージルの距離が少し縮まった
あのさりげない駅のやりとりが心に残ります。
差別意識を越え、友情のような気持が生まれた、
とても素晴らしい一瞬に感じたのです。
ちなみに主役はシドニー・ポワチエだと思っていたので、
主演男優賞にロッド・スタイガーの名があり、不思議でした。
夜の大捜査線 [DVD]
『俺たちに明日はない』や『卒業』を抑えて第40回アカデミー作品賞を獲得した名作です。今や前述の2作品が有名すぎて影が薄いようにも思えますが、作品自体を見てみると負けず劣らずに革新的な内容を持っていることがはっきり分かります。時あたかも公民権運動全盛期。この作品と『招かれざる客』(これもまた人種問題を扱った力作)でノミネートされていたS.ポワティエが、キング牧師の葬儀に出席するため、アカデミー授賞式が数日延期になったというエピソードも残っています。政治的にも熱い時代であり、映画界もまたその流れの中にいた訳です。
この映画の公開から数年後に『イージー・ライダー』や『脱出』で真っ向から描かれる南部人の頑迷さ、偏狭さですが、これもまた「金ピカハリウッド」では描かれなかった世界です。近年でもO.ストーンの『Uターン』で描かれていますが、この『夜の大捜査線』では本当にリンチが起きかねない空気が当たり前のように描かれていてリアルです。
思うにヘイズ・コードでは禁制だった女性の裸や堕胎の実態、従来のテクニカラーでは考えられない夜の陰影と画面に映り込む蝿や蛾、効果音を抑えた静寂の間と効果的に使われるR.チャールズのモータウン・サウンド(A.ヘイズの『黒いジャガー』がアカデミー歌曲賞を獲る先駆けを成したのかも)等々、この映画がニューシネマのために切り開いた地平は人種問題以外にも多々あります。しかもそれらの要素を政治劇・映像実験の段階に終わらせず、エンターテインメントに結実させている所が見事です。最も象徴的なのは赤狩りで追放されていたリー・グラントを起用した事でしょう。彼女は短い出番ながら圧倒的な演技力・存在感を示し、この作品の世界観のスケールを拡大しました。さらばオールド・ハリウッド。こういうエポック・メイキングな作品が生まれるのも、まさに1967年という熱い時代故なのだと思います。
夜の大捜査線 [DVD]
この映画は、’70年代に日曜洋画劇場で初放映されレイ・チャールズの主題歌ともども心の底から大感動して以来、何度もテレビ放映されてきた名画中の名画ですが、この会社にしては珍しく、吹替えが収録されていません。せりふの内容で見合わせているのでしょうか?それとも他に原因があるのでしょうか、音声のテープが残っていないとか。この映画は、日本語吹替えがあるとさらに感動が伝わってくると思います。特に最初の放映時の田中信夫(ポワチエ)、富田耕生(スタイガー)、内海賢二(オーツ)版は絶品でしたので、ブルーレイ発売時には是非ともお願いします。