はじめてのラテン語 (講談社現代新書)
「はじめての」と銘打っているが、正直、この本からラテン語に入るのは止めておいた方がいい。と言うのも、話が蛇行し過ぎており、本当に初めての人は間違いなく混乱するからだ。また、練習問題も皆無で、文中で「習うより馴れろ」だなんて言っているが、馴れようがない。ただ、既に他の本(ラテン語四週間やラテン広文典etc)を一冊"やり"通したという方には、是非とまでは言わないが、お奨めする。自分の理解度を寝転びながら、あるいは電車の中で確認出来るだろう。また、何故、未完了過去は-ba-なのか等、語源的なことも多く掲載されていて、半歩ぐらいは踏み込めるのではないだろうか。ま、逆に言うと、baって何?という方にはオススメしないというわけだ。
ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)
ラテン語とは、何と素晴らしい言語であることか。
言語に優劣は無い。
しかし、古代ローマ帝国で使われたラテン語が現代にまで及ぼす影響を考えると目眩がする。
私が興味を持ったのはルネサンスポリフォニーを歌う際に歌詞が当然の如くラテン語であったからだ。その他、リンネが始めた生物の分類名がすべてラテン語であることを知っていた程度か。
本書ではラテン語を話したローマ人の歴史、ややこしいと言われるラテン語の文法について説明する。なぜややこしいかは、ラテン語が屈折語という分類にあるからだそうである。これは助詞や前置詞を使わず、名詞・動詞・形容詞などの単語の変化で主語、述語、目的語などを示す。つまり、きちんと変化していれば語順を入れ替えても意味が通じる。
さらに、厳格な変化規則があるために、派生する言葉を産み出しやすく、その意味も規則により明確である。
このラテン語がイタリア語、フランス語、スペイン語の元になったのはもちろんであるが、直接・間接的に英語にも多大な影響を与えているため、日本人に馴染み深い英語の語源をラテン語まで辿る。思いもかけない2つの英単語が同じラテン語の変化形を語源していると知って驚くことが多かった。
ラテン語を本格的に学びたい人の第一歩としても、語学や一般教養の一つとしても是非読むことをおすすめしたい一冊だ。書評が5つ星で埋まっている理由が分かる。
Mademoiselle [VHS] [Import]
邦題「マドモワゼル」。フランスの異才作家ジャン・ジュネが1966年に書き下ろしたシナリオを英国の鬼才・故トニー・リチャードソンが映像化。モノクローム・ワイドの画面いっぱいに、片田舎で展開される常軌を逸した有閑夫人(ジャンヌ・モローが好演)による残酷な物語。物語自体は後味の悪い話なのに、奇妙に心に残るのは、錦ヘビが絡まる長い長いショットから繋がる驚愕のフラッシュバックによるエピソードを始め、映画でしか表現できないものをよく知悉した鬼才作家のシナリオと演出のハーモニーが心地よい映画的リズムを作り出しているからにほかならない。リチャードソンの映画は、このほかにも著名作家の映像化作品が多いが、いわゆる文学臭がする頭でっかちの作品が皆無なのは、鬼才たるゆえんだ。
The Bantam New College Latin & English Dictionary, Revised Edition
kirie eleisonが載っていないなあと思っておりましたら、これは、ギリシア語なんだわとやっと気づいたところです。道は遠いですが。
Veni,Vidi,Vici.はさすがに載っています。
お値段も手頃で、文法、動詞活用なども載っていますし、ラテン系の言葉に親しむのに楽しいと思います。