《幻想交響曲》《ボレロ》熱狂ライヴ! [DVD]
アンティークな演奏といったらいいのでしょうか?1回目聴いたときは、現代のロマンティックな演奏からはかけ離れていて賛否両論もあるかもしれないけれど、聴けば聴くほどに作曲家がメッセージとして残したかったものを追求している演奏だと思います。そして、何度か聴いているうちにシンプルな演奏の持つ素晴らしさというのを知りました。この曲にこだわりのある方には特におすすめではないでしょうか?
佐渡裕 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 [DVD]
佐渡、念願のベルリン・フィルデビュー盤ということで、おめでたの意味もあり期待を込めて購入。
しかし、メインのショスタコ5番は演奏がやや緩慢でオケに締まりがない。曲の性質からして、もっとキビキビ、ダイナミックに演奏して欲しかった所だ。本人には申し訳ないが退屈な演奏だった。最近のベルリン・フィルのDVDというとラトルのブラームスも観たが、やはりオケのまとめ方が段違いであり、力量の差を感じた。佐渡の今後の成長を期待したい。
一方、新鮮な驚きを与えてくれたのが武満徹のFrom Me Flows What You Call Timeで、10種類ぐらいの珍しい打楽器を魅惑的に奏でていた。
今後、この曲を何度も聞き込むかと言われると微妙だが、この曲がこのディスクの最大の聴きどころであるのは間違いない。
評価としてはショスタコ2、武満4の総計3としたいことろだが、NHKによるすぐれた画質、音質によりプラス1とした。
佐渡裕 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 [Blu-ray]
録音が、これまたスゴイ!
私が今までの聞いて見てきたクラシック音源の中で、文句なしに一番よい録音。特にしっかりとした5.1CH環境で聞けば、それは歴然と判るはず!小澤BPOのチャイ6のBLも持っているが、同じBLと言えど、比べ物にならないくらい、こちらの録音はスゴイ。小澤BPOのBLの録音も決して悪くなく録音は非常に良いのだが(CDより断然いい)、こちらの佐渡BPOの録音が良すぎるといった感じ。一説によると小澤BPOチャイ6の録音は、グラモフォンがやったというが、この佐渡BPOの録音は、パンフを見る限りNHKだろうか?もしNHKだとすれば、NHKの録音エンジニア、恐るべし!
演奏については、佐渡はしっかりと曲をまとめているし、とても聞きごたえがある。演奏会自体も成功させていると思う。ただし佐渡の初指揮という事もあって、会場には多くの日本人が集まっていたらしく、そういう意味での日本人からの声援などが、大きな喝采となって鳴り響いていたように思う。一曲目のフロム…という曲は打楽器ばかりの、演奏も解釈も難解な曲であって、それに対する演奏後の会場からの拍手は、佐渡の指揮に対するものというより、その難曲を見事に演奏しきった打楽器奏者たちに送られた喝采のようだ。それは、次に演奏されたショスタ5番を演奏し終わった後に、打楽器奏者たちが、他のパートより多くの喝采を浴びる事をみてもうかがえる。
佐渡は今回の招待指揮を成功させはしたが、映像を見る限り、BPOの楽団員を陶酔させるまでには至らなかったようだ。今回の演奏ではBPOも、各パートのファースト(ソロを吹くような役割)を比較的若手に<試し>でやらせているようでもある(そうとは言ってもBPOの楽団員であるからに、演奏自体は当然のごとく超一流である)。BPO側の<往年のマスタークラスの奏者を出さずとも…>のような佐渡に対する姿勢が垣間見えるようでもある。
演奏後の喝采も、会場にいた日本人からの喝采も多かったということから、喝采の大きさ=佐渡への評価と見るのは、いささか早々であろう。演奏中のBPO楽団員の表情や視線などを見れば、指揮者に完全にコミットした<渾身の演奏>とまではなっていないもようで、自らの有り余る技術によって<こなしている感>があるのは否めない。演奏終了後の楽団員の表情からも、これらはみてとれる。
今回の佐渡のBPO指揮について<成功>という表現は使われるものの、<大成功>とういう表現が控えめなのも、それらが要因かもしれない。これに比べるのは酷ではあるが、2、3年ほど前に、カラヤン生誕100周年を祝うBPO演奏会で小澤が振ったチャイ6<悲愴>の映像をみると、小澤に対してBPOのメンバーが感情的にも移入し、心からコミットしているのが見て取れる。奏者も<我こそBPOの表現者、具現者>たるトップ奏者を揃えてきている。やはりカラヤンやバーンスタイン、ミュンシュなどに師事し、多くの苦難を乗り越え、半世紀以上も世界の名だたる指揮台に立ってきた<世界の小澤>との格の違いか。
ただそうとはいっても、BPOから正式にオファー受けた佐渡であるし、また佐渡の相手は他でもない世界最高峰、あのフルトヴェングラーやカラヤンが育ててきた超絶集団のBPOである。招待する相手にはその<資質>と<格>があるか、BPO側の厳しい<査定>がある。いまBPOのコンサートマスターの一人を日本人が務めている。以前長らくコンサートマスターを務めていた日本人が退任し、今回新たな日本人コンサートマスターが誕生したのも、今回の佐渡招待の一つのきっかけになっとは事実であろう。
酷評をいくつか並べたが、佐渡の真摯な指揮ぶりと曲に対する姿勢、そしてBPOの演奏には、それはほかに代え難い見ごたえがあるのも事実である。とくに大汗を流して振ったショスタ5番には、BPO指揮に至るるまでの<佐渡の想い>が、濃厚に凝縮された、佐渡にとって渾身の一振りと言えるだろう。
佐渡 裕 ベルリン・フィル・デビューLIVE
世間で評判になった佐渡裕さんの指揮、さて、どんなものかと思いましたが・・・。
一楽章、二楽章と、ともにきれいな演奏でした。各楽器の音がよく響いていました。
テンポにも違和感なかったので、何かに抑圧され、追い立てられているような雰囲気が、よく伝わりました。
さらに、三楽章。ほとんど弦楽器の音だけで、ゆったりとした速さで繰り広げられる世界。
こみあげる寂寥感。何か大切なものを失ったかのような深い悲しみが、ぐっと胸に迫ってきました。
この楽章はイチオシです。
ただ、四楽章のみ、私には不満でした。中盤はきれいでしたが、初盤と終盤で、音の出
だしが揃っていませんでした。終盤のサビ(?)の直前のタメも、大げさでした。
全体としては、安定感のあるきれいな演奏で、それなりに感動できると思います。