原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)
現在の日本に原発が林立することになった発端、正力松太郎の果てしない黒い野望とCIAの思惑について書かれている本。
構成は
第1章「なぜ正力が原子力だったのか」
第2章「政治カードとしての原子力」
第3章「正力とCIAの同床異夢」
第4章「博覧会で世論を変えよ」
第5章「動力炉で総理の椅子を引き寄せろ」
第6章「ついに対決した正力とCIA」
第7章「政界の孤児、テレビに帰る」
正力が政界進出をもくろみ、やがて首相の座を狙うために必要な手段として、「正力マイクロ構想」を唱え、「メディア王」と「原子力の父」になる野望を抱く事が発端となり、原発先進国になっていく経緯がわかりやすく書かれている。
1954年にアメリカが世界に誇る、世界初の原子力潜水艦の華々しい進水式が行われた。この後1ヵ月半後、第五福竜丸事件が発生。日本が世界で最初の被爆国だけにとどまらず、水爆でも世界最初の被爆国となる。日本全国で「原水爆反対平和運動」が大規模に起こり、日本における戦後最大の反米運動になった。米の国防総省は、対ソ、対中戦略として、日本への核配備を急いでいたために、この事態を収束する手段として、狙いをつけたのが、読売新聞と日本テレビ放送網のトップの正力松太郎。
米の利益と、正力の個人的な野望が結びついていくという点が、非常に興味深かった。
やがて、CIAが「食えない奴」として、警戒を深めていく正力の黒い野望が怖ろしい。
また、正力がメディアを利用して「原子力平和利用」キャンペーンを展開、讀賣新聞連載記事の件も背筋が凍る。
耐震性に問題のあるイギリス製の動力炉導入の際の、英の「免責条項」についての一件から、正力が播いた種の一つである、「原子力損害賠償法」により、原発事故の事業者の賠償責任の限度額が決められ、それ以上は実質的に国が保障するという「原発は民間主体でありながら、国も管理責任を負う二重構造」という矛盾を生みだした点に驚愕した。
今回の福島原発の原子炉は米・GE社製だが、「原子力損害賠償法」についても知るきっかけになったので、読んで良かったと思う。
必殺! 主水死す [DVD]
キャスティングには若干不満がありますが素晴らしい作品でした。
お馴染みのメンバーは秀、勇次だけという後期必殺の黄金メンバーだけに絞っている事も興味深い(加代が出ていないのは残念。あと田中さんも)。
主水、名取裕子、津川雅彦とその息子。4人を取り巻く因果なさだめ、業に決着を付けたものは何か。
主水の死を見届け、涙を流す事なくあっさり去っていく仲間達。我々にとって、もちろん彼等にとっても主水は大きな存在だったでしょうが、彼等にとってはまた一人の仕事人(仲間)が散っていっただけであり、その姿に自分の末路を重ねながらも、辛さを押し殺して次へ歩きだそうとする姿をあえてそれらしいセリフを排しドライに描いています。
炎の中に残された十手をバックに流れる主題歌には鳥肌が立ちました。
そして見終わった後の寂しさ、切なさ。「主水本当に死んじゃったのか…」と映画公開から10年経つのに、今更ながら一人虚無感に浸っていました。
私にとって主水はすごい存在でした…。
「君が主で執事が俺で」ドラマCD Vol.6
あっという間に6巻目です。
5巻のイラストが森羅のウェディング姿だったので「もしやこれで終わりかな?」
と思いましたが、順調に続巻が出ました。
パッケージのイラストには稲村圭子、アナスタシアが起用(水着姿)されてます。
内容的にもこの2人のセリフが多く、稲村中心の話もあり。
その分、美鳩や紅朱の活躍の場が減っている感じがします。
ハル、小十郎が出てきません。
揚羽が久遠寺家の居候になってます。
私は稲村ファンなので、もっと活躍して欲しいですね。
途中、稲村にフラグが!?と思う展開もあるのですが・・・。
今後の展開に期待したいです。
あとPC版でのファンディスクも出て欲しい。
ちなみに10末に7巻目が出るみたいですね。
図書館の主 2 (芳文社コミックス)
2巻は、嫉妬、恋愛、家族がテーマなのかな。
親子関係であったり、夫婦関係であったり、兄弟との関係であったり、
どこかでぎくしゃくしたまま歯車が噛み合わなくなってしまった人たち。
そんな人たちが、主人公御子柴のいるタチアオイ図書館に集まってくる。
この物語の世界は、現実の世界では起こりえないことかもしれないけど、
でも、そうなんだよなって思わされる何かがある。
何事もそうだけど、ちょっとした加減で変わる。
自分以外の他人が加わることや自分が知らない世界を見ることとか。
それが、図書館の主では児童書なんでしょうね。
人と人をつなぐ架け橋のような存在になっているのかなって思いました。