東大将棋 名人戦道場DS
強さはまあまあです。
歴代DSゲームの中では以下の順番だと思います。(1位と2位の順序は微妙。)
1位:銀星将棋DS
2位:ハチワンダイバー
3位:東大将棋名人戦道場(本ソフト)
4位:しおんの王
5位:激指DS
順位戦の棋譜の多さ、歴代名人戦の棋譜は解説付き、歴代名人6人への挑戦、
名人戦の歴史やクイズ、次の一手や詰将棋など、確かに付録機能は充実していると言えます。
しかし色々と物足りない点を感じます。
【物足りない点】
・自分の顔アイコンを6人の男女から選べるが、全て好みの顔でない。
・個人的にはもう少し有名な萌え系アニメーターを採用すれば良いと感じる。
・形勢によって表情が変わるのは良いが、形勢判断が大雑把過ぎて逆に混乱する。
・名人に挑戦機能では、各名人の声で挨拶をされるのは良いが、肝心の棋力は・・・。
・名人の表情のバリエーションが少な過ぎる。もう少し色んな表情をさせた方が良い。
・こちらが劣勢になった時、名人の顔が見下したような表情になるのが悲しい。笑顔で良いと思う。
・強さは10級〜2段まで選べるが、10級がなぜか異常に強い。普通の子供は勝てない。
・棋譜読み上げはやっぱり安食さんにしてほしかったです。この点は「しおんの王」が良い。
・全体的にカタい印象を受ける。もっといろんなアニメーションや音で将棋を盛り上げてほしい。
よほどの名人戦ファンでない限り、無理して買う必要のないソフトだと感じました。
対局時計 本格的な対局を シチズン ザ・名人戦 DIT-40 CITIZEN
毎週土曜に囲碁クラブで打つが、常に長考する人、早く打てと口うるさい人さまざまである。そこで、これらの人への対策として、囲碁時計を購入した。これを使えば、これらの人に対して苦情を言う必要もないし、言われる必要もない。もっと早く購入すべきだったと後悔している。秒読みなどでアナウンスしてくれるお嬢さんの声にも癒されますよ。まず1台買って見られることをお勧めします。
東大将棋 名人戦道場
内容的にはマニア向けの商品。今までにPSPで発売されてきた、将棋ゲームと比べても一線を博しています。特に驚いたのは、各名人によって使う戦法は全く違い、それぞれの棋風に合った序盤戦術です。例を挙げれば、丸山名人は断固角換わりを目指してくるし、佐藤名人は丸山ワクチンから▲6八金と上がってきたりします。加藤名人にしても矢倉で飛車先の歩を突いてきます。それぞれの前例があるまでは、ノータイムですっ飛ばしてきます。但し、思考ルーチンは主にこれまでの東大将棋に准じているので、前例が消えて以降はこれまでの作品と違いありません。実力に関しては、ゲームの性質上仕方のないことですが、このときに問題が起こります。先程挙げた、丸山ワクチンの▲6八金型のようにいびつな形でコンピューターに思考が変わった場合、自然な▲7八金型に戻ろうとします。また、これはコンピューター将棋においては全てで言えますが、少しの手順の違いをくみ取る力はないので、意外と早く前例を離れてしまいます。名棋士との対局雰囲気を楽しみたくても突然ぶち壊されます。また、定跡講座はついていないので、それを欲する人にこの作品は向きません。クイズや詰め将棋はこれまでの作品のようにサブ的に・・・名人戦棋譜速報(月額500円)を申し込んでいない人は順位戦ここ2期分の棋譜を全て見ることが出来ます。ただ、解説は付いていませんし、私自身は500円払っているので完全ダブってしまいました。
総評として、全体的にいいアイデアだったと思うのですが、やや物足りない印象です。どうせなら、米長、中原、大山といった現役を引退された棋士を入れてもよかったのではないかと思います。実力的には、将棋中級者向けだと思います。プロの将棋を知りたい人や上級者の記念品としては、お金に余裕のある方は手に取ってみてください。
愛蔵版 第69期 将棋名人戦七番勝負
永世名人同士の対決となった第69期名人戦は、将棋の世界へ目を向けさせるのにこれ以上ない組み合わせでした。
挑戦者の森内俊之十八世名人と羽生善治十九世名人という永世名人同士の対戦は、10ページに書かれているように中原誠十六世対大山康晴十五世名人戦以来、史上25年ぶり2度目となるそうです。
竜王戦をはじめ、多くのタイトル戦となる棋戦があっても名人戦の重みは昔も今も変わることなく将棋界の最高位としてそびえ立っています。
「小学4年生、10歳のときにデパートの将棋大会から始まった両者の対戦は、アマチュアから奨励会、そしてプロ棋士になっても続き、40歳になった今(47ページを引用 少し略) 名人戦の舞台で覇を競い合う」わけで、そのライバルとしてのお互いを知り尽くした2人の対戦は実にスリリングでした。
ヘボな解説はやめにしますが、横歩取りという急戦をいどむのは両者のプライドの激突の表れでしょうし、相矢倉の手順は風格を感じさせました。最終戦の第7戦は、両者ともに自然体で臨むという精神面の強さが伺えました。そしてまたまた羽生の横歩取り8五飛に、森内の新山崎流の布陣に意地の激突を見てとりました。
結果的には羽生が3連敗のあと3連勝して、最終戦に敗れて名人位を森内に奪還されるわけですが、終始斬新で攻撃的な指し手は読者を魅了しました。また森内の泰然自若とした受けの応対もまた最強棋士の矜持のようなものが伝わってきました。
巻末に「森内新名人が振り返る七番勝負」のコメントが掲載してあります。読み物として感心したのは、芥川賞作家の朝吹真理子の「有限の裂け目、のぞく無限」でした。従来の観戦記のスタイルとは違う内容ですが、名人戦の深遠さを含蓄のある言葉で綴られており、対局の厳粛な雰囲気が伝わってくる名文だったと思います。
愛蔵版 第70期 将棋名人戦七番勝負
最初の「対談 名人誕生400年将棋は千数百万人の娯楽に」は、徳川宗家十八代当主徳川恒孝さんと谷川浩司九段による対談でした。
1612年に徳川家康がのちの一世名人となる大橋宗桂に五十石の俸禄を与えてから400年が経ったのを記念して企画です。江戸以来の将棋文化の流れを語っていましたが、頁数も少なく既出の内容で特段の読み物ではありませんでした。なお徳川恒孝さんは400年を記念して第1局の振り駒を行っていました。
「第1局 再び、永世名人同士の対決」と書かれているように、森内俊之十八世名人と羽生善治十九世名人という昨年同様永世名人同士の対戦になりました。多くの棋戦がありますが、名人戦の重みは昔も今も変わることなく将棋界の最高位としてそびえ立っています。
名人戦直前、14連勝と好調だった羽生に対して、プロデビュー後初めて11連敗した森内というように対照的な2人の対戦でした。が、森内先勝でスタートしましたので、名人戦は分かりません。
「第2局 角換わり相腰掛け銀からの激戦」「第3局 羽生の粘り強い猛攻、受ける森内」「第4局 今期、三度目の相矢倉の戦い」「第5局 今期初の横歩取り」「第6局 森内、鮮やかな寄せで羽生の粘りに対抗」と進みました。観戦記の筆者は基本的に毎回変わりますので、文章の味わいの違いもありますが、とにかく2人の指した棋譜が素晴らしいですね。
第3局について書かれた112ページのコメント「想像を絶する世界」の評の通り、「終局間近」なのに驚異的な粘りを発揮する「羽生の勝負術」は見事でした。2人とも8時間59分ずつを消費し、157手の応酬は読みごたえがありました。
昨年同様、羽生の終始斬新で攻撃的な指し手と、森内の泰然自若とした受けの応対から最強棋士の矜持のようなものが伝わってきました。最高峰の指し回しは芸術作品の域に達しています。
「森内名人が振り返る4勝2敗の熱戦譜」、田丸八段の「『名人400年』の歴史 伝統と人気の名人戦での名勝負」、杉山愛さんと森内俊之名人との「対談 対局、試合の厳しさと醍醐味 勝負の世界に生きて」などが掲載してありますが、読み物としてはさほどのことはありません。2人の永世名人の指し回しの素晴らしさを観賞する本ということになります。