作品は少なくともつまらなくはない。よくできている。最後のどんでん返しはうまいし、十分なカタルシスがあった。それでもこの作品は、直球か変化球かといえば変化球で、決してストレートではない。それなのにこの作品が賞を取ってしまうこと自体、現在の”本格ミステリ”の現状を示しているように思う。 若い作家は、コード多用型のスタンダードなミステリを好まないし、この作者もそうだが、いわゆる”新本格”時代の作家はすでにいい年齢になって寡作になりつつある(もともとこの作家も若いころから寡作で知られるが)。そんなこんなで、発表される点数自体が減っていることとが一つ。もう一つは、もともと本格推理小説は形式が決まっているがゆえに、既存のパターンをなぞることでそれなりの作品ができてしまう(だから、斬新さが求められてしまうわけだが)ために、そのような「大量生産品質」の作品が増えてしまっていることが原因となっているように思う。 だからこそ、このような変化球小説が賞を獲得してしまうのだろう。 個人的には、デビューのときからファンだし、いまだに「夏と冬の奏鳴曲」はいわゆる新本格の中では一番好きな作品だし、そんな作家の新作であり、久しぶりに完成度に満足したという点でも評価が高い。小説にリアリティを好む向きには絶対に向かないだろうが、そもそもそのような層は本格推理小説には向かないと思われる。 ☆-1分は、やっぱり「夏と冬の奏鳴曲」のほうがよくできてると思うから。この作品が面白いと思った人にはそちらもおすすめできる 隻眼の少女 (文春文庫) 関連情報
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