傀儡后 (ハヤカワJA)
20年前の壊滅的な隕石落下により、大阪は異形の街と化した。落下地点から半径6キロは危険指定地域とされていたが…。
などと書いてあるので、すごいのを期待したんだけども、そうでもなかった。それは悪い意味でいっているのではない。話の作り自体は謎が次の謎を呼び、答えはより謎を深くするという割合オーソドックスなつくりである。
ただし、そこで描写されているものはというととんでもない。描写の一つ一つを読み飛ばすことことなくじっくり読むと、不快感がもたらされる。特に話の中で一つのキーとなる病はかかるところを想像すると美しくひどく不快だ。
そういう外連なところだけでなく、ちょっとした風景の描写のできもよく、おもしろかった。
欠点は、あまりキャラクターに思い入れられなかった事だか、これは割合個人差があるからな。
晩年計画がはじまりました (角川ホラー文庫)
角川ホラー文庫書き下ろし作品です
怪奇現象は基本起こらず、サイコスリラー的な内容だった
そういった作品のジャンル的な要素よりも、登場人物達が関わっている貧困やいじめの問題の方に目がいってしまった
「晩年計画」といった物語の核心よりも、その計画にすがりつくような状況に置かれた人間に目がいってしまう
ある意味、現実逃避として小説を楽しんでいる部分があるので、現実の問題を扱った作品は個人的には少し不得手かも
「絶望圧」という理論をもっと追求してほしかった
MOUSE(マウス) (ハヤカワ文庫JA)
ネバーランドでの子どもたちのパーティーは終わらない。好き勝手に生きてるように見えて、実は不安でいっぱいの子どもたち。18歳未満お断り、そんなフレーズは終わらないのはパーティーだけだという何よりの証拠。いつだってなにかとてつもない不安から逃げようとしてる子どもたち。突拍子も無いように見えて、共感せずにはいられない。