オメラス 商品

オメラス 所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF)

私にはとっても面白かった。退屈という人もいて、ちょっとびっくりしたのでカスタマーレビューを書くことに。主人公が絶対的な「善」とか「正義」として描かれておらず、弱さや脆さも愚かさも備えた奥行きのある人物像になっている。その主人公の心理的変化が十分な説得力を持っていて、主人公の魅力だけでも楽しめる。さらに、政治とか体制についての壮大なSF的思考実験にも、興奮を覚えた。 所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF) 関連情報

オメラス 闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))

遥かな昔,惑星 Hain の文明の絶頂期に,居住可能な(地球を含む)惑星に人類型の生物を移植する計画が実行された.しかし氷河期の最中にある惑星 Gethen には,多分生殖を確実にするために遺伝子工学的に新型の男女両性兼備の人類が移植された.Hain文明の衰亡と共にこれらすべては忘れられた.やがて各地の文明が再興し,惑星連合体 Ekumen は,旧植民地を探し続け,Gethenにも Ekumen の外交官が派遣される運びになった.地球人(黒人)の Genly Ai がGethenに降り立ち,ここから小説が始まる.Gethen には二つの超大国があって,東は封建制王国,西は共産国である.Ai は王国で説得工作を始めるが,大問題は宰相 Therem Harth Estraven にしか理解されず,これを政敵に逆用されて宰相は失脚し,国外追放になる(極寒の地なので実質的死刑).Ai は共産国に移るがここでは話がより不可解で,失敗のうえ,行き場を失う.やがて Estraven と Ai は再会し,大陸の西北端から王国国境を目指して800マイルの冬の旅を敢行する.これまでは華麗繊細を極めた政治謀略の描写ではらはらし通しだったが,ここからは二人の異星人の間の理解と友情の育成が語られ,事態は絶望的なのに読者としては至福の時間となる.これほど面白い物語がいくつあるか知らないが,この話はその奇跡的な性の設定もあって,面白い.更に特筆すべきは原文の古風さをうまく鴎外調の日本語に移した翻訳の冴えである.萩原規子の西の善き魔女 の原義はこの著者への尊称であるし,その正編の最終巻のタイトルはこの本のタイトルそのもので,その意味は,Gethen の古い歌によれば光なのだ.この作品はSFには違いないが,それが含む圧倒的な内容によって時代を超えているのだ.   闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252)) 関連情報

オメラス 風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399)

長編が素晴らしいル・グインだけれども、短編に光るセンスもいい。目の付け所と舞台設定が絶妙で、小説の世界に引き込まれてしまう。もちろん、「ゲド戦記」の魅力はいささかも失われてはいない。 風の十二方位 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-2) (ハヤカワ文庫 SF 399) 関連情報




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