Piss Factory
永ちゃんみたいにカッコよく歌えるワケじゃない。
大瀧先生のようなメロディーなど作れる筈がない。
しかしこれは、日本人によるロックンロールの最高の形を示しているアルバムだと思う。
サウンドは、らもがしまってきた本物だけを、見事自らの引き出しから解放させたものばかりである。
その歌詞は鬼才中島らもの才能が爛々と発揮されている。説教もメッセージもない。
無意味に光る。
このコトバのもつ衝動がロックであると、脳に背骨に痛感させられる。
らもは自らのこの作品を「親殺しの音楽」「王殺しの音楽」と呼んだ。
見事な表現である。
私が首相なら発禁にする。
Lie lie Lie [VHS]
バブル時期に、バブル的な企画として
指して注目されず終わった映画。
しかし、原作はあの中島らも先生。
原作に結構忠実で、役者人のキャラも
生き生きしていて実によいです。
監督も、櫻の園の中原俊さんで、
堅実な演出をしてます。
笑えて、ちょっと泣けて、
オカルトも入っていて、
こういう邦画がもっと増えると
いいなと思うのです。
DVD化がなぜかなされないのは
なぜかな。もったいない。
凄く好きな作品です。
心が雨漏りする日には (青春文庫)
私は躁うつ病になってまだ2年目です。
不安材料なんて数えたらキリがないくらいあります。
けれど、らもさんの言葉で何か見えたような気がしました。
「人間は無数にある選択肢の中で、自分が選べる選択肢だけを選んで
人生を生きている。選べない選択肢を選ぶことは絶対にないのである。」
きっかけになった出来事、躁うつ病になった意味。
私はそれを悔やみ、悩み、ずっと引きずっていました。
でも、私にはそれを避ける選択肢はなかったのです。
その時、その時、私は選べる選択肢を選んできただけだったのです。
わかったような気がしました。
そしてこの先も、私は選べる選択肢を選んで生きていくだけなんだ、と。
らもさんのこの言葉で、躁うつ病の本を何冊読んでも取れなかった
心のつかえが取れた気がしました。
それから印象的なのが、ペットロスの人や玉造の駅前のホームレスの人に対する
らもさんの垣根を越えた優しさ。涙が出ました。
「放っておいたら死ぬな」と感じたら当然のように、迷わず手を差しのべる。
らもさんが周りの人に守られていたように、らもさんは温かい人だったんですね。
本当に波瀾万丈な人生。楽観的に書いているけれど、
きっと壮絶な闘いの連続だったにちがいありません。
けれど、読み終えてなぜかハッピーな気持ちになりました。
優しい、優しい本です。
この本に出会えてよかった。心の底からそう思います。
うつ病や躁うつ病の人も、そうじゃない人も、ぜひ読んでみてください。
僕に踏まれた町と僕が踏まれた町 (集英社文庫)
人生のどん底に落ちてたときに読んだ一冊なんですが、以来、手放せません。
この本をきっかけに、らもさんの本を買い漁るようになったほどです。
読んでいると、自殺した友人に宛てたお叱りの文章のようなものがありますが、これを読んで思わず泣きそうになりました。
それを読んで励まされて、今の自分がいて、僕は毎日をなんとか生きています。
言葉の力って凄いですね。
今では大事な大事な一冊。
この本に出合えたことはとても幸せなことだったと今でも思います。
ほんとに「もうダメ!限界!」という方に読んでいただきたい本です。
こどもの一生 [DVD]
本作を劇場で観た。 もう10年位になるだろうか。確か今はなき近鉄劇場だったと記憶している。
故・中島らも氏の戯曲を、今や売れっ子になった演出家G2(当時は本作にも出演している升毅が主宰する"MOTHER"の作・演出がメインだったと記憶している)が見事に形にしてみせた。
本作に出演している役者陣は今や全国区のTV等にもひっぱりだこだが、彼らのスタイルはこの時点で既に完成している。
記憶が正しければ、本作にはうら若き日の小沢真珠も出演している。
とにかく面白く、そして怖い。
当時演劇に足を踏み込み始めたばかりの私には、全てが新鮮に思えた物だ。
映像や音楽を舞台上で巧みに織り込みつつ、ダイレクトに伝わる役者の時に軽妙で、時に戦慄すら覚える演技に私を含め観客はその世界にやられっぱなしだった。
現在ではらも氏自身による本作のノベライズを手にする事も出来るが、それはあくまでこの舞台を観た後でのサブテキスト。
とにかく味わって頂きたい。
なんて事書いてると、後ろから人の声が・・・・
「よろしいですか〜!?」
「山田のおじさん」が立っていた。
血の滴るチェーンソーを手にして。
・・・・・と言う事が舞台上で繰り広げられるのだが、これ観た後では暫く夜にパソコンの前に座る気を無くすかも知れないのでお気を付けて。