
マジカル・ハット
インディからの2枚の傑作アルバムの評判も高かった彼らが、遂に満を持してメジャーからデビュー。それもとびっきりのサプライズをメロディック・ロックファンにプレゼントしてくれた。
なんと、元パイロットの名ヴォーカリスト、そしてエルトン・ジョンやアラン・パーソンズ・プロジェクトでの敏腕ベーシストとしても有名なデイヴィット・ペイトンが全編でリード・ヴォーカルとして参加しており、うち2曲は彼自身が持ち込んだパイロットの未発表曲だというのだ。
これまでも、クイーンやELO、ビートルズといった英国ポップスの良質部分を批評家精神タップリにミックスし、そこに妙に味がある歌詞を載せるさまは、日本のジェリーフィッシュという名に恥じないものであったが、唯一、ヴォーカルの力量と言うか洗練度だけが個人的に気になっていた。しかし、ペイトンの参加がこれを解消し、彼らを一躍世界的なレベルに高めたと言っていい。
なかなか入手が困難な前2作の復刻も含め、彼らが評価され、大ブレイクすることを心のそこから祈っている。そして、その成功は約束されたと言っていいのでないか。