ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組) [DVD]
人からすごくいいよ、と奨められてみてみた。今流行り(といっても2年前の作品だが)
女性向の純愛ストーリーの邦画かと思っていたがぜんぜん違った。
男にもいやというほど伝わってくるこのせつなさはなんであろうか。
ジョゼと恒夫が結ばれるシーン。池脇千鶴が白いブラジャーをはずし胸を見せる。
池脇千鶴はグラビア、モデル出身でもないので胸は決して豊満ではなく美乳ともいいがたいの
だがそこが妙に愛しいのである。恒夫(妻夫木聡)がそこで「泣きそうだ」と
つぶやいてしまうのも本当に好きな娘の裸を初めて前にした男ならつい共感してしまうだろう。
(欲情とは別にある「あの」感情を知っている男に限ればの話だが。)
そしてラストに向かっていく恒夫の弱さや狡さも共感してしまう自分にやるせなさを感じた。
あるインタビューで監督が「この映画(で感動すること)はダメ男かどうかの踏絵です」と
言っていたそうだ。その通りかもしれない。忘れられない本気の恋をしたことある人ない人で
感想が違ってくるかもしれないけれどぜひ一度は見てもらいたい。
ジョゼと虎と魚たち(通常版) [DVD]
ほとんど興味本位で観てみましたが、すばらしい映画でした。
妻夫木聡が演じる恒夫はエッチで厚かましくて、でも、ある意味自分の気持ちにとても正直な青年。男性は思わず自分の昔の姿と重ね合わせる人も多いはず。そんな彼が、おばば言葉で、毒舌で、子供のように我が儘で、足の不自由なジョゼに惹かれていく。
一つの孤独な魂に出会い、その存在すべてを受け止めていくのは、きっと言葉では表せない位大変なこと。世間体、将来の不安、、、数え上げたらきりがない。そういう意味で本作品のラストは非常にリアリティのあるものに仕上がっていると思います。
ジョゼと恒夫の出会いは無駄だったのでしょうか。ジョゼは言います。「うちな、生まれてからずっと暗闇の中で暮らしてたんや。でも、ここまで泳いで来たんや。あんたとこの世で一番エッチなことをするために。」「あんたがおらんようになったら、またあの暗闇に逆戻りや。でも、それもまたええかもしれんけどな。」
爽やかなエッチさとツボをくすぐる笑い(カナイハルキはかなりツボにはまりました)そして何より、妻夫木聡と池脇千鶴の迫真の演技についつい引き込まれます。
個人的には「世界の中心で~」などよりよっぽど素敵な恋愛映画だと思います。特に大人におすすめ。
新源氏物語 (上) (新潮文庫)
タイトルが実直な感想です。はっきり言ってしまえば、教科書に載る部分は色恋のおもしろいところは取り除かれたものだと思います。これだけ長い間伝わるだけの読みごたえはアリです。「新」でおわかりのとおり、現代語で書かれていますので読みやすいです。けれども、表現の美しさは変わらないと思います。日本語の美しさ、文化に自信を持てるようになるのではないでしょうか。
新源氏物語 (中) (新潮文庫)
中巻に入りいよいよ話は頂点に上り詰めていきます。明石から帰還した後が時代となります。登場人物も上巻での紹介にとどまっていた女性たちもその宿命としての全体像がより深く描写されていきます。末摘花や花散る里もより大きなスペースが割かれてそれぞれの運命の変転と役割がたどられていきます。ここに田辺さんの好みを見出すのは考え過ぎでしょうか。それに伴い源氏の多面的な側面とそれへのクールな観察眼もも浮き彫りにされていきます。
中巻にはいくつもの盛り上がりの場面があります。やはりその頂点は、if there is a paradise in this world, here it isともいうべき六条院の完成のシーンでしょうか。ここで一つの頂点が達成されます。そして全巻を通して影のプロデユーサーとしてその存在を静かに主張するのが紫の上でしょうか。さまざまな女性の育ちや成長にかかわっていくことにより、源氏の政治並びに美的なプロジェクトへの欠かせないパートナーとなっていくのです。
この六条院のシーンに続くのが、玉鬘の登場です。この部分は著者の読者へのサーヴィスでしょうか、九州弁満載のユーモラスな書きぶりと起承転結の物語となっています。この悪乗りは、近江の君の登場と大阪弁の突然の使用によって頂点に達していきます。
源氏物語 巻一 (講談社文庫)
1月、NHKのテレビ番組で源氏物語が紹介されて興味を持ち、購入しました。紫式部が執筆を始めたのが、一千八年。今からちょうど千年前なんですね。
7巻まで読んで、ようやく一段落したようなので、また、1巻を読んでいます。が、改めて読んでみると、一巻はちょっと印象が違う感じがします。これは、瀬戸内寂聴さんの翻訳のためなのか、原書がこんな感じなのかはわかりませんが、ちょぉっと、読みづらさはあるかもしれません。
ですが、改めて一巻から読んだことで、ようやく源氏物語がわかったなって気がします。というかようやく理解できた部分もあります。(それに、いきなりいるキャラクターもいて、最初だからあんまり気にせず読んでいたからってのもありますし)。
源氏物語初心者ですが、最後まで、だれることなく楽しめました。