テロリストのパラソル (講談社文庫)
本書が史上初の乱歩賞・直木賞ダブル受賞作品としてベストセラーになってから数年が過ぎました。
だいたいベストセラー本にはろくなのが無いのですが、本書はさすがはダブル受賞を果たしただけあって、予想を大きく裏切る見事な作品でした。
文章の質も内容も展開も、全てが高いレベルに達しており、最後まで一気に読み切ることができました。
特に作品全体を支配する、静かでどっしりとした濃いめのセピア色的な空気感(表現が難しい)にはやられました。
謎の提示や伏線の張り方、展開の意外性などを見ても、本作品は十分に本格ミステリとして通用するだけのものを持っていると思います。
#最後がやや陳腐な終わり方になってしまっているのが惜しい。
単にひとつの作品としての面白さだけでなく、筆者の筆力の高さや作家としてのポテンシャルの高さも感じさせてくれる一冊でした。
ベストセラー本にもたまにはまともなのがあるんですね☆
BE×BOY(ビーボーイ)CD COLLECTION ハート・ストリングス
原作未読ですが、亜樹良のりかず先生好きなので、取り敢えず聴いてみました。
購入の決め手は黒田さんが榊の声されてたんで購入に至ったんですが、流石黒田さん!
ヤクザ=黒田さんって位ぴったりで良かったです。相手役の遊佐さんも良い声してるのでホスト役がぴったりでした。なかなか良かったと思います。
意外と流れ的にもスムーズで、さらっと聴けるのではないでしょうか。
欲を云えばフリートークが無いのが残念でした。
雪が降る (講談社文庫)
今更なのですが。。。入院した際に自宅から持ち込み夜な夜なじっくり
読み直しました。
前々からのお気に入りの一冊です。
台風 雪が降る 銀の塩 トマト 紅の樹 ダリアの夏 の6つの短編集。
全てに於いて味がある。三色アイスならず六色アイスのような本。
爽快な味もあればすっぱ味のものもあり。
でも、どれも心惹かれると思うの私だけでしょうか?
テロリストのパラソルを読んだ上での銀の塩は「やはり苦労しているんだ。。」と主人公 島崎の生活を垣間見れる。
雪が降る は志村の返信メール一行で涙が溢れました。
たったあのページ数で物語をここまで持ってくる展開の良さはやはり
広告代理店にいた結果なのでしょう。
本が苦手でもすんなり入れる素敵な一冊です。
てのひらの闇 (文春文庫)
登場してくる男たちがかっこいい。昔、受けた恩に報いるため、石崎の死の真相を追いかける主人公の堀江はもとより、元の組長の息子堀江を鍛え、あくまで温かい目で見守る、暴力団組長坂崎。中でも一番は石崎である。
無能な経営者かと思えた彼だが、実は愛する女を支え、命をかけて守り抜く、男の中の男であったとは。彼が堀江にかけた最後の言葉「感謝する」。それに込められた石崎の思いがわかって、堀江と同様、石崎に惚れこんでしまった。
ふやけた男ばかりが増えている現代、こんな男たちの物語に、素直に感動した。