未成年 下巻 改版 (新潮文庫 ト 1-21)
本作は元々複数のプロットがからみあい、複雑なのであるが、第三部になるとさらに複雑化し、混乱した社会を映し出している。
しかしその中に於いても、第三部から登場するマカールが、清らかな空気を送り込んでいる。彼は主人公の戸籍上の父親で、救いのために長年巡礼生活を続けている。彼の言葉は、ドストエフスキーの理想である「民衆の正教」を表しており、そして彼が話したという或るエピソードは、深い印象を残し、当時のロシア社会を想像しやすくしてくれる。
また、リーザも相変わらず美しく描かれているのだが、彼女はとても可哀想なことになってしまう。
「しかし悲しい、ほんとうの悲しい言葉は、わたしは特に妹のリーザについて言わなければならない。これこそ――ほんとうの不幸というもので、リーザの悲痛な運命にくらべたら、わたしの数々の失敗などなんであろう!」
と主人公も書いている。どんな不幸に遭ったかは、ここでは書かないのでぜひ本書を読んでほしい。
そして、なぜこの世界はこれほど悲痛と苦悩にあふれているのか?――この問いが、次の『カラマーゾフの兄弟』に引き継がれる。そして、あのような名作が生まれるのだ。
未成年 上巻 改版 (新潮文庫 ト 1-20)
主人公アルカージイの手記という一人称の形式で物語は進行する。アルカージイのまるで熱に浮かされたかのようなほとばしる情熱は若き血潮のたぎりそのもので、そこがこの小説の大きな魅力でもあり、読み進ませる原動力のもなっているが、文章は帰結するまでに、微妙にあちこちに脱線し、力ずくでまとまりをつけているという感じで、読み易い小説ではない。章が細かく区切られているので、読む手助けになるが、噛み砕き難い小説だ!文庫として廃刊になっていたのも、こういうところが要因なのかもしれない。もしかしたら、未成年者の主人公ということで、未熟さを表現するためにわざと乱雑に書いてみたのだろうか?文豪円熟期の作品ということだが、錯綜しながらも文がまとまっているのは、力量のなせる技と感じるが、前ふりしていた登場人物が出て来ないなど、明らかな欠陥も見られるし、僕の理解力のなさなのかもしれないが、何を言いたいのか、今ひとつはっきりしない感じだ。ただ、父と子の葛藤が大きなテーマ、この小説の最大のテーマであることは間違いない。アルカージイの実の父ヴェルシーロフは、ドストエフスキーの小説は個性的で、印象の残る人物が非常の多いが、その中でも、特に際立った人物の中の一人である。氏の小説の登場人物は白黒はっきりした人格が多いのだが、どっちともつかないというのが、ヴェルシーロフの特徴で、頭脳の怜悧さも相まって、不気味で神秘的な雰囲気を与える。誰でもそうであろうと思うが、父という存在は巨人のような存在だ。薄っぺらな中身のない男でも子がいれば、子から見て然りであろうと思う。ヴェルシーロフのような父を持っていたとしたら、その存在の大きさは計り知れないであろう。ましてや、籍に入れてもらえないとあれば、心の憤りは尋常である筈がない...もう一人ドルゴルーキーというアルカージイの戸籍上の父親も印象に残る登場人物の一人だ。アルカージイが二人の父親のついて語るところがこの小説の一番の読みどころではないだろうか?「宿命の女性」と言われるカテリーナ・ニコラーエヴナを破滅に導くという手紙のくだりは、作品全体にサスペンス的な要素を醸し出すが、もったいぶった割りには、それほどドラマティックな効果はなく、拍子抜けする。また、今ひとつ個性的な人物がいないというのも、この小説の残念なところだ。とにかく、読後感として不完全な感じは拭いえない。再読すれば、新たな発見や見落としも見つかるのだろうが、いつか通読してみようという刺激には、物足りないし、この長さである。よっぽど、気が向かない限りはありえないないだろう。でも、突出した才能がなければ、とても書ける小説ではなことは確かだ。
ひとり
アルバム「ため息」からのファンですが、今回も温かく包み込むようなしばじゅんワールドを堪能させてくれます!
特に、10曲目の「今夜、君の声が聞きたい」は素晴らしいのひとことです。とにかく、「聴いてよかった!」と思えるアルバムです!
買って特はあっても損はなし!(笑)
ずっと聴き続けていきたいアルバム、そして歌声です。
Single Collection
今までリリースされたシングルを集めた作品。
ベスト盤のようなものなので、すでに柴田淳のファンでアルバムを
全て集めているような人にとっては、リミックスやアレンジ、
ボーナストラックがあるわけでもないので買う必要がないかもしれま
せん。逆に、初めて柴田淳のアルバムを買うような人にはおすすめ
だと思います。どの曲も本当に素敵な作品です。
私は知り合いにおすすめする時用に買ってみました。
ちょっと哀愁をおびた切なげなメロディー。
すっと耳になじんできます。とても美しい歌声で高音も
耳障りではありません。
どの曲がきっかけで柴田淳さんを好きになるかはわかりませんが、
どの曲ではまってこのアルバムを買ってみても期待は裏切らない
のではないでしょうか。
ラブドルコンプリート [DVD]
仲村みうちゃんの新作。
しかし、近作は、ファイナルの最終作品のインフォメーションで告知されたDVDではなく、インターネットにアップされた映像をDVD化したものです。
特典映像もデビュー当時のカメラテストなどです。
みうちゃんのファンなら買いでしょうが、エロのみを目的とされるようでしたら買わない方が無難です。
自分は、作品としてDVDの中身を期待して5つ星です。