Buxtehude: Organ Works (Complete)
北ドイツ楽派の作曲家・オルガニストのブクステフーデのオルガン全集。
若きバッハが徒歩で遠路はるばる聴きに行き、演奏のあまりのすばらしさに、滞在を何カ月も無断延長してオルガ二ストの職務を放棄し、市当局に叱責されたエピソードで有名です。
ウルリック・スパング=ハンセンによる1990年代の演奏。
6枚組にもかかわらず、びっくりするほどの安さです。
曲順は降誕節から三位一体節までの教会暦順に並んでいます。
演奏は堅実で地味な印象ですが、悪くありません。録音も優れています。
解説書は入っていません。
他の全集では、ヴァルター・クラフト盤 が古典的名盤とされているようですが、1950年代の録音です。
名曲集にはアラン盤 などがありますが、現在入手できないようです。
音楽の玉手箱~露西亜秘曲集~
有森博は私が特に新譜を待ち望んでいるピアニストの一人である。だけれども2007年11月に発売された2枚(!)のアルバムについては、前もってそのニュースを聴いてなかっただけに、ふらっと入ったCD店の店頭でこれらのアルバムを発見したときの喜びはことさら大きかった。その日、私は競馬で散々負けて、お金の持ち合わせがないところだったのであるが、カードがあれば買えてしまうという現代社会の病巣にあっけなくとりつかれ、即購入してしまった。
さっそく家に帰って聴いてみると、いや、これは良い。もう競馬で負けたことなんかどうでもいい(すいません・・)。有森博のアルバムはその曲目の構成にも彼ならではの卓越したセンスを感じるが、この露西亜秘曲集など実に見事だ。ほとんど知らない作品、中には知らない作曲家もいる。いったいどのようにしてこのように魅力的な作品を見つけるのだろうか?70分を超える収録時間もうれしい。
アルチュニアン、ババジャニアンといったアルメニアの作曲家の作品はなんともオリエンタルなムードだ。その親しみやすいこと。この国にはまだまだ魅力的な作品が埋もれていそうだ。他にもリストのハンガリー狂詩曲はラフマニノフのカデンツァがヴィルトゥオジティを満たす愉悦作だし、ヴィゴードスキーの編曲した「G線上のアリア」の思わぬ美しさにはクラッとくる。また、アレンスキー、グラズノフ、ラフマニノフ、タネーエフの「合作」はショパン・リストらの「ヘクサメロン」の露西亜版といえるもの。聴けるだけでもうれしい。さらにはリャプノフの力作などなど聴き応え万点のすばらしいアルバムである。できれば第2弾を出してほしい、と早くも思ってしまった。
空のない星 (Best choice)
この本は、第二次世界大戦中のドイツ(ユダヤ人虐殺があった頃)のとある町が舞台。あるきっかけで少年5人がユダヤ人の男の子をかくまうようなことになってしまい、仲のよかった少年たちの関係が少しずつ変わっていく。
文章はとても読みやすく、また登場人物の少年一人一人の気持ちが丁寧に書かれていてこの本の世界に引き込まれる。そして読み終わったあと、戦争下にいる人々はどんなにつらく、苦しんでいるのか考えさせられる。第二次世界大戦下日本がどのような被害を受け、また、加害していたのか、そのことについて無知でいてはいけないと気付く。