定番 (あたらしい教科書 4)
久々に、大変いい本に出会いました。
最近、誰かの持ち物をカタログのようにして
本にする、という手法に多少食傷気味だったのですが、
今回の本はちょっと違います。
田中杏子、遠山周平、伊藤まさこ、中原慎一郎、
千葉美枝子といった人たちが
●装うこと
●食べること
●住まうこと
という項目でそれぞれ筆を振るっていらっしゃいます。
知る人ぞ知るものや、誰でも知っているもの、
いろいろ出てきますが、とにかく美しい。
どちらかというと、ドイツのような、北欧のような
「用の美」的なセレクトになっています。
年齢を重ね、ただのブランド品じゃなくて
これからずーっと使っていけるものってなんだろう?
と思った方、ぜひ手にとって見てください。
素敵なものにたくさん出会えること、請け合いです。
レッド(1) (イブニングKCDX)
大学生の時分、友人が「学生運動の頃生まれたらなぁ」と言っていたのを思い出します。別に現体制に不満があるとかでなく
(そりゃ不満はあったでしょうけど)、なんとなくダラダラと無目的に学生生活をしている己と比較して過去の若き革命家たちの活動に憧れがあったのでしょう。
また、実際にわざわざ他大学まで行って左翼活動をしている知人などもいました。と言っても彼らは4年間できっちり卒業し、普通に企業に勤めましたけど。
要は若者なんだし、反体制活動の一つでもしてみたかった、ということでしょう。こうしたごっこ遊びの視点と自覚は全共闘以後の若者は普通に備えていて、
私よりも一回り上の山本直樹とてアフター世代だから同じです。
したがって興味の中心は、稚拙な思想集団が、その勢いと幼さゆえにどのように集団の力で突進し、暴走し、集団の内部で捻じ曲がっていくか、でしょう。ごっこ遊びの革命がメンバー内で確認・補完しあっていくうちに一般の社会通念とはかけ離れたカルトとでも呼ぶべきものに変貌していく、その過程。そりゃあ面白いに決まってます。
ある意味、オウムでも人民寺院事件でも題材は良さそうですが、全共闘とその暗部のあさま山荘は今まで美化と糾弾の両極端に意見が別れていて、そうした視座は一旦はずしましょう、という試みは創作物としては少なかったかと思います(論考は別にして)。
また、若さが澱のように溜まり淀んでいくと奇形的な花を咲かせる、というのは山本直樹が常に底に抱いているテーマであるので、なるほどぴったりという感じ。
さておき本作最萌えwキャラ赤城の動向に期待だ!!
連合赤軍 少年A
連合赤軍加藤三兄弟の次男である,加藤倫教氏の作品です。兵士側から見た連合赤軍事件については,植垣康博氏の「兵士達の連合赤軍」が有名ですが,これは兵士未満であった筆者があの組織の中でどのように過ごしたかという点では貴重な資料であると思われますし,中京安保共闘関係の文献がこれまでなかったことから,そういう意味でも評価できる本だと思います。
ただ,少し残念なのは全体で200ページ少しと量が少し少ないため,山岳ベース事件関係の記載が少し淡泊な感じがするのと,さらっと読めてしまう点でしょうか。
コアに読みたいのであれば植垣氏の著作を,とりあえず手始めならこの本ということになるのでしょうが,この本については絶版本なので入手が困難なところが残念です。