インディカードライバー佐藤琢磨―2010年インディカー・シリーズ17戦走行全セッションの証言 (SAN-EI MOOK)
本書は、昨年オートスポーツウェブに連載して好評を博した、アメリカンモータースポーツ取材の第一人者、天野雅彦による佐藤琢磨の密着レポートに、新たな描き下ろし部分を加えて一冊の作品としたものです。
一人のドライバーの、1シーズンの走行全セッション終了後にインタビュー取材を行うという、かつてないスケールの取材によって得られた佐藤琢磨の膨大なコメントを本文に据え、厳選した巻頭ののカラーページと合わせて、1シーズンインディカー・シリーズを戦った佐藤琢磨のロードムービーとして楽しめる一冊です。
琢磨本人の語った生々しい走行終了後の言葉は、彼が全く未知の環境の中でチャレンジした2010年、毎戦、走行ごとに何を考え、どのように戦い、インディカーを新たな自分のフィールドとしていったのか、その過程を読者にリアルに伝えてくれます。
それは単に一人のレーシングドライバーの1年の苦悩と成長の足跡であるだけでなく、超一流のスポーツ選手がどのように目標を設定し、どれほどの問題解決能力を持ち、モチベーションを再生産しているのか、というケーススタディーとしても非常に興味深いものといえます。
オープンで自由なアメリカンレーシングの世界での佐藤琢磨の琢磨の好奇心にあふれるユニークな視点は、日本のファンに忘れかけていたアメリカンモータースポーツ本来の魅力や、コンペティションのレベルの高さを高い説得力で語りかけてきます。1年間全セッションの生コメントの圧倒的な重みと、リアル感が、マンセル、ビルヌーブ、モントーヤを間近で見てきた天野氏の視点が、新たな琢磨の魅力を伝えてくれることでしょう。