オイストラフ コンチェルト・コンプリート [DVD]
ソ連の名ヴァイオリニストであったオイストラフの協奏曲演奏のTV映像を収録したDVDです。収録年は1964年から1970年。計195分で全てモノクロです。テレビカメラで撮ったビデオ映像は映画フィルムに比べて劣化も早く進むため、画質は年代のわりに良くなく、音質も程度の差はありますが全般に今ひとつです。それでもオイストラフのソロは比較的よく入っていますから、彼の演奏を聴くには許容範囲といえます(伴奏はもやもやしたところが多いですが)。キャメラワークはぶっきらぼうなもので、話になりません。
曲目は、1ショスタコーヴィチの協奏曲第2番、2ヴィヴァルディの4つのVnのための協奏曲(作品3-10)、3ブラームス、4シベリウスの協奏曲、5ベートーヴェンのロマンス第1番、6チャイコフスキーの協奏曲、7ベートーヴェンの三重協奏曲。2は息子のイゴール、コーガン親子との共演、7はリヒテル、ロストロポーヴィチとの共演。伴奏は、17がコンドラシン指揮モスクワ・フィル、2がテリヤン指揮モスクワ室内o、3から6がロジェストヴェンスキー指揮、モスクワ放送so(345)とモスクワ・フィル(6)。
演奏としては、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキーが熱演にして好演。ヴィヴァルディはよい雰囲気でした。そしてベートーヴェンの三重協奏曲、これはソ連の3人の巨人が顔をそろえた巨大な演奏です。曲自体は一般に言われるように弱いものですが、それでも最終楽章などはすごい迫力。歴史的な映像記録というべきでしょう。
なお、本DVD収録演奏のうち3から7は「オイストラフ・アルヒーフ」という2枚組のLDに収録されていたのと同じものです。これらについては、DVD化に伴う画質や音質の向上は感じられませんでした。上記のLDを所有している方にとっては、星2つ半くらいでしか推薦できません。
ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番
1番は、ショパンコンクール優勝時の演奏の方が個人的にはアルゲリッチのベスト演奏だと思っている。決してアバド&ロンドン交響楽団が悪いわけではないが、1楽章と3楽章は途中からアルゲリッチがノリノリになってテンポがつかめなくなってしまう。そこはオケがよく付いていっていると思う。良くも悪くもアルゲリッチらしい演奏だろう。
2番はロマンチックで良かった。美しさ、華やかさを強く感じた。ロストロポーヴィチがうまくコントロールしているのか、アルゲリッチにしては珍しく落ち着いた演奏で、ピアノとオケがうまくかみ合っている。
スヴェトラーノフ/ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第2番、ヴァイオリン協奏曲第1番 [DVD]
冒頭、モスクワと思われる夜景がショスタコのV協奏曲第一番をバックに一分程続き当時に引き込まれる。
続いて、本番ムスッとした顔のコーガンの演奏が始まる。
指揮はコンドラシン。
演奏はモスクワ国立フィルハーモニー交響楽団。
強靭なテクニックとグァルネリの美音がよく鳴る。観客の顔のアップが次々と挿入される。皆、演奏と一体となった沈潜した深みのある顔である。ショスタコの顔も出る。
楽章間の短い合い間にコーガンの私生活の映像が流れる。10歳頃の佐藤陽子を指導する真剣な教師としての厳しいコーガンの顔がある。いつの顔にも懊悩がよぎっている。58歳で歿す。
29分の小品ながらよくできた構成の映像となっている。カメラワークもいい。値段も手頃。
グレン・グールド/ロシアの旅 [DVD]
予想してた通りグールドの映像や演奏が少なかったです。
しかし、実は期待していなかっただけに、内容は予想を超えてなかなか良いものでした。
かなり興味深い内容が多く、リヒテルとも会っていた話やグールド自身が指揮をしている映像がほんのちょっとだけでしたがあって、楽しく見る事が出来ました。
そして、どうやらこの作品は、2003年第21回モントリオール国際芸術映画祭でグランプリを受賞しているようです。
それにしても若い頃のグールドは、見た目にもかなりかっこいいですね。
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
ロストロポービッチはこの協奏曲を何回も録音している。
カラヤンやジュリーニとも組んだこともあるが、それらはかなりの感情移入をして自由に弾いたものだった。
それらに比べて、この録音はなんて自然なんだろうか。
心から勢いよく涌き出てくる作曲家からのメッセージや曲想をすばらしい技巧によって難なく自然にあますところなく表現している。
この録音の後、ロストロポービッチはエラートとの間で今後この曲に関して録音は行わないと契約したといわれている。
それほど素晴らしい出来の演奏だ。
小沢も、しっかり自己主張しながらボストンのいいところを引き出して独奏者の好演に華を添えている。