アメリカの伯父さん [DVD]
この映画をコメディなどと呼ぶのは評者が全く観ていない証拠、実際のところ極めてシリアスな恋愛悲劇であって、これを数限りなくある同種の映画から大きく区別しているのは、随所に登場人物の心の動きに対する心理学的解説が入るところであるが、この解説の入り方に殆ど違和感がなく、映画全体の流れを全く乱していないばかりか、殆ど映画に不可欠な要素としてしまっているところが、映画監督Alain Resnaisの卓越した腕の為せる技、鑑賞者に、自ら或いは他人の心の動きや行動について分析するよすがを与える、娯楽映画としても学術映画としても堪能できるとても奇妙で他に類のない傑出した映像作品。
クレイジーインアラバマ
ぼくのお気に入り作品。ルシールおばさんと少年との二つの物語が同時進行するのだけれど、何と言っても1965年のアラバマが舞台ってところが味噌。マーティン・ルーサー・キング牧師とアラバマ州知事ジョージ・ウォ-レスとの演説対決があったり、ハリウッドの『じゃじゃ馬億万長者』撮影風景があったり、そういう歴史の中でありながら、あくまでブラック・コメディ、かつホームドラマを貫く物語の骨太さが何とも好感。人間の雑多で不屈な魂や自然とのハーモニィが魅力。あまりに深く広い世界にはまりました。20世紀最後の一押し作品!