田紳有楽・空気頭 (講談社文芸文庫)
なんだコリャ(○Cジーパン刑事)!凄い小説!田紳有楽…藤枝静男…知らなかった〜勉強不足!いやーこの感激忘れません。とにかく面白いから読んでみな、と勧めてくれた飲み屋のマスターに感謝!
悲しいだけ・欣求浄土 (講談社文芸文庫)
ここには藤枝静男の中期の傑作である「欣救浄土」と、晩年の「悲しいだけ」の2編が収められている。「欣救浄土」は7編、「悲しいだけ」は8編に分かれた、いわば連作小説といってよい形で、ひとつの方法論(気分)に貫かれた、それぞれ独立した短編としても読める。どちらも藤枝の代表作であるが、とりわけ「欣求浄土」は彼の最高傑作といって差し支えない名作であり、多くの人に読んでもらいたい作品。
「欣求浄土」は擬死からはじまり、本当の死に辿り着くまでの、つまり死から生を吸いとってゆくような小説で、これはそれ以前に書かれた藤枝のやはり代表作である「空気頭」と対をなす作品といってよい。「空気頭」が生から死への垂直的意味合いから、ある種の変態的嗜好によってこの世界を飛躍しようとするのなら、「欣求浄土」では死から生を吸いとっていく、自然との融和によって、この世界を不条理の錯乱で逸脱しようとする。
実際に、この作品は、最初に、最後に飾られてある「一家団欒」が描かれた、ということであった。つまり死後の世界をモチーフにしたその短篇から、著者はまるで生を汲み尽くすように、この作品を紡いでいったのだ。
藤枝静男という作家は聞き慣れない人も多いかと思う。実際、極北の作家などともいわれている。けれども、彼こそが小説とは何かを本当の意味で知っていたのではないか。現代の作家では、笙野頼子や川上弘美らが彼の文学に熱いラヴコールを送っている。藤枝の小説に触れたなら、安易な私小説への偏見が一掃される。実際、僕は彼の著作に触れて、その後の人生が明らかに変わった。こんな作家が日本にいたのか、とそう思ったのだ。
誰だって、それまでの小説の見方が大きく変わるはずだ。
「欣求浄土」は擬死からはじまり、本当の死に辿り着くまでの、つまり死から生を吸いとってゆくような小説で、これはそれ以前に書かれた藤枝のやはり代表作である「空気頭」と対をなす作品といってよい。「空気頭」が生から死への垂直的意味合いから、ある種の変態的嗜好によってこの世界を飛躍しようとするのなら、「欣求浄土」では死から生を吸いとっていく、自然との融和によって、この世界を不条理の錯乱で逸脱しようとする。
実際に、この作品は、最初に、最後に飾られてある「一家団欒」が描かれた、ということであった。つまり死後の世界をモチーフにしたその短篇から、著者はまるで生を汲み尽くすように、この作品を紡いでいったのだ。
藤枝静男という作家は聞き慣れない人も多いかと思う。実際、極北の作家などともいわれている。けれども、彼こそが小説とは何かを本当の意味で知っていたのではないか。現代の作家では、笙野頼子や川上弘美らが彼の文学に熱いラヴコールを送っている。藤枝の小説に触れたなら、安易な私小説への偏見が一掃される。実際、僕は彼の著作に触れて、その後の人生が明らかに変わった。こんな作家が日本にいたのか、とそう思ったのだ。
誰だって、それまでの小説の見方が大きく変わるはずだ。