ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 [DVD]
1977年にウィーンのムジークフェラインザールで行われた、クラウディオ・アバド指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏によるコンサートの模様を収録。若きマウリツィオ・ポリーニのピアノを見られる貴重な記録。曲もオケも最高で現代にふさわしいブラームスになっている。
昨年ポリーニの演奏をサントリー・ホールに聴きに行ったが白髪の好々爺になっていて愕然とした。ただピアノを弾き出せばあの鋭い感性に満ちあふれたポリーニがそこにいた。
このDVDの頃のポリーニは古典に現代作品に精力的に演奏をこなしていた時期で最も脂の乗った時期だった。この運指を見る事が出来る本作は本当に貴重だと思う。
昨年ポリーニの演奏をサントリー・ホールに聴きに行ったが白髪の好々爺になっていて愕然とした。ただピアノを弾き出せばあの鋭い感性に満ちあふれたポリーニがそこにいた。
このDVDの頃のポリーニは古典に現代作品に精力的に演奏をこなしていた時期で最も脂の乗った時期だった。この運指を見る事が出来る本作は本当に貴重だと思う。
Complete Piano Sonatas
「ポリーニのベートーヴェンソナタ全集が最新録音も含め1枚あたり1000円未満で手に入る」というのが購入動機でした。また、ポリーニならば手のクセや不自由さを感じさせず楽譜通りにベートーヴェンのソナタを弾くとどんな演奏になるのかを知ることができそうだから、他の演奏を聴いた時にどんな味付けが楽しめるのかの参考になるだろうとも思いました。(とっくに輸入盤が出ているのに売ってくれないアマゾンではなく某T社で買いました。)
この全集は「長い時間をかけた偉業」という褒め言葉ばかりが取り沙汰されていますがポリーニは本当に全集をつくる気があったのでしょうか。テクニックや演奏解釈のみならず、録音時期も場所もバラバラ、セッションとライブの混在、10枚のCDを強引に8枚に収めた「やっつけ仕事」的な編集など、どう考えても統一感がありません。せめてリミックスできなかったか。CD1からCD3とCD5は初出のままだから、この頃から全集プロジェクトに着手したものの、技術的にも年齢的にも新録音で完成は難しいから、残りの4枚は過去の録音を抱き合わせ販売にしたのではないでしょうか。全集というよりBOX化です。だから廉価盤での発売なのでしょう。最近ポリーニは日本でも後期ソナタを演奏したので新録音しないのは勿体ないです。CD5は「落ち穂拾い」がバレないようにわざと「テンペスト」を再録音しました的な…。(笑)
CD6で、第24番「テレーゼ」のあとに第25番がつづくとエンジンに余裕のある高級車から急に軽自動車のアクセル全開になったようでブチ壊しです。CD7の3つのソナタは録音時期だけでなくマイクアレンジとミックスの違いや楽器のコンディションまで大きくかけ離れていてまったくつながらないのが気持ち悪いです。聴いていると演奏会場の椅子に座ったままピアノとの遠近感やホールの広さなど瞬間に変更させられた感じで落ち着きません。やはり第25番と第26番「告別」、第24番と第27番、第28番と第29番はつづけた方が自然な流れになります。(結局iTunesで編集して元の枚数と順番で聴いています。この方がずっといいです。)
「ハンマークラヴィーア」冒頭で聞こえる「はっ!」と気合いの入った息づかいが印象的です。この頃のポリーニはこの曲(ソナタ形式の頂点、難曲)とウェーベルンの変奏曲(第1楽章ソナタ形式の極限、第2楽章スケルツォ、第3楽章緩徐な変奏曲)、ブーレーズの第2ソナタ(ソナタ形式の破壊、4楽章構成の超難曲)という共通項をもつ意欲的なプログラムで気力・体力絶好調の果敢な演奏を聴かせました。後期ソナタ集はどれも急速楽章の集中度と白熱度が凄いです。曲自体の出来がいいので演奏の難度が高くてもテクニックさえ完璧ならば「無味無臭」でも圧倒的な説得力があります。昔2枚組を買った時もとりあえず後期ソナタがどんな曲なのかを知るには好適な規範となりました。「味わう」という点では優しさに満ちたルドルフ・ゼルキンの28番、エッシェンバッハの「人類の悲しみの霊廟」そのもののグラモフォン盤ハンマークラヴィーア、ポゴレリチのジャズっぽい32番など規範にどんな味付けをするかがわかってより面白かったのを覚えています。
1988年の「テンペスト」・「ワルトシュタイン」・25番・26番「告別」は後期ソナタ集と同じく輝かしい音とテクニックの演奏ですが中期ソナタ群はそれだけではもの足りない気がしてあまり印象に残りませんでした。改めて聴くと「テンペスト」は透明感のある旧録音の方がいいと思いました。「ワルトシュタイン」は強い音で深みを増した新録音がいいです。第13番はさらっとしていて深みがありません。「月光」はギレリスの強靱な演奏、「田園」はブレンデルのいかにもシューベルト風な演奏が気に入っています。「田園」ではレクチャー付きの仲道郁代も面白いです。1997年の11番・12番・「ワルトシュタイン」は初出では演奏と楽譜をパソコンで同期表示できるCD-pluscoreが面白かったです。ライブなのに楽譜を全部見せちゃうなんてさすがポリーニ強気!この頃の演奏は楽譜通り正確に弾く「教育的」だけど(だから)「つまらない」印象ばかりで以後買わなくなりました。12番のよさがわかったのは冷静に丹念に弾いたグレン・グールド盤です。13番は後期ソナタに匹敵する彫りの深さを究めたピーター・ゼルキン盤が気に入っています。
ほかに全集にならなかったグールドの選集、バレンボイムによる映像版の全集、楽譜マニアで関連する小品や変奏曲も収めた仲道郁代の全集、ロマン派を得意として「よく歌う演奏」のメジューエワの全集など、これからポリーニの全集を一つの規範にしてどんな演奏が楽しめるのかに期待しています。
この全集は「長い時間をかけた偉業」という褒め言葉ばかりが取り沙汰されていますがポリーニは本当に全集をつくる気があったのでしょうか。テクニックや演奏解釈のみならず、録音時期も場所もバラバラ、セッションとライブの混在、10枚のCDを強引に8枚に収めた「やっつけ仕事」的な編集など、どう考えても統一感がありません。せめてリミックスできなかったか。CD1からCD3とCD5は初出のままだから、この頃から全集プロジェクトに着手したものの、技術的にも年齢的にも新録音で完成は難しいから、残りの4枚は過去の録音を抱き合わせ販売にしたのではないでしょうか。全集というよりBOX化です。だから廉価盤での発売なのでしょう。最近ポリーニは日本でも後期ソナタを演奏したので新録音しないのは勿体ないです。CD5は「落ち穂拾い」がバレないようにわざと「テンペスト」を再録音しました的な…。(笑)
CD6で、第24番「テレーゼ」のあとに第25番がつづくとエンジンに余裕のある高級車から急に軽自動車のアクセル全開になったようでブチ壊しです。CD7の3つのソナタは録音時期だけでなくマイクアレンジとミックスの違いや楽器のコンディションまで大きくかけ離れていてまったくつながらないのが気持ち悪いです。聴いていると演奏会場の椅子に座ったままピアノとの遠近感やホールの広さなど瞬間に変更させられた感じで落ち着きません。やはり第25番と第26番「告別」、第24番と第27番、第28番と第29番はつづけた方が自然な流れになります。(結局iTunesで編集して元の枚数と順番で聴いています。この方がずっといいです。)
「ハンマークラヴィーア」冒頭で聞こえる「はっ!」と気合いの入った息づかいが印象的です。この頃のポリーニはこの曲(ソナタ形式の頂点、難曲)とウェーベルンの変奏曲(第1楽章ソナタ形式の極限、第2楽章スケルツォ、第3楽章緩徐な変奏曲)、ブーレーズの第2ソナタ(ソナタ形式の破壊、4楽章構成の超難曲)という共通項をもつ意欲的なプログラムで気力・体力絶好調の果敢な演奏を聴かせました。後期ソナタ集はどれも急速楽章の集中度と白熱度が凄いです。曲自体の出来がいいので演奏の難度が高くてもテクニックさえ完璧ならば「無味無臭」でも圧倒的な説得力があります。昔2枚組を買った時もとりあえず後期ソナタがどんな曲なのかを知るには好適な規範となりました。「味わう」という点では優しさに満ちたルドルフ・ゼルキンの28番、エッシェンバッハの「人類の悲しみの霊廟」そのもののグラモフォン盤ハンマークラヴィーア、ポゴレリチのジャズっぽい32番など規範にどんな味付けをするかがわかってより面白かったのを覚えています。
1988年の「テンペスト」・「ワルトシュタイン」・25番・26番「告別」は後期ソナタ集と同じく輝かしい音とテクニックの演奏ですが中期ソナタ群はそれだけではもの足りない気がしてあまり印象に残りませんでした。改めて聴くと「テンペスト」は透明感のある旧録音の方がいいと思いました。「ワルトシュタイン」は強い音で深みを増した新録音がいいです。第13番はさらっとしていて深みがありません。「月光」はギレリスの強靱な演奏、「田園」はブレンデルのいかにもシューベルト風な演奏が気に入っています。「田園」ではレクチャー付きの仲道郁代も面白いです。1997年の11番・12番・「ワルトシュタイン」は初出では演奏と楽譜をパソコンで同期表示できるCD-pluscoreが面白かったです。ライブなのに楽譜を全部見せちゃうなんてさすがポリーニ強気!この頃の演奏は楽譜通り正確に弾く「教育的」だけど(だから)「つまらない」印象ばかりで以後買わなくなりました。12番のよさがわかったのは冷静に丹念に弾いたグレン・グールド盤です。13番は後期ソナタに匹敵する彫りの深さを究めたピーター・ゼルキン盤が気に入っています。
ほかに全集にならなかったグールドの選集、バレンボイムによる映像版の全集、楽譜マニアで関連する小品や変奏曲も収めた仲道郁代の全集、ロマン派を得意として「よく歌う演奏」のメジューエワの全集など、これからポリーニの全集を一つの規範にしてどんな演奏が楽しめるのかに期待しています。