原発・放射能クライシス Japan Nuclear Crisis
日本に原子力発電が持ち込んだ米国のGEには、細かい耐震計算書がなかった。米国には地震が少なく、地震を想定した設計になっていないからだ。当時の日本の通産省やメーカーにも、そのよな経験がなく、ずぶの素人集団で作成した耐震計算書がそのまま東電や通産省にとおったエピソードの紹介がある。また、以前からなぜ福島に原発があるのかと疑問に思っていたが、これは当時の東電の社長が福島出身で、当時の福島県知事からの強い要請があって決まったのだという。これまでの報道を見て、東京の電力供給を福島に押し付けているイメージがあったが、歴史を知ると相応の背景があったことが分かる。本書では、今、起こっていることの解説もさることながら、歴史にまで踏み込んだ内容が記されており、他の原発本と共にセットで読むと、原子力に対する造詣が深まる。