連続ドラマW 東野圭吾「変身」 DVD BOX
――「君を愛したことを忘れない」
――恵の目から大粒の涙があふれた。それはダイヤのように光り、床に落ちた。
東野圭吾の小説はあまり好まない当方ですが、このシーンの美しさは強烈に記憶されていて、どのように映像化されるのか心待ちにしていた作品。
はじめに断っておきますが、当方は神木隆之介さんのファンでもあります(それもわりと古くからの)。そんな私が彼の出演作品についてレビューを書くのはこれが初めて。彼と二階堂ふみさんのファンなら絶対に観るべき作品です(むしろこれを見ずして彼らを語らないでいただきたい)。
後ほど触れますが、このドラマにはたしかに足りない点もありました。しかし最終回を終えた夜、どうしても心の整理がつかなかった(結末を知っていたにもかかわらず)。こんなドラマは初めてです。あの晩、眠ることができずに他人の感想を探して読みました。すると、「思いが重すぎて言葉にならない」「涙が止まらないけれど理由がわからない」「感動という言葉も安っぽくてもどかしい」という感想を次々に目にしました。
何故そのように思うのかを私なりに考えたのですが(以下より若干のネタバレあり)、
ひとつは主人公とヒロインの外見が、こんな物語が展開されるにはあまりにも年齢的に幼く、それがいっそうもの悲しさを与えるから。
ふたつめは、主人公が苦しみヒロインが傷つく、いわば「鬱」なシーンの数々が、耐えられないくらいに優しく、まるでふたりをいたわるかのように演出されているというギャップ。特にそう思わせるのは音楽の使い方で、例えばバーで暴走する過激なシーンで、神秘的な静かな曲(再生)が挿入される。また最後に「ある決断」をするシーンでもこの曲が使われる。そういった演出のセンスが、原作を知る者としては驚きであり、また心に沁みるのです。またこのドラマで唯一優しい曲がありますが(純一と恵のテーマ)、これさえどこかほろ苦くもの悲しい。ふたりのシーンでの数々の演出パターンは原作ファンにもぜひ見ていただきたいと思いました。
みっつめはやはり、純一と恵の関係のあり方が単純に「救いがあるか無いか」で判断することができず、深く考えずにはいられないことでしょう。このドラマでは原作のストーリー展開の順序を入れ替え、逃亡中のガランとした部屋で誰にも知られることなく、恵をモデルにして最後の絵に取り組むシーンをクライマックスに持ってきています。苦しみの果てにふたりの魂が繋がった感動的なシーンですが、このときですら純一はもはや昔の気が弱く優しい純一には戻ることはなく、ふたりの間にはどこか距離感がある。それでも、彼らが辿りついたのは他の誰にも真似ることのできないであろう深い愛であったというのは、説明しなくても観る人すべてに伝わってきます。またエンドロールで時間軸が戻り、彼が最後に恵のそばかすを描きくわえながら優しく微笑んでいたことがわかります(恵は眠っていて知ることができなかった)。思わず涙が溢れてしまうラストカットですが、しかしこの微笑みすら本人が言うように完全に元の純一に戻ってはいないわけで、ただ優しいだけではない、厳しさと緊張感を残した深いまなざしなのです。むしろ変身してしまう前の純一にはあんな表情はできなかったであろうと思われ、終わった後にはいやでもふたりについて考えることを強いられます。
あの殺伐とした原作から、よくもこんな優しく神秘的なテイストの映像作品を生み出したものだと感心させられました。
以上が良かった点。
以下は不満な点になります。
原作のほうが優れていると思った点は、恵の「そばかす」について。原作では、変身前の純一にとってそばかすは恵の魅力の象徴であり、恵のそばかすを本物どおり素敵に描くことが目標でした。それがどういうわけか醜く感じてしまうところから人格変化が始まり、純一が最も苦しんだのは恵を愛したくても愛する気持ちが消えていってしまうところなのです。それが本作では凶暴性にばかり重点が置かれて、純一が恵を突き放すまでが早すぎた。原作では恵を愛することの大切さを純一自身が自覚しており、愛そうと努力する場面がたびたびあるのですがこれもドラマではカット。代わりに冗長なサスペンスシーンがあちこちに追加されている。ここにもっと時間を使っていれば、最後にそばかすを描きくわえるシーンがどれだけ深い感動を呼ぶか伝わるのにと思うと残念だった。
また人格変化についての説明がいまひとつ。原作もかなり迷走していましたが、原作をなぞるようにドラマでも迷走してしまったか、という印象。ここに重点を置いて観ていた人たちにとってはかなり不満な作品であったことには間違いないでしょう。
それから、サスペンス部分の演出パターンが毎回同じで無駄に長い。特にこの点は私にとって我慢できないレベルであり録画を見直すたびに早送りをしています。だいたい何故刑事を主要人物にしたのかわからない。もしああいう第三者的立場の視点を入れたいのであれば原作通り、娘を助けられた弁護士を活躍させるべきだったと思うのです。
あとは残虐シーンなどはかなりオブラートに包んでいるので、そういうものに期待して観る人にとっては物足りないでしょう。
最後に主題歌にも触れておきます。高橋優「おやすみ」。
優しく切ない曲という点では合っていると思いましたが、それにしても最初のうちはなんだか間延びした曲だなあという印象でした。しかし、最終回でこの曲が流れ出してその歌詞が耳に入ってきたとき、まさにこの内容のための曲だったのだと悟りました。あのラストシーンとともにこの歌詞が流れてくるとは、お見事でした。
――君がいい夢見て眠れたら 他には何も今はいらない
――君が笑顔で生きられるなら 他には何も今はいらない
足りない点もありましたが☆の数を減らすにはあまりに感動が大きすぎたので☆5としました。良い作品です。
――恵の目から大粒の涙があふれた。それはダイヤのように光り、床に落ちた。
東野圭吾の小説はあまり好まない当方ですが、このシーンの美しさは強烈に記憶されていて、どのように映像化されるのか心待ちにしていた作品。
はじめに断っておきますが、当方は神木隆之介さんのファンでもあります(それもわりと古くからの)。そんな私が彼の出演作品についてレビューを書くのはこれが初めて。彼と二階堂ふみさんのファンなら絶対に観るべき作品です(むしろこれを見ずして彼らを語らないでいただきたい)。
後ほど触れますが、このドラマにはたしかに足りない点もありました。しかし最終回を終えた夜、どうしても心の整理がつかなかった(結末を知っていたにもかかわらず)。こんなドラマは初めてです。あの晩、眠ることができずに他人の感想を探して読みました。すると、「思いが重すぎて言葉にならない」「涙が止まらないけれど理由がわからない」「感動という言葉も安っぽくてもどかしい」という感想を次々に目にしました。
何故そのように思うのかを私なりに考えたのですが(以下より若干のネタバレあり)、
ひとつは主人公とヒロインの外見が、こんな物語が展開されるにはあまりにも年齢的に幼く、それがいっそうもの悲しさを与えるから。
ふたつめは、主人公が苦しみヒロインが傷つく、いわば「鬱」なシーンの数々が、耐えられないくらいに優しく、まるでふたりをいたわるかのように演出されているというギャップ。特にそう思わせるのは音楽の使い方で、例えばバーで暴走する過激なシーンで、神秘的な静かな曲(再生)が挿入される。また最後に「ある決断」をするシーンでもこの曲が使われる。そういった演出のセンスが、原作を知る者としては驚きであり、また心に沁みるのです。またこのドラマで唯一優しい曲がありますが(純一と恵のテーマ)、これさえどこかほろ苦くもの悲しい。ふたりのシーンでの数々の演出パターンは原作ファンにもぜひ見ていただきたいと思いました。
みっつめはやはり、純一と恵の関係のあり方が単純に「救いがあるか無いか」で判断することができず、深く考えずにはいられないことでしょう。このドラマでは原作のストーリー展開の順序を入れ替え、逃亡中のガランとした部屋で誰にも知られることなく、恵をモデルにして最後の絵に取り組むシーンをクライマックスに持ってきています。苦しみの果てにふたりの魂が繋がった感動的なシーンですが、このときですら純一はもはや昔の気が弱く優しい純一には戻ることはなく、ふたりの間にはどこか距離感がある。それでも、彼らが辿りついたのは他の誰にも真似ることのできないであろう深い愛であったというのは、説明しなくても観る人すべてに伝わってきます。またエンドロールで時間軸が戻り、彼が最後に恵のそばかすを描きくわえながら優しく微笑んでいたことがわかります(恵は眠っていて知ることができなかった)。思わず涙が溢れてしまうラストカットですが、しかしこの微笑みすら本人が言うように完全に元の純一に戻ってはいないわけで、ただ優しいだけではない、厳しさと緊張感を残した深いまなざしなのです。むしろ変身してしまう前の純一にはあんな表情はできなかったであろうと思われ、終わった後にはいやでもふたりについて考えることを強いられます。
あの殺伐とした原作から、よくもこんな優しく神秘的なテイストの映像作品を生み出したものだと感心させられました。
以上が良かった点。
以下は不満な点になります。
原作のほうが優れていると思った点は、恵の「そばかす」について。原作では、変身前の純一にとってそばかすは恵の魅力の象徴であり、恵のそばかすを本物どおり素敵に描くことが目標でした。それがどういうわけか醜く感じてしまうところから人格変化が始まり、純一が最も苦しんだのは恵を愛したくても愛する気持ちが消えていってしまうところなのです。それが本作では凶暴性にばかり重点が置かれて、純一が恵を突き放すまでが早すぎた。原作では恵を愛することの大切さを純一自身が自覚しており、愛そうと努力する場面がたびたびあるのですがこれもドラマではカット。代わりに冗長なサスペンスシーンがあちこちに追加されている。ここにもっと時間を使っていれば、最後にそばかすを描きくわえるシーンがどれだけ深い感動を呼ぶか伝わるのにと思うと残念だった。
また人格変化についての説明がいまひとつ。原作もかなり迷走していましたが、原作をなぞるようにドラマでも迷走してしまったか、という印象。ここに重点を置いて観ていた人たちにとってはかなり不満な作品であったことには間違いないでしょう。
それから、サスペンス部分の演出パターンが毎回同じで無駄に長い。特にこの点は私にとって我慢できないレベルであり録画を見直すたびに早送りをしています。だいたい何故刑事を主要人物にしたのかわからない。もしああいう第三者的立場の視点を入れたいのであれば原作通り、娘を助けられた弁護士を活躍させるべきだったと思うのです。
あとは残虐シーンなどはかなりオブラートに包んでいるので、そういうものに期待して観る人にとっては物足りないでしょう。
最後に主題歌にも触れておきます。高橋優「おやすみ」。
優しく切ない曲という点では合っていると思いましたが、それにしても最初のうちはなんだか間延びした曲だなあという印象でした。しかし、最終回でこの曲が流れ出してその歌詞が耳に入ってきたとき、まさにこの内容のための曲だったのだと悟りました。あのラストシーンとともにこの歌詞が流れてくるとは、お見事でした。
――君がいい夢見て眠れたら 他には何も今はいらない
――君が笑顔で生きられるなら 他には何も今はいらない
足りない点もありましたが☆の数を減らすにはあまりに感動が大きすぎたので☆5としました。良い作品です。
Kindle Paperwhite Wi-Fi、キャンペーン情報つきモデル
とにかく、荷物が重いのがイヤで本なんて持ち歩きたくなく、読書も就寝前に少しずつ読むしかありませんでした。
このキンドルを買ってから、読書量が倍増しました。
週末の過ごし方にも変化が。
今まで以上に、一人で過ごす時間が楽しみになりました。
お気に入りのカフェやバーをみつけて、居心地のよい店でキンドルを見ながらおいしいワインを飲む。
今まで、読書アレルギーでしたが、本の素晴らしさを感じられるようになりました。
スマホは生活が便利になりましたが、キンドルは生活が豊かになりました。
軽いって本当にすばらしいです。
このキンドルを買ってから、読書量が倍増しました。
週末の過ごし方にも変化が。
今まで以上に、一人で過ごす時間が楽しみになりました。
お気に入りのカフェやバーをみつけて、居心地のよい店でキンドルを見ながらおいしいワインを飲む。
今まで、読書アレルギーでしたが、本の素晴らしさを感じられるようになりました。
スマホは生活が便利になりましたが、キンドルは生活が豊かになりました。
軽いって本当にすばらしいです。
シンプル 無地 リュック デイバッグ ユニセックス
東京在住ですが注文した日をいれて6日で届きましたヽ('▽`)/
色はラベンダー色くらいかな?と思ってたら想像以上に暗く、二藍色って感じです。
タグは黒です。
背負居心地は◎!がっちりぴったりして、動きやすいです。
勉強道具をいれるために買いましたがたくさん入ります(^○^)
学校用にもってこいです。安いし、大満足です。
色はラベンダー色くらいかな?と思ってたら想像以上に暗く、二藍色って感じです。
タグは黒です。
背負居心地は◎!がっちりぴったりして、動きやすいです。
勉強道具をいれるために買いましたがたくさん入ります(^○^)
学校用にもってこいです。安いし、大満足です。
秘密 [VHS]
話の内容は突飛なのですが、人間の情だとか、複雑な感情を
見事に表している傑作です。
ヒロスエのいつものさわやかな笑顔のまま母親としての思いまで
とても上手い演技を見せています。
すごい傑作が世の中には埋もれていることがありますが、
これもその一つでしょう。
確か当時は「あのヒロスエがベッドシーンを!!」みたいなことばかり
取り上げられていたようにおもいますが、そんな好奇心なんて
全然持てません。
(実際は裸も無いですし、ただ、台詞のなかに「Hにしようか?」とか
それとはっきり分かる声を出すといった程度ですし)
誰が見ても純粋な愛だとか思いだとかをジーンと感じられる
良作、傑作ですね。
見事に表している傑作です。
ヒロスエのいつものさわやかな笑顔のまま母親としての思いまで
とても上手い演技を見せています。
すごい傑作が世の中には埋もれていることがありますが、
これもその一つでしょう。
確か当時は「あのヒロスエがベッドシーンを!!」みたいなことばかり
取り上げられていたようにおもいますが、そんな好奇心なんて
全然持てません。
(実際は裸も無いですし、ただ、台詞のなかに「Hにしようか?」とか
それとはっきり分かる声を出すといった程度ですし)
誰が見ても純粋な愛だとか思いだとかをジーンと感じられる
良作、傑作ですね。