映画空間 400選
副題は、
・「映画の建築・都市・場所・風景を読む」
・「映画史115年×空間のタイポロジー」
としている。
始めに編集者の一人である結城秀勇氏により『Introduction 映画空間とはなにか』が書かれている。
その中で、“映画空間”の明確な定義づけが行われていないことからわかるように、その概念自体、簡単ではないようである。
メインの『400選作品紹介』で、画家、建築家、小説家、映画評論家など、計23人の執筆者によって、製作年代順に映画作品の紹介がキーワードを挙げてなされている。
作品の選択の基準は、“空間的な示唆や豊かさがあることであり、それに基づいてキーワードが抽出される”となっているが、全てのキーワードが素朴な意味での空間を表すものではない。例えば、“群集”、“家族”、“柱時計”など。それらも空間といえば空間なのかもしれないが。
すでに自分が見た映画にどのようなキーワードが付けられ、それに基づいてどのように解説されているのか、まだ見ていない映画のキーワードと解説を読んでどの様な映画なのかを知るのには良い。
ただし、先ほども述べたように、キーワードが単純な意味での空間に限られたものではないこと、また、ほとんどが400字に足りない解説の中で“映画空間”という観点でポイントをまとめるのは難しかったようである。さらに映画のスティール写真が載せられている作品もあるが、キーワード・解説内容・スチール写真の関連性を厳しく見ようとする人には、疑問を感じるものもあるのではないだろうか。
曽我部昌史氏が『キーワード−集合住宅 団地とスラムの先に何が見えるか』というコラムの中で、“以前、団地が舞台となっている日本映画を集中的に見たことがある”、と書いているが、それを可能とするように例えばまず、空間に関するキーワードとして“団地”、“都会”、“ビル”などを取り上げ、その後にキーワードごとに映画をリストアップし、それぞれの映画を解説していくという方法もあったのではないかと思う。個人的に、“タイポロジー”から期待したものはそうしたものでした。
また16のキーワードをもとに書かれた『映画空間コラム』の中で解説されている作品については、『400選作品紹介』の中で解説された作品に限定して、本全体としての統一感が欲しかった。
“映画空間”というテーマ自体が簡単ではなく、また多数の人が執筆することによる難しさもあったのではないかと思う。
当初の目的がどの程度達成されているのかはわかりませんが、昔見た懐かしい映画を思い出し、また未見の沢山の映画を知ることができましたので☆4とさせてもらいます。
・「映画の建築・都市・場所・風景を読む」
・「映画史115年×空間のタイポロジー」
としている。
始めに編集者の一人である結城秀勇氏により『Introduction 映画空間とはなにか』が書かれている。
その中で、“映画空間”の明確な定義づけが行われていないことからわかるように、その概念自体、簡単ではないようである。
メインの『400選作品紹介』で、画家、建築家、小説家、映画評論家など、計23人の執筆者によって、製作年代順に映画作品の紹介がキーワードを挙げてなされている。
作品の選択の基準は、“空間的な示唆や豊かさがあることであり、それに基づいてキーワードが抽出される”となっているが、全てのキーワードが素朴な意味での空間を表すものではない。例えば、“群集”、“家族”、“柱時計”など。それらも空間といえば空間なのかもしれないが。
すでに自分が見た映画にどのようなキーワードが付けられ、それに基づいてどのように解説されているのか、まだ見ていない映画のキーワードと解説を読んでどの様な映画なのかを知るのには良い。
ただし、先ほども述べたように、キーワードが単純な意味での空間に限られたものではないこと、また、ほとんどが400字に足りない解説の中で“映画空間”という観点でポイントをまとめるのは難しかったようである。さらに映画のスティール写真が載せられている作品もあるが、キーワード・解説内容・スチール写真の関連性を厳しく見ようとする人には、疑問を感じるものもあるのではないだろうか。
曽我部昌史氏が『キーワード−集合住宅 団地とスラムの先に何が見えるか』というコラムの中で、“以前、団地が舞台となっている日本映画を集中的に見たことがある”、と書いているが、それを可能とするように例えばまず、空間に関するキーワードとして“団地”、“都会”、“ビル”などを取り上げ、その後にキーワードごとに映画をリストアップし、それぞれの映画を解説していくという方法もあったのではないかと思う。個人的に、“タイポロジー”から期待したものはそうしたものでした。
また16のキーワードをもとに書かれた『映画空間コラム』の中で解説されている作品については、『400選作品紹介』の中で解説された作品に限定して、本全体としての統一感が欲しかった。
“映画空間”というテーマ自体が簡単ではなく、また多数の人が執筆することによる難しさもあったのではないかと思う。
当初の目的がどの程度達成されているのかはわかりませんが、昔見た懐かしい映画を思い出し、また未見の沢山の映画を知ることができましたので☆4とさせてもらいます。
カラスなぜ啼く、なぜ集う 探偵作家クラブ渡辺啓助会長のSF的生涯
弟・渡辺温があまりにも短い人生だった分、兄・渡辺啓助は堂々101歳の長寿を全うした。
本書はその一生を追ったものだが、帯における「薔薇と悪魔の詩人」なる呼び名には何も異論はないけれど、
書名副題「探偵作家クラブ会長のSF的生涯」ってどうなの?
確かに日本探偵作家クラブの4代目会長を務めたし戦後日本SFの世話役としても貢献したが、渡辺啓助という人の看板はそこじゃないだろう。
書名にしても鴉(カラス)は彼の代名詞だけど、もう少し気の利いたタイトルはなかったのか。
内容は作品論というより未読者にわかり易いようなバイオグラフィーと作品紹介の趣き。但し全作品リストとか著書目録とかコンプリートな形では提示されてはいない。
昭和50年代以降に出た著書で復刻されていない作品が数多くあるので、第二〜三章での戦時下/戦後作品案内はビギナーでなくとも有難い。
小説だけでなく『B』『鴉』といった同人誌での活動、没後における啓助四女の画家・渡辺東や新青年研究会を中心とした
啓助に関するイベント・刊行物の動き等も正しくフォローされているのは良かった。「吸血劇場」と「処女獣」のテキスト異同・初出情報など書誌ネタも面白い。
著者の天瀬裕康・渡辺玲子夫妻は、文中の語り口調を整理統一した方が読みやすかったと思う。
渡辺啓助を初めて読むなら、何はなくともまず初期の傑作短編「偽眼のマドンナ」「佝僂記」「美しき皮膚病」
「血笑婦」等を集めた怪奇探偵小説名作選2『地獄横丁』(ちくま文庫)が最適。
幻想系なのでどうしても短編のほうが出来が良いのだが、前述の「吸血劇場」といった中〜長篇も
最近流行の同人出版でかまわないから読めるようになってほしい。
本書はその一生を追ったものだが、帯における「薔薇と悪魔の詩人」なる呼び名には何も異論はないけれど、
書名副題「探偵作家クラブ会長のSF的生涯」ってどうなの?
確かに日本探偵作家クラブの4代目会長を務めたし戦後日本SFの世話役としても貢献したが、渡辺啓助という人の看板はそこじゃないだろう。
書名にしても鴉(カラス)は彼の代名詞だけど、もう少し気の利いたタイトルはなかったのか。
内容は作品論というより未読者にわかり易いようなバイオグラフィーと作品紹介の趣き。但し全作品リストとか著書目録とかコンプリートな形では提示されてはいない。
昭和50年代以降に出た著書で復刻されていない作品が数多くあるので、第二〜三章での戦時下/戦後作品案内はビギナーでなくとも有難い。
小説だけでなく『B』『鴉』といった同人誌での活動、没後における啓助四女の画家・渡辺東や新青年研究会を中心とした
啓助に関するイベント・刊行物の動き等も正しくフォローされているのは良かった。「吸血劇場」と「処女獣」のテキスト異同・初出情報など書誌ネタも面白い。
著者の天瀬裕康・渡辺玲子夫妻は、文中の語り口調を整理統一した方が読みやすかったと思う。
渡辺啓助を初めて読むなら、何はなくともまず初期の傑作短編「偽眼のマドンナ」「佝僂記」「美しき皮膚病」
「血笑婦」等を集めた怪奇探偵小説名作選2『地獄横丁』(ちくま文庫)が最適。
幻想系なのでどうしても短編のほうが出来が良いのだが、前述の「吸血劇場」といった中〜長篇も
最近流行の同人出版でかまわないから読めるようになってほしい。
女番長ブルース 牝蜂の挑戦 [DVD]
70年代東映を代表するポルノ&アクション女優(当時はそういうカテゴリーがあったのだ)、池玲子と杉本美樹によるスケバンポルノ映画。ただし当時は杉本はまだ格下扱いで、SM担当みたいな脇役である。
鈴木則文監督の腕前について予備知識がない人が、泥臭い昔のキワモノB級映画と侮って接すると、まずテンポの軽快さ、明るさにびっくりするだろう。スケバン達にも無邪気な透明感があり、特別出演=梅宮辰夫の押し出しも見事なものだ。それだけに、後半の展開とミスマッチ(何ぼ何でも小山明子は無駄な豪華さだろう)な感じもするするが、ラストの暗殺場面は痺れるほどのカッコ良さ。10回ぐらいリピートしました。
鈴木則文監督の腕前について予備知識がない人が、泥臭い昔のキワモノB級映画と侮って接すると、まずテンポの軽快さ、明るさにびっくりするだろう。スケバン達にも無邪気な透明感があり、特別出演=梅宮辰夫の押し出しも見事なものだ。それだけに、後半の展開とミスマッチ(何ぼ何でも小山明子は無駄な豪華さだろう)な感じもするするが、ラストの暗殺場面は痺れるほどのカッコ良さ。10回ぐらいリピートしました。
オグシオ公式写真集 ROAD TO BEIJING
昨今はやりのアスリート系写真集ですが、何か味気ない出来です。
普段の私達を見て下さい…という感じの内容ですが、もう少し見る側へ訴える何かが欲しいですね。
タレントではないので水着やセクシーショットなどは求めませんが、編集の仕方にもうひと工夫をお願いしたいところ。
それと確かに3000円という価格は高いですね。内容からして2500円以下が妥当でしょう。
普段の私達を見て下さい…という感じの内容ですが、もう少し見る側へ訴える何かが欲しいですね。
タレントではないので水着やセクシーショットなどは求めませんが、編集の仕方にもうひと工夫をお願いしたいところ。
それと確かに3000円という価格は高いですね。内容からして2500円以下が妥当でしょう。