「グッバイ、レーニン!」オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
それは、ヤン・ティルセンの新譜ということで気になってはいたけれどまだ手にしていない時。私は某テレビ番組のBGMにくぎ付けになりました。それは、一度も聴いたことのない曲で、しかも“楽器の演奏だけなのに”、確かにヤン・ティルセンの曲だと直感したのです。そしてすぐに買い求め、見事に的中してしまいました。
“この音は彼でしかあり得ない!”という音なのです…。
『アメリ』で有名になったヤン・ティルセンですが、あの面白く軽妙なアコーディオンの世界とは別に、彼にはとても深遠な感性があります。私はその深遠な感性の方こそ、彼の醍醐味、世界観だと思います。そしてこの作品は、その「深遠」な部分を十二分に見せてくれます。
ヤン・ティルセンは楽器を多様に操り、「一人でオーケストラを演じる男」とも称された人です。この作品の骨はピアノです。ピアノが繊細に大胆に流れてゆく中、その低音に混じりコントラバスが胸の底に響き、突然破裂音のようなトランペットが静寂を切り裂きます。煽情されるようなはっとする音です。それからこもったオーボエやクラリネット等の管楽器も、霧がかったドイツ的なムードを演出します。
でも決して暗くはありません。言うなれば、「一面の霧か靄に一条の光が射す…」といった感じです。悔い改まりたくなるような、心が洗浄されるような音楽です。
最近方々の番組のBGMで聴かれるヤン・ティルセンですが、これは、ステレオの前かヘッドホンで、聴き入るべき音楽だと思います!ただのサントラでは終わりませんよ!
“この音は彼でしかあり得ない!”という音なのです…。
『アメリ』で有名になったヤン・ティルセンですが、あの面白く軽妙なアコーディオンの世界とは別に、彼にはとても深遠な感性があります。私はその深遠な感性の方こそ、彼の醍醐味、世界観だと思います。そしてこの作品は、その「深遠」な部分を十二分に見せてくれます。
ヤン・ティルセンは楽器を多様に操り、「一人でオーケストラを演じる男」とも称された人です。この作品の骨はピアノです。ピアノが繊細に大胆に流れてゆく中、その低音に混じりコントラバスが胸の底に響き、突然破裂音のようなトランペットが静寂を切り裂きます。煽情されるようなはっとする音です。それからこもったオーボエやクラリネット等の管楽器も、霧がかったドイツ的なムードを演出します。
でも決して暗くはありません。言うなれば、「一面の霧か靄に一条の光が射す…」といった感じです。悔い改まりたくなるような、心が洗浄されるような音楽です。
最近方々の番組のBGMで聴かれるヤン・ティルセンですが、これは、ステレオの前かヘッドホンで、聴き入るべき音楽だと思います!ただのサントラでは終わりませんよ!
グッバイ、レーニン! [DVD]
ベルリンの壁崩壊直前に倒れた社会主義を信奉する母。彼女が意識を失っている間に東ドイツはすっかり姿を変えてしまう。目覚めた母がショックを受けないように息子はニュース番組までつくって嘘をつき続けるが。。。
ドイツ統一から約10年後にできた映画が最近になってDVDに。
白井聡の「未完のレーニン」に取り上げらているこの作品。確かにこれはすごい映画だ。
最初は嘘をついてる姿に笑うだけなのだが、母と会うことがドイツ統一についていけない人たちの拠り所になっていくあたりから不思議な感覚に陥っていく。
この映画、どこに落としていくんだろう?と思って見てたらこうきたか。母の秘密が告白されてからは泣きながら色々なことを考えさせられた。
イデオロギーというのは嘘を信じ抜くことなのかもしれない。それは人間の弱さでもあり強さでもあると思う。でも最後は理想を信じて生きていくしかないんだろうなぁ。理想の社会を語ってしまう形となる嘘のニュース映像のラストはグッと来るものがあった。
何年経っても色褪せることない名作。
ドイツ統一から約10年後にできた映画が最近になってDVDに。
白井聡の「未完のレーニン」に取り上げらているこの作品。確かにこれはすごい映画だ。
最初は嘘をついてる姿に笑うだけなのだが、母と会うことがドイツ統一についていけない人たちの拠り所になっていくあたりから不思議な感覚に陥っていく。
この映画、どこに落としていくんだろう?と思って見てたらこうきたか。母の秘密が告白されてからは泣きながら色々なことを考えさせられた。
イデオロギーというのは嘘を信じ抜くことなのかもしれない。それは人間の弱さでもあり強さでもあると思う。でも最後は理想を信じて生きていくしかないんだろうなぁ。理想の社会を語ってしまう形となる嘘のニュース映像のラストはグッと来るものがあった。
何年経っても色褪せることない名作。
グッバイ、レーニン! [Blu-ray]
日本で公開されるドイツ映画といえば、
1にも2にもナチス関係の映画というイメージがあるが、
今作は1989年ベルリンの壁崩壊前後を扱った作品では新鮮であり秀逸です。
壁崩壊以降、社会主義国家東ドイツを西ドイツの資本主義が
呑み込んでいく様子が描かれているが、
その中で息子が作った母親のための東ドイツを
アパートの小さな部屋でやり続ける姿は
母親思いだしコミカルに映る。
その反面、妹、彼女、母親の友人、尚且つ崩壊後の就職した会社の友人まで
巻き込んだ状況をいつまで続けられないことがわかっているのに行っている姿が
痛々しく最後のほうで涙してしまいました。
基本的に地味な作品であるが、
バリバリの社会主義者で真面目な母親が心臓発作で倒れた後、
アパートで療養中に外へ出て行ったときに大きな物体が横切るシーンは
当時の状況を一発で描いたダイナミズムのあるシーンで一番の見所です。
そんな母親がついていた嘘もあったりと最後まで目が離せない作品になっています。
また、別の角度から見ると似た状況をもつ南北朝鮮も統一したら
このような混乱した状況になるのかなと想像するような見方もできる作品です。
おススメです。
1にも2にもナチス関係の映画というイメージがあるが、
今作は1989年ベルリンの壁崩壊前後を扱った作品では新鮮であり秀逸です。
壁崩壊以降、社会主義国家東ドイツを西ドイツの資本主義が
呑み込んでいく様子が描かれているが、
その中で息子が作った母親のための東ドイツを
アパートの小さな部屋でやり続ける姿は
母親思いだしコミカルに映る。
その反面、妹、彼女、母親の友人、尚且つ崩壊後の就職した会社の友人まで
巻き込んだ状況をいつまで続けられないことがわかっているのに行っている姿が
痛々しく最後のほうで涙してしまいました。
基本的に地味な作品であるが、
バリバリの社会主義者で真面目な母親が心臓発作で倒れた後、
アパートで療養中に外へ出て行ったときに大きな物体が横切るシーンは
当時の状況を一発で描いたダイナミズムのあるシーンで一番の見所です。
そんな母親がついていた嘘もあったりと最後まで目が離せない作品になっています。
また、別の角度から見ると似た状況をもつ南北朝鮮も統一したら
このような混乱した状況になるのかなと想像するような見方もできる作品です。
おススメです。
グッバイ、レーニン! (竹書房文庫)
既に映画の方で、本作品を知っていましたが改めて本の方も読んでみました。映画では少し私には疑問だった部分が本を読んだ事でより明解になりました。基本的に、映画のあらすじと同じですが社会主義体制を深く信奉するアレックスの母が心臓発作で倒れ、昏睡状態に陥ってその間にベルリンの壁が崩壊します。少しのショックをも与えては命の危険につながるということで、アレックスが必死に「東ドイツはまだ存続している」フリをするその姿がとても滑稽且つ印象的です。この本を改めて読み、ドイツ統一は果たして良い事だったのか、今ドイツでは「オスタルギー」という新しい言葉が世間で言われていますが、東ドイツの生活の良さ、資本主義体制への変化についていけなかった東出身の人々など、東と西の格差は今もどういった面で見受けられるのか、様々に考えさせられる作品だと思います。是非、映画も合わせて鑑賞するとより面白いです!!