ヴァイオリンサミット 2006 [DVD]
私がこのコンサートを観たのは、サントリーホールでの2日目。座席が中央の前から6列目だったこともあって、「もしかしたら・・・」という当ては大きく外れ(収録は大阪のザ・シンフォニーホール)たものの、DVDを観ながら再び感動に浸ってしまった。これほどまでに個性的なヴァイオリニスト6人が、ひとつのステージに揃うことはまずあり得ないだろうから、各アーティストが聴き比べられるだけでもお得な1枚だと思う。実際、同じ楽器であるにも関わらず、それぞれの奏でる音色がまったく違うことに驚いた。収録曲は、アンコールまで全て収録されており、ジャンルはおなじみのクラシック、ジャジーなもの、アイリッシュ、そして情熱大陸まで、本編142分と長めながら飽きずに楽しめる。アンコール3曲目に登場するスペシャルゲストは圧巻!注文を付けるとすると、全編MCを切らずに入れて欲しかった。そうすれば、会場の楽しい雰囲気がもっと伝わったはずだ。
灯の日々
この作品は著者である奥村愛さんの処女作だ。
文芸社のキャンペーンによって世に放たれた作品である。
公園で捨てられ、ここにいたと言う事しか記憶がない黒猫の『僕』と、恋心を抱いていた親友に失恋した女子大生の『私』の二年間の物語。
絶望の中泣いていた『僕』を拾ってくれたのは、同じく失恋で絶望感に押しつぶされそうになった『私』だった。
『僕』と『私』はきちんとした意思疎通はもちろんの事出来ないが、次第に最大の理解者へとなっていく。
視点が黒猫の『僕』と女子大生の『私』交互に入れ替わる形になっている。
『僕』が健気で、『私』の事をよく理解し、良き理解者になろうと努力する。
だが、『僕』は猫なので鳴く事や『私』に飛びつこうとする事でしか意思表現が出来ない点が泣けてくる。
「人間の男だったなら、僕はきっとこの世で、一番のあなたの理解者になれるのに、いつまでもそばにいることができるのに。」という文章は胸を締め付ける。
対する『私』は『僕』の気持ちを理解しており、良き理解者だと思うようになる。
何故二年間の物語なのか、それは『私』の些細な出来事を『忘れる』事によって終幕するからだ。
全体を通して、『私』を自分に置き換えるとここまで健気に理解者であろうとする『僕』の存在を羨ましく感じる。
そのため、猫が欲しい、そう思わせてくれる小説だ。
ちなみに著者の次回作は恐らくこの作品の売れ行きに関わっていくだろう。
出来る事なら、彼女の次回作、いやこれからの作品を見ていきたい。
是非とも手にとって頂きたいと心から願う。
文芸社のキャンペーンによって世に放たれた作品である。
公園で捨てられ、ここにいたと言う事しか記憶がない黒猫の『僕』と、恋心を抱いていた親友に失恋した女子大生の『私』の二年間の物語。
絶望の中泣いていた『僕』を拾ってくれたのは、同じく失恋で絶望感に押しつぶされそうになった『私』だった。
『僕』と『私』はきちんとした意思疎通はもちろんの事出来ないが、次第に最大の理解者へとなっていく。
視点が黒猫の『僕』と女子大生の『私』交互に入れ替わる形になっている。
『僕』が健気で、『私』の事をよく理解し、良き理解者になろうと努力する。
だが、『僕』は猫なので鳴く事や『私』に飛びつこうとする事でしか意思表現が出来ない点が泣けてくる。
「人間の男だったなら、僕はきっとこの世で、一番のあなたの理解者になれるのに、いつまでもそばにいることができるのに。」という文章は胸を締め付ける。
対する『私』は『僕』の気持ちを理解しており、良き理解者だと思うようになる。
何故二年間の物語なのか、それは『私』の些細な出来事を『忘れる』事によって終幕するからだ。
全体を通して、『私』を自分に置き換えるとここまで健気に理解者であろうとする『僕』の存在を羨ましく感じる。
そのため、猫が欲しい、そう思わせてくれる小説だ。
ちなみに著者の次回作は恐らくこの作品の売れ行きに関わっていくだろう。
出来る事なら、彼女の次回作、いやこれからの作品を見ていきたい。
是非とも手にとって頂きたいと心から願う。
さらば愛しき大地 (レンタル専用版) [DVD]
都会化が進む農村地を背景に、自分の思惑とは裏腹に、果てしなく堕ちていく男の哀れさと自暴自棄さを、堂々かつ悠然に、圧倒的な映像力で照射させた柳町光男の紛れもない大傑作。その当時の日本映画の本流とも言える反社会的で、重い、暗い、激しいの3要素で貫徹されたへビィな作品だが、観終わった後のドスンと残る感覚は、心を捉えて離さない。小川紳介と同伴して長年“三里塚”の農村と人々を撮り続け、この年(82年)「ニッポン国古屋敷村」で山形の牧野村での“日常”を活写させて絶賛された田村正毅による撮影が素晴らしい。劇中何度もインサートされる風にそよぐ田園の緑々さ、唐突にふたりの幼子を飲み込む水面の水波の静的で恐怖のイメージ、それに続く葬列の人々と日食、覚醒剤でトリップするドモリの蟹江敬三と彼の妻で片足をひきずっている中島葵、山口美也子と小林捻持による豚小屋での性交シーン、秋吉久美子の歌う「ひとり上手」、覚醒剤を打ち続け、陶酔と破滅に陥っていく根津甚八等、一分の隙もない凝縮された画面から発せられる各場面が極めて印象的だ。根津演じる主人公を、甘い、弱い、暴力的と断罪するのは容易いが、それに内包される“悲しみ”を感じてしまう部分もある。根津を始め、蟹江、山口、矢吹二朗と皆忘れられない好演だが、何と言っても秋吉久美子!!彼女の演じる順子の、そのあまりの哀切さは、泣き顔で歌われた音程の狂った「ひとり上手」と共に、愛おしくていつまでも胸に残る。
ラヴェンダーの咲く庭で
まずはジャケットの表情が素晴らしい。基本的にバアイオリニストの曲なのだから、中身で勝負なのは当たり前だが、やはり見た目もいいに越したことはない。横浜育ちの僕は本当に見た目でもお金にも苦労しているので良く分かる。それはさておき、愛さん選曲・演奏のCDなので、この曲の組み合わせの妙と演奏の華麗さがこれまでのアルバムの中でも最高にいい。いまだに成長し続けるバアイオリニストも珍しい。しかし、やはり、生演奏で聞いてもらいたい。残念ながら、今はタンゴのツアー中だが。先日、横浜でも演奏会があったが、このCDの曲も演奏されていたので、50年生きてきて本当に良かったと実感した。サイン会での握手の温もりが僕の心に火をつけた。とはいえ、このCDを聞くととても癒される。さて、寝る前にもう一度聞くとしますか。