吉川元春―毛利を支えた勇将 (PHP文庫)
「毛利の両川」と称えられつつも、弟隆景に比べて、
「勇猛なだけの武将」と見られ、他作品では引き立て役に回ることの多い元春だが、
この本では彼の素朴な像がよく分かる。
生涯側室を持たず、正妻との仲は良好で、家庭生活は最高のものだった。
太平記を戦陣で書き写すなど、文化への造詣も深かった。
確かに知略では弟に及ばなかったが、彼は弟の知略が自分に無いものだというのを知り、
自分の立ち回りを考えて行動することが出来た。
元春のことばの端々に滲み出る弟へのコンプレックスと愛情が、非常に人間くさい。
彼一人だけでは何も出来なかったでしょうが、
毛利家中の要石としては申し分ない生き方であったと言えましょう。
「勇猛なだけの武将」と見られ、他作品では引き立て役に回ることの多い元春だが、
この本では彼の素朴な像がよく分かる。
生涯側室を持たず、正妻との仲は良好で、家庭生活は最高のものだった。
太平記を戦陣で書き写すなど、文化への造詣も深かった。
確かに知略では弟に及ばなかったが、彼は弟の知略が自分に無いものだというのを知り、
自分の立ち回りを考えて行動することが出来た。
元春のことばの端々に滲み出る弟へのコンプレックスと愛情が、非常に人間くさい。
彼一人だけでは何も出来なかったでしょうが、
毛利家中の要石としては申し分ない生き方であったと言えましょう。
元就と毛利両川
内容は、毛利氏に関する歴史を至極解りやすく記述しています。簡潔な記述ばかりですが、毛利氏の歴史を概略として資料にまとめておられ、入門書としては実に素晴らしいです。
また書き出しでは、毛利氏が戦国時代に至るまでどのような流転を歩んできたか・・・いわば戦国前史についても触れられており、毛利氏の発展と流転、そして元就という異能者の出現には、ある種の歴史的必然があったということが記されています。元就の生前、元就存命中、そして元就死後の歴史に関しても解りやすく記述されており、これから元就と毛利氏について知りたいという方には打ってつけです。
また、筆者の方(利重氏)は執筆中に視力を失われたらしく、記述は全てテープに収録した後文書に起こされたとのことです。その御努力と御精励にも敬服いたしましたので、畏れ多くも星満点の方をつけさせていただきました。歴史書の編纂には多分な労力が必要なのだな、という実感も湧く作品です。
また書き出しでは、毛利氏が戦国時代に至るまでどのような流転を歩んできたか・・・いわば戦国前史についても触れられており、毛利氏の発展と流転、そして元就という異能者の出現には、ある種の歴史的必然があったということが記されています。元就の生前、元就存命中、そして元就死後の歴史に関しても解りやすく記述されており、これから元就と毛利氏について知りたいという方には打ってつけです。
また、筆者の方(利重氏)は執筆中に視力を失われたらしく、記述は全てテープに収録した後文書に起こされたとのことです。その御努力と御精励にも敬服いたしましたので、畏れ多くも星満点の方をつけさせていただきました。歴史書の編纂には多分な労力が必要なのだな、という実感も湧く作品です。