白い巨塔 DVD-BOX 第一部
本放映当時は「フジテレビ、唐沢、江口」というキーワードから
軟弱トレンディ路線を勝手に想像して敬遠してました。
がしかし最近、原作本を読んで面白かったので、今さらでは
ありますがこのドラマを見直してみました。
食わず嫌いでした。
原作とオリジナル脚本のバランスの良さ、唐沢、江口の好演、
石坂、伊武の怪演、J−POPを主題歌としていない
等々硬派な作りで、骨太社会派ドラマの傑作でした。今まで見
ていなくて、とても損しました。
軟弱トレンディ路線を勝手に想像して敬遠してました。
がしかし最近、原作本を読んで面白かったので、今さらでは
ありますがこのドラマを見直してみました。
食わず嫌いでした。
原作とオリジナル脚本のバランスの良さ、唐沢、江口の好演、
石坂、伊武の怪演、J−POPを主題歌としていない
等々硬派な作りで、骨太社会派ドラマの傑作でした。今まで見
ていなくて、とても損しました。
新潮文庫「白い巨塔 全5巻セット」
ようやく『白い巨塔』全5巻を読破した。著者である山崎豊子氏の作品は、大学生時代から大好きで、『大地の子』を皮切りに、『沈まぬ太陽』、『二つの祖国』など、引き込まれるようにして読んできた。氏の作品がいずれも巨編であるにも関わらず、苦もなく読めてしまい、かつ深い読後感に包まれるのは、とりもなおさず、氏が、本編の執筆にかけるのに勝るとも劣らない時間と労力を、事前の取材やインタビューに費やしているために、それだけ、社会の実相や登場人物の心理の描写などが鬼気迫るものになり読者を飽きさせないためではないかと思う。
本作品は、唐沢寿明演じる同名のドラマが有名なので、それで原作を読んでみたいと考える人が多いと思う。実は、私自身はドラマを見たことはないが、作品を読んでみて、逆にドラマを見てみたいと思うようになった。(別に山崎豊子氏の作品に限らないが、作品を読むと、どうしても主人公である財前五朗や、それに対置して描かれる正義感あふれる医師、里見などに感情移入されてしまうため、ドラマでは細かな心理描写がどのように描かれているのか、うまく表現されているのかなど、気になってしまう)
作品の主人公である財前五朗の権力欲、名誉欲への飽くなき執念、患者への非人間的な態度。少し大げさに描写しているのではないかと思うときもあるが、実際、大学病院という権威と権謀術数が渦巻く世界で、財前のような人間は少なからずいるのだろうと思われる。自己の出世のためには、手段も選ばない。そのような人間を描く小説が、最後はどのような結末を迎えるのか。ネタバレをしてはいけないので書かないが、本作を読み終えた読者は、おそらく結末の部分に驚きと満足(第5巻にたどり着くまで、読み続けてきて良かった)を感じたのではないかと思う。
本作は医療の世界をモチーフにしているが、どんな職業であれ、それが特に専門家が進んだ分野であって、強い倫理が求められる職業であれば、財前の生き方を反面教師にしなければならないと、誰もが思いを致すのではないかと思う。どんな職業であっても、「働く」ことが「はた(他人)を楽にする」ことである以上、財前と対局にある人を思いやる心を持つことが、今こそ求められているとの思いを強くする。今回の震災に当たって、日本国民全体が、東北の被災者の皆さんのことに想いを馳せ、とにかく何かしなければという思いを持った。これは、大きな事だと思う。道で困っている人を見ても、みて見ぬふりをしようとするのが大半の世の中にあって、あれだけの数のボランティアの方が東北へ、東北へと駆けつけたことは、まだまだ日本も捨てたものではないと感じる契機になった。『白い巨塔』から、いきなり震災の話につなげるのは、いささか飛躍していると考える方もいるかもしれないが、この作品を読んでみようと思い立つ方には、どうか、冒頭で書いた「深い読後感」を味わっていただきたいと思い、レビューを書いた次第です。
本作品は、唐沢寿明演じる同名のドラマが有名なので、それで原作を読んでみたいと考える人が多いと思う。実は、私自身はドラマを見たことはないが、作品を読んでみて、逆にドラマを見てみたいと思うようになった。(別に山崎豊子氏の作品に限らないが、作品を読むと、どうしても主人公である財前五朗や、それに対置して描かれる正義感あふれる医師、里見などに感情移入されてしまうため、ドラマでは細かな心理描写がどのように描かれているのか、うまく表現されているのかなど、気になってしまう)
作品の主人公である財前五朗の権力欲、名誉欲への飽くなき執念、患者への非人間的な態度。少し大げさに描写しているのではないかと思うときもあるが、実際、大学病院という権威と権謀術数が渦巻く世界で、財前のような人間は少なからずいるのだろうと思われる。自己の出世のためには、手段も選ばない。そのような人間を描く小説が、最後はどのような結末を迎えるのか。ネタバレをしてはいけないので書かないが、本作を読み終えた読者は、おそらく結末の部分に驚きと満足(第5巻にたどり着くまで、読み続けてきて良かった)を感じたのではないかと思う。
本作は医療の世界をモチーフにしているが、どんな職業であれ、それが特に専門家が進んだ分野であって、強い倫理が求められる職業であれば、財前の生き方を反面教師にしなければならないと、誰もが思いを致すのではないかと思う。どんな職業であっても、「働く」ことが「はた(他人)を楽にする」ことである以上、財前と対局にある人を思いやる心を持つことが、今こそ求められているとの思いを強くする。今回の震災に当たって、日本国民全体が、東北の被災者の皆さんのことに想いを馳せ、とにかく何かしなければという思いを持った。これは、大きな事だと思う。道で困っている人を見ても、みて見ぬふりをしようとするのが大半の世の中にあって、あれだけの数のボランティアの方が東北へ、東北へと駆けつけたことは、まだまだ日本も捨てたものではないと感じる契機になった。『白い巨塔』から、いきなり震災の話につなげるのは、いささか飛躍していると考える方もいるかもしれないが、この作品を読んでみようと思い立つ方には、どうか、冒頭で書いた「深い読後感」を味わっていただきたいと思い、レビューを書いた次第です。
白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)
リメイクドラマとしても異例の2クールをかけて放送された『白い巨塔』は、今なお多くの人の記憶に残っている作品に違いない。原作を読んで、そのときに受けた鮮烈な印象が直ちに蘇ってきた。最終巻である第5巻は、医事裁判の控訴審の結果と主人公である財前五郎の死が、それをめぐる「人間ドラマ」を背景に巧みな筆致によって叙述され、文字通りのクライマックスの巻だ。自分が癌であることを当初知らされず、自分の病状に疑問を抱いた財前は、彼にとってまさに唯一の旧友である里見に尋ねる。「真実を教えてくれ、僕は医者だ、しかも癌専門医だ・・・、その僕が自分の症状の真実を知らずにいるのは、あまりに残酷だ!」(391頁)と詰め寄る。なんと皮肉な発言であろうか。自分の注意義務怠慢によって急死した佐々木庸平も自分の死の真実を知らずに死んだのであり、そしてその後の医事裁判においても、財前は「真実」を隠蔽するために数多くの偽装工作を施したからだ。しかしその財前も自らの「死」に対面して、「医師というものがどういうものか、そしてどうあるべきか」を初めて悟るのである。田宮二郎版のドラマ『白い巨塔』の「終章」でもその発言が生々しく語られている。私が最も印象に残ったシーンだ。大河内教授に残された封書には、「自ら癌治療の第一線にある者が、早期発見出来ず、手術不能の癌で死すことを恥じる」(401頁)とある。それは財前の最後の言葉であり、医師という本来の道から逸脱した言動に対する心からの反省でもあろう。一度は完結した小説の「続編」を刊行する決意をした著者の心境から察すれば、財全五郎の「死」をもってその続編を締めくくることが不可避であったのかもしれない。本書は、人間の生と死・尊厳、医師の役割、医療のあり方といった、本来は扱うことが実に困難なテーマに果敢に挑んだ文字通りの傑作品である。現代において本書が有する意義はその輝きを増している。
白い巨塔 オリジナル・サウンドトラック
聴くたびに場面が頭に浮かんできます。同じ旋律を何度も使うことにより、
リスナーの耳に根強くメロディーがインプットされたら最後、あなたはもう、
この世界のとりこになります。ただ残念なのはタイトルにもうひとひねりして
ほしかったこと。「東のテーマ」とか「鵜飼のテーマ」、「杏子のテーマ」
なんかもつくってほしかった。
リスナーの耳に根強くメロディーがインプットされたら最後、あなたはもう、
この世界のとりこになります。ただ残念なのはタイトルにもうひとひねりして
ほしかったこと。「東のテーマ」とか「鵜飼のテーマ」、「杏子のテーマ」
なんかもつくってほしかった。
白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)
5巻シリーズの第一巻。山崎豊子さんの作品は人間関係にスポットがあたっていてなかなか読み応えがあります。病院シリーズなので医学用語などは多少難しいのですが人間の持つ出世欲、欲深さ、そして医学界の人間関係に焦点を置いて読んでみるとおもしろいと思います。