火垂るの墓 完全保存版 [DVD]
戦争によってもたらされる悲劇に、
何より2人の生きる姿の中にある人間というものの悲劇性に、心が痛くなりました。
清太の親戚のおばさんの家を出ていくという行動は、決して賢明なものではなかったと思います。正しいかどうかでいえば正しくはなかったでしょう。
ただ、あの状況下の中で、清太が清太なりに、懸命に悩み抜き出した答えだったことは言うまでもなく、それは私利私欲ではなく、自分達だけの城というものの中に光を見つけた(ような気がした)からという、ただ妹を救いたい、幸せになれるはずだと信じての行動です。
結果的にその生活は失敗し、唯一の糧だった妹は死に、自分も果てます。
反社会的な行動を肯定したいわけではありません。
かといって、私は清太を責めるのは違うと思いますし、2人の生き方にこれ以上のものを求めたり、理屈をぶつけるのは意味のないことではないでしょうか。
亡霊として現れる彼を見ると、彼自身が一番無念だったんじゃないかと想像します。今も戦争を、そして自分を許せないのかもしれません。それを思うとたまらないものがあります。
彼には導いてくれるような助けや支えが、あるいは時間や経験が必要でした。本来それは与えられるはずだったと思います。そんなに完璧に生きられる人はいません。
これは戦争の悲劇や記録よりも、むしろ“戦時中においてこの2人がどのように生きたか”というところに焦点をあてた作品であり、そこに本質があると思います。
それはもう否応ないものとして、ひとつのケースとして描かれたものだと思います。
幼い兄妹がどれほどのものを背負わなければならなかったのか、追いかけて叶わなかったもの、清太にとっての節子、節子にとっての清太、人間の脆さ、弱さ。
それでも、悲劇の中にもたしかにあった一瞬の至福の美しさ、ひたむきさ、あたたかさ、家族の思い出。
2人の姿を通して見せる人間物語に、この作品の素晴らしさがあると思います。
何より2人の生きる姿の中にある人間というものの悲劇性に、心が痛くなりました。
清太の親戚のおばさんの家を出ていくという行動は、決して賢明なものではなかったと思います。正しいかどうかでいえば正しくはなかったでしょう。
ただ、あの状況下の中で、清太が清太なりに、懸命に悩み抜き出した答えだったことは言うまでもなく、それは私利私欲ではなく、自分達だけの城というものの中に光を見つけた(ような気がした)からという、ただ妹を救いたい、幸せになれるはずだと信じての行動です。
結果的にその生活は失敗し、唯一の糧だった妹は死に、自分も果てます。
反社会的な行動を肯定したいわけではありません。
かといって、私は清太を責めるのは違うと思いますし、2人の生き方にこれ以上のものを求めたり、理屈をぶつけるのは意味のないことではないでしょうか。
亡霊として現れる彼を見ると、彼自身が一番無念だったんじゃないかと想像します。今も戦争を、そして自分を許せないのかもしれません。それを思うとたまらないものがあります。
彼には導いてくれるような助けや支えが、あるいは時間や経験が必要でした。本来それは与えられるはずだったと思います。そんなに完璧に生きられる人はいません。
これは戦争の悲劇や記録よりも、むしろ“戦時中においてこの2人がどのように生きたか”というところに焦点をあてた作品であり、そこに本質があると思います。
それはもう否応ないものとして、ひとつのケースとして描かれたものだと思います。
幼い兄妹がどれほどのものを背負わなければならなかったのか、追いかけて叶わなかったもの、清太にとっての節子、節子にとっての清太、人間の脆さ、弱さ。
それでも、悲劇の中にもたしかにあった一瞬の至福の美しさ、ひたむきさ、あたたかさ、家族の思い出。
2人の姿を通して見せる人間物語に、この作品の素晴らしさがあると思います。
アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)
数年前から毎年終戦記念日前後に独りでビデオを観ては泪して来ました。今年やっと原作を読みましたが、予想とは少し違った内容で、それにはまって野坂作品を読みあさるきっかけになった本です。
火垂るの墓 [Blu-ray]
私の少年時代、最初に映画を見たときは、涙が止めどなく流れて最後までとてもまともに見られませんでした。兄妹の境遇の悲しさと戦争の不条理に対する怒り。私は清太に感情移入しつつ、切なさにうちひしがれたものです。
それから20年、結婚し子供が生まれ、節子を思い浮かべると胸が締めつけられます。特に末娘は、髪型のせいでしょうか、表情が節子にそっくり。今は幼い我が子の庇護者として、責任の重さと平和への切なる願いを胸に抱きつつ、仕事と育児に打ち込んでいます。子供たちにもこのDVDをいつか必ず見せたい。
さすがジブリの高畑勲監督は情感たっぷりに、ダイレクトに戦争の悲惨を訴えています。野坂昭如の原作はもっと突き放した感じで鋭く反戦を唱えており、フランスの「禁じられた遊び」を彷彿させます。
映画のポスターで、B29の下で破れた傘を持った節子をおんぶする清太。黄泉の国から現代の私たちを見つめているようなその目が頭から離れないのです。
それから20年、結婚し子供が生まれ、節子を思い浮かべると胸が締めつけられます。特に末娘は、髪型のせいでしょうか、表情が節子にそっくり。今は幼い我が子の庇護者として、責任の重さと平和への切なる願いを胸に抱きつつ、仕事と育児に打ち込んでいます。子供たちにもこのDVDをいつか必ず見せたい。
さすがジブリの高畑勲監督は情感たっぷりに、ダイレクトに戦争の悲惨を訴えています。野坂昭如の原作はもっと突き放した感じで鋭く反戦を唱えており、フランスの「禁じられた遊び」を彷彿させます。
映画のポスターで、B29の下で破れた傘を持った節子をおんぶする清太。黄泉の国から現代の私たちを見つめているようなその目が頭から離れないのです。