この値段で喜界島の朝日が買えれば満足です。
甘い香りが何とも言えません。

前作、「サイコ」では、ベイツ君が精神病院に入院させられたところで終わっているが、さて彼が退院したその後は・・・。アンソニー・パーキンズがまたしても母親の妄想に取りつかれた超マザコン男を熱演していて面白かったです。

ノーマン・ベイツに呪縛されてしまったアンソニー・パーキンスが、自ら監督を務めた作品である（1986年製作）。

昼は挙動不審、夜は倒錯殺人鬼のサイコ野郎という病気が、ぶり返したノーマンの新たな性的倒錯を描く。

ヒッチコック・ファンや前作で難色を示した人達には今一かも知れない。前作の結末のその後に興味が湧き、
彼の新たな凶行ぶりをまた見たいと思うマニアックな支持者向けである。

ヒッチコック色は影を潜め、ノーマン・ベイツが独り歩きした定番的なスラッシャー映画となっているものの、
ゴシック調の映像も見受けられる。また、スプラッター色が活かされた殺人場面は滅多突きの電話ボックス殺人と、
トイレでの喉切り裂きから腹突刺しによる便座殺人など、趣向が凝らされている。

ノーマン・ベイツがキリスト教的な価値観に囚われ、又、自らの肉欲を開放できないでいる女性と恋仲となり、
屈折した悲恋物語（パーキンス自身、女性との性交渉に対して恐怖心を抱いている同性愛者である）を
盛り込みながら、進行するストーリーも酷評するほど悪くはない。
＜質の低下は避けられなかったが、決して駄作ではない。＞

無名時代のジェフ・フェイヒー扮する一攫千金のサクセスを狙う自称ミュージシャンで、女好きの流れ者
デューンのキャラクター造形も貧弱化した物語内容に新味をつけている。
そして、カーター・バーウェル担当による音楽は素晴らしく、物語全編に物悲しい雰囲気を漂わせている。