チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
神尾真由子の、あの太くて粘りのある音は、ソロパートの演奏で際立っている。一言で言えば、チャイコフスキーコンクール優勝者の面目躍如。いつもながらの生命力を感じさせる演奏には、勇気をもらえる気がする。録音レベルもいい。オケの音も華やかだが、格調の高さで言えば、諏訪内晶子&チェコフィル(アシュケナージ指揮)のチャイコンにおける、チェコフィルには及ばない感じ。神尾&チェコフィルでのチャイコンを聴いてみたい。
ロマンティック・ソナタ~プレイズ・フランク、ブラームス、R.シュトラウス
それぞれ性質の異なる3曲を見事に弾ききっています。ご本人は自分の音楽に集中するため、あまり他の人の録音を聴かないといったことをインタビューで言われていたと思いますが、フランクはナタン・ミルシテインの録音だと言われるとそうかもしれないと思うほど端正で優美な演奏になっています。ジネット・ヌヴーのような強い意志も感じさせます。聴くほどに彼女の発見(解釈)の広がりに感心します。作曲家の想いがダイレクトに伝わってくるいい演奏をしてくれます。最近ピアノ伴奏をされているミロスラフ・クルティシェフさんと結婚されたそうで、フランクの4楽章の2人の優美な語らいや、リヒャルト・シュトラウスでの息をのむような真剣なやりとりは、聴衆を納得させることでしょう。持って生まれた強いメッセージ性を活かした演奏で、聴衆を虜にするような演奏です。今後の発展が楽しみです。間違いなくお勧めのアルバムです。
愛のあいさつ&夢のあとに〜神尾真由子 ヴァイオリン・アンコール(初回生産限定盤)(DVD付)
なかでも「ヴォカリーズ」、「アヴェマリア」、「レンスキーのアリア」が秀逸。ライヴでもいつも高レベルの演奏を聴かせてくれる。全身を使っての演奏は力感とともに爽やかな風が伝わってくる感じだ。2014年10月、伊丹でのライヴ後のサイン会で、「握手してもらえますか?」と言った小学生(高学年)と思われる女の子の求めに、長蛇の列での疲れも見せず、気軽に応じて握手する、笑みを浮かべた優しい顔が印象的だった。2015年も関西でのライヴ(5月、6月)が楽しみ。