「世界遺産」の真実---過剰な期待、大いなる誤解 (祥伝社新書185) (祥伝社新書 185)
安易なまちおこし目的、表面的な観光客目当てなどの世界遺産”狂想曲”に警鐘を鳴らす本。
世界遺産とは決して地域や文化財のブランド化の手段ではないことがよくわかる。
また、世界遺産制度自体のあやふやさもよくわかる。このような制度を地域や文化財のブランドとして良いのだろうか。
そのほかにも、国内の世界遺産候補に公募をかけながら、件数の多さに収拾をつけられない文化庁の問題や、推薦書原案作成の報酬として世界遺産のコンサルタントなるものに多額の税金が投じられている問題、
世界遺産に翻弄される地方自治体の問題など、いろいろ知っておくべき視点を提供してくれる。
世界遺産を推進する政治・行政の立場の人間はもちろん、納税者や世界遺産について無条件に良いイメージを持っている一般人も読むべき一冊。
ウルトラマンA(エース) Vol.1 [DVD]
5番目のウルトラマンことウルトラマンAである。
当時、帰りマンが終了し「次週からは新番組「ウルトラA」が始まります。」の予告がされた。
(文字のみ、映像は無し)
ところが、放送されたものは「ウルトラマンA」というタイトルになっていた。
近年知ったことだが、既に「ウルトラA」という名前は登録商標されていて変更を余儀なくされたそうだ。
小学館の学習雑誌では「ウルトラA」のままマンガ作品が連載開始となるなど混乱を極めた。
などと出だしでつまずいた感のあるAだったが、内容は期待通りのものだった。
異次元人ヤプールの送り出す超獣は最初のうちは、モンスターと地球生物を合成したり、現存する動物を改造したものだった。
それと怪獣をも超えたモンスターのイメージを出す為か、デザインは派手なものになった。
初の女性ウルトラマン人間体、南夕子と北斗星司の合体による変身。
ウルトラギロチン、バーチカルギロチン、サーキュラーギロチンなどギロチン技が豊富で記憶力が冴えていた少年時代でも憶えきれないほど多種多様を極めた。
初の七色の表現がなされたメタリウム光線、タイマーショット、パンチレーザーと全身武器のかたまりのようなAは強くなり過ぎた感があった。
今でもウルトラシリーズ中、異色作であり怪奇色の濃い最高傑作と認める「三億年超獣を超えてゆけ」はAで最も好きな作品である。
魚類と爬虫類の中間生物「ガラン」が超獣となって出現する。
しかし、本当の敵は漫画家、栗虫太郎であった。
彼の描く漫画そのままに事件は進行し、まるで現実を操っているかのように漫画を描き続けた。
彼はヤプールによって力を得、現実世界を思うがままにコントロールしていたのだ。
最後にはガランとAの戦い、そのままの漫画を描き、現実と二次元が融合し、どっちが現実だか判らない不思議な感覚に捉われた。
ガランの攻撃をかわし、Aはレーザーをガランに浴びせ、辛くも勝利する。
Aの力が栗虫太郎の力を上回ったのだ。
途中、南夕子が月世界に帰ってしまうなど路線変更され、成功したとは言いがたい作品ではあったが、新機軸を取り入れ、円谷プロのチャレンジ精神が満ち溢れた傑作であった。